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76:腐った食料

「腐ってるってどういう事だ? 以前に買った物と今回準備された物資と混同して間違えてるんじゃないだろうな?」


「そんな訳無いでしょ、食料は余裕をもって準備するって聞いてたから今回は何一つ持って来ていないのよ、それに、マジックバッグに収納する前に中身を確認したのよ、それがこの有様よ」


 俺も見てみるが見事に腐ってる、ご丁寧に菌糸まで生えてるし。


「ツガットは自分の分だけ持って来てるんだろ、水も含めて全部確認してくれよ」


 そうだな、と言い取り出すも食料は腐り、水の樽は開けるまでも無く腐臭が漂っていた。

 そして聖水の樽を取り出して開けてみると、其方は腐ってはいないようだが・・・・以前感じていた光属性が全く感じられなくなっていた。

 こちらも時間が経過すれば腐りそうだ。


「見事に腐っているな、しかし聖水だけは腐って無い様だ、此方が有れば飲み水には困らんが食料が全滅では引き返さんと俺達も全滅だな」


「このダンジョンは中に入った時点でかなりの呪いなりを受けてるって事かもしれないな」


「なら、飲み物は聖水を飲むべきだな、冒険者は抵抗力が高いから何とか免れているんだろ、発症すると後が厄介だぞ、それとだ、支給された高級HPポーションを一本開けてみてくれ、もしかするとそっちも駄目になってるかも知れん」


 ツガットがその指摘に一本開けてみると腐臭が漂った。


「マグロの指摘が的中か、聖水以外は全て使用不可能と言う事だな、マグロ、今の内に撤退しないと本当に全滅するぞ」


「食料に関しては俺が提供すれば解決するが、下層に行くほど呪いが強いかもしれないって事だよな、そちらが厄介だ」


「でたらめを言うな! 食料問題が一番厄介だろう、俺のチームは余力があるうちに退却するぞ!」


「なら、これをちょっと食ってみろ」


 買って来た串焼き肉を1本放り投げて渡し、良い匂いを嗅いで美味しそうだと思ったのかがっついて食べた。


「うまい! これは焼き立てだな、だが、なぜ焼きたてなんだ? 全く影響を受けてない」


 答える訳無いだろ、はぐらかす方向で穴埋めだな、もちろんインパクトが無いと意識を持って行けないだろ。


「ただな、この人数で30日分なんて量は持ち合わせてないって事だが、これなら大量にあるぞ」


 と、通常種のドラゴンを丸ごと一体取り出した。


「どこから取り出した! いや、これはドラゴンだな、解体して焼けば食糧問題は解決するって事か」


「食料と水問題は良いのだがにゃ、呪い対策はどうするのにゃ? マグロが以前取得した聖銀で対策はとれないのかにゃ?」


「そう言えば持ち合わせていたな」


 と一kgをインゴットの状態で取り出すとシュウシュウ音を立て煙が上がり徐々に輝きが気が鈍くなっていく。


「けったいな品を持ち歩いてるんだな、それは何だ?」


「聖銀だよ」


「? 聖王国が使用してるまがい物とは違うようだな、まさか本物か?」


「意味が分からんがミスリルが聖水と同様の性質を貯め込んだのが聖銀じゃないのか?」


「それが本物だ、だが、大量に出回るはずもなく、聖王国は銀に聖水と同じ手法で属性を加え聖銀と偽り使用してるって訳だな」


「マグロ様が取り出して、なぜこのような現象が起こるのでしょうか?」


 この一言でマグロには見当がついた、以前はMP吸収など無かった事、そして現在は力を増したのか魔力を吸い取る事、そして聖水と同等の属性を付与した聖銀の状態、そしてダンジョンが闇属性のみで構成されている事、並べれば弱点がおのずから浮かび上がる。


「ありがとうセレス、お陰でこのダンジョンの弱点が分かったわ、弱点と言うより攻略法かもしれないな」


「マグロちゃんどういうことなの?」


「とりあえず実践だな、皆上を見るなよ、ちょっと光るからな」


 MP消費1000/hで聖水と同様の属性【ホーリーライト】 発動するとその周囲に煙が立ち込めるも徐々にその光が周囲を照らし出し煙も収まる。


「もういいぞ、たぶん魔法が使えると思う【ストーンウォール】」


 入口を塞ぐ形で壁が出現した。


「なるほどの、わわらも謎が解けたわ、単純な事だったのじゃな」


「闇の単一属性で満たされてなきゃ本来の能力は発揮されないって事だな、それでも魔力を吸う能力はあるが、まったく逆の光魔法は吸収できず、逆に相殺可能って訳だ。

 それでこの部屋は浄化したけど徐々に浸食されるって訳だ、これで【ゲート】での移動にも制限がなくなったな」


「矛盾してないか? 時間が経過し浸食されればいかに転移魔法と言えど吸収される、その点は解決してないだろ」


「その指摘は当然だなザンジール殿、そこは時間を引き延ばす対策があるから問題無い、数日間程度なら大丈夫だろ、それでツガット、進むか引き返すか決めてくれ、決定権は俺達には無いからな」


「その前に一つ、いや二つか、確認させてくれ、食料ははマグロが提供で良いんだな?」


「勿論だ提供する、ただし、肉だけだと栄養が偏るんでな、強制的に果物を食べてもらう、好き嫌いが有ろうと強制だ」


 ま、バルカント諸島へ赴く際に大量に倒した魚を確保してるが、出所は兎も角この面子で出す訳にはいかないだろ。


「次だ、水の問題だ、聖水が尽きた場合次の一手はあるか? 確実ではない転移は省いてだ」


「魔法が使えるようになるからそれは問題無い、水程度なら溺れるほどでも出せるよ、まぁ俺よりアレッサの方が得意だろうけどな」


「なら決定だな、事態が事態で命に関わる危険がかなり高くなったと全員が思っている、その為本来ならクエストを放棄すれば罰金が科せられるが、今回はこの場で帰還しても半額は支払う事を約束する」


「その条件なら俺のPTは退却する、常時照射してなければ魔法を使えないのではリスクが高すぎる」


「私も同意見ですね、マグロ殿の実力は見知っていますが、常時となれば持ち込んだMP回復薬が腐って使い物にならない事から頓挫する恐れがあります、その様な危険に仲間を晒す事は出来ません」


「同感ですね、クラン員にその様な死地に飛び込めとは命令できないよ、私のクランも退却させてもらいます」


「それじゃ進むのは俺達のクランだけだな、ツガットはどうする? 帰っても構わないぞ」


「俺は見届ける、監視員みたいなもんだぞ、行かない選択肢があると思うか?」


 ふむ、【ゲート】が発動する辺り、正常につながってるのだが不安をあおる言い方でもしてみるか、後で送ってくれなかったからって理由でつっかかられても嫌だしな。


「それじゃどうするよ、転移可能か退却する三つの団体さんが実験台になるか?」


 俺はごめんだと漆黒の剣とミストルのPT、送ってくれと朝露の結晶。


「私は現時点でクランから脱退させてもらうわよ、良いわよね? アルフォンス」


「抜け駆けは駄目ですよアンジェ、私も脱退します」


「あら、アンナも抜けるの?」


「勿論よ、素敵な殿方を見つけましたもの」


「わかった、二人の脱退は帰り次第しておくよ、また元気な姿で会いたいものだな」


「それじゃギルドのエントランスに送るぞ【ゲート】」


 二十名は転移門を潜り帝都へと帰って行った。


「さてと、昼食の準備をして食べた後三十分休憩、その後出発するぞ、俺はアンジェを、アンナの面倒はクリニスが見れよ。

 と言う事でアンジェにアンナ、【真摯の断罪者】にようこそ!」


 その間二チームはとっととこの部屋を後にした、残りもせずご飯だけ要求するとかプライドが高そうだからできなかったんだろ、と憶測した。


 ドラゴンを収納して釜戸を3つ一列に並べ、それぞれに割り木を交互に組み合させてその上に5mmの鉄板を乗せ種火程度の【ファイア】で着火、鉄板に油を引きあったまるのを待つ、と俺が準備をしながらもツガットと会話を進める。


「それでツガット、この場でクランに入れるってどうするんだ?」


「一つ約束してくれ、この情報を拡散しないとな、対象はこの場に居る全員だ、これは建前だが質問は無し、実際に俺の指示に従ってもらうぞ」


「知れば守秘義務が発生するって訳か、了解した、それで実際はどうするんだ?」


「今はアンジェリカとアンナの二人はクランに加入してる状態なのでな、先ずは抜けてもらう、それぞれ【パーティー編成自分の名前脱退】だ、言霊と言うやつだな」


 それぞれ発音して脱退が完了。


「これで脱退が完了、次はリーダーが加入させる必要がある、必ずリーダーからだ、相手の体に触れ【パーティー編成相手の名前加入】だ、確かセレスティーナがリーダーだったな」


「確かそうだったな、察知されない様にセレスを立ててた思う、セレス早速試してくれ」


 こうして加入を済ませると横合いから声を掛けられた、準備の手を止め会話に集中していたからだ。


「そろそろ鉄板が良い頃愛じゃぞ、肉を準備しくれんかの」


「了解、山盛り出しとくから自分たちで焼いて食べててくれ」


 テーブルを出し調味料やらトングに皿などを、手ごろな大きさに切り分けたストームドラゴンの肉を大皿に山盛りの乗せて渡した。

 そして知られても構わないメンバーのみになったので空の樽を取り出しそちらへ魚を放り込み【クリーン】をかける、凶悪そうな面をした魚達、背びれや腹びれとかまるっきりナイフだもんな、そして会話の再開だ。


「今ので加入が終ったのか?」


「そうだ、それで確かめる方法だがこれもリーダーのみだ、【パーティ構成一覧表示】 で名前レベル性別の一覧が表示される、そこからタップすればリーダー権限移行と強制脱退も可能だ、表示は触らなければ一分ほどで消える。

 以上が冒険者ギルドを通さずに自分達で組む事が出来る編成の仕方だ」


「なるほどな、セレス、早速二人の加入が完了してるか確かめてくれ」


「・・・・加入完了しています、それとリーダーをマグロ様に変更しておきます」


「これは便利だな、話は良いか、俺も準備がまだだしな」


「婿殿、次は割り木の追加じゃ、火力が足りないのじゃよ」


「ちょっと待ってくれよ、俺一人で準備してるんだから手が足りないって」


 薪を追加し、猫達を十五匹全て実体化させ猫用に作っておいた皿を30枚を取り出し、ドラゴン肉とチュリーロッサを自動解体させた果肉のみを提供、空の樽に水をすり切り一杯入れて食べさせ、別のテーブルを出しチュリーロッサを切り食べるだけの状態に準備をと大忙し、肉にありつけたのは最後だった。

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