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75:ダンジョン攻略開始

 移動後ツガットは俺達と一緒に行動する様だ、漆黒の剣のお手並み拝見といこう。

 最初は雑魚だからな、数が多いだけで苦にもならないがさすがに歩みが遅い、ま、相手が武器を振りかぶるより前には倒してるからまぁそこそこの実力か。

当然一本道と言う事は無い、交差点的な場所がいくつもあるが横合いからの敵を食い止めるのは後衛である俺達の仕事、この際に慣れてもらおうと俺とティア以外で対応してもらう。

 今回は歩を進めず通路の確保が目的だが、攻めに転じて歩を進めながらでは勝手が違う、俺達の番となった場合には改めて慣れてもらうつもりだ。

 先陣を切った漆黒の剣だが、ギルドより渡されたのだろう、一階層の地図を頼りに歩を進める、今回全く役に立たない魔法を主体とする女性が指示を出していた。


「チィ、本当に邪魔だな、数ばかり揃いやがって、これじゃ動く壁じゃねえか」


「そうですね、魔法を試しましたが魔力が拡散します、報告の通りの様ですね」


「厄介なダンジョンだな、先日スタンピートを潰したばかりなのにここまで増えてるとはな」


 こうして一時間程度、丁度道の曲がり角で敵が途切れた場所での交代となった。


「真摯の断罪者、交代して先行しろ、わざわざ呼ばれたと聞いたからな、せいぜいツガット殿の顔に泥を塗らない事だ」


「そりゃそうだな、わざわざ呼んだ奴が使い物にならん屑揃いじゃ囮に使って捨て駒にしかならんわなぁ」


「フン せいぜいその囮に使われんように気張るんだな」


「ツガット、やっちゃって良いよな?」


「はぁ、好きにしてくれ、実力を目にしないと納得しないだろうからな」


 クククッ、お許しが出ちゃったよ、後ろが付いてこれるギリギリを見極めて先行するとしようか、と言っても漆黒の剣が遅れるのなら考慮に入れず進むけどな。


「それじゃ俺達の番だ、俺とティア以外で先行してもらう、感触を確かめたのちもう良いと思ったら下がってくれ、最終的に俺とティアが先行する、角に倒し残しが出るかもしれないからそのフォーローをお願いするよ。

 さてといっちょ行きますかね」


 俺はアダマンタイト製ハルバードとストームランスを取り出し追随する、十分程度もすれば慣れたのだろう俺の後方へと皆回った、これまでは歩行程度の速度だがこれからが本番だ、なので後ろに声を掛ける。


「此処から本番だぞ、遅れたら死ぬと思って気合い入れてついて来いよ」


 ティアもメテオブレイカーを二本取り出し左右に分かれて彼方は叩き潰して弾き飛ばしてと多彩な動きをしてるが俺は単調だ、縦に振るうと対象が限られるため横に振るのみ。

 最初は準備運動として駆け足程度だが後からはSランクの者でも全力疾走の速度で突き進む、当然バラバラにされたアンデッドが地面に落ちるより早く体で弾き飛ばしているが。

 曲がり角と後ろを確認しながら離れれば速度を落とすと言った具合だ、ティアは俺の速度に合わせてくれている。

 そうだと思ったよ、ツガットは早々に脱落してクリニスに担がれている。

 そっちは実力ではなく俺達に、いや、俺に喧嘩を売って来ることが無い様に間に入り取り持つつもりだろう。

 俺達の番になった時が一階層目だが今は三階層の半ばだ、そろそろ一時間かとうい事で徐々に速度を落とし適当な曲がり角手前で止まり、向かってくる敵を排除して交代だ、とはいかなかった、全員へばりきって座り込んでいる、俺達のクラン員以外はだが。

 これまでは脇道の敵も居た為俺達の集団を追いかけてきていたが、移動速度の差で置き去りにしてきている、ここでちんたらしていたらそいつらが来てしまうし、あの分じゃ後方の処理すら怪しい、さてと、どうしたもんかね。


「さてと、交代だな、次はミストル殿と朝露の結晶のクランの方だな、俺達は休憩させてもらうよ」


「ま、待ってくれ、はぁはぁ、休息を希望する、これでは、戦うどころではない・・・」


「仕方ないな、なら休んでていいよ、歩く程度なら大丈夫か?」


「そ、それくらいならば・・・」


「なら【漆黒の剣】 俺達と前後の交代だ、先行しろ」


 やっぱりこいつらに振るのが一番だろ(・∀・)ニヤニヤ


「はぁはぁ、き、貴様、分かってて言ってるだろ」


 当たり前田のクラッカーと来たもんだ、精々へばった状態でも先行してくれよ、威張り散らしたんだそれなりの根性も見せてくれよ。


「高々Aランクと一般のクランで弱っちい集団なんだろ、俺達より実力のあるSランク様の実力を見せてくれよ」


「ケッ、全員HP回復薬を一本飲め! 先行するぞ!」


 しぶしぶであるが一本飲み先行するがはっきり言って遅すぎる、武器を振るう腕がプルプル震えているからな、牛歩だろ、普通に歩くより遅い、まぁ休息には丁度良いが。

 チュリーロッサを取り出してダガーでスパッと種ごと半分に切り、片方を収納、種にダガーを突き刺して種をぽい、食べたい分握らせてそれに合わせて切ると言った具合でクラン員に渡していると。


「マグロさんと言ったかしら、Aランクと言っていましたのに実力は飛びぬけてますのね、感服致しましたわ」


 女性で魔法使いの出で立ち、他は話す気力すら無さそうでやっと歩いているが話せる体力があるか、中々の実力だな。

 当然ながら顔は上気して若干赤く、全身汗まみれ、【クリーン】を掛けてあげたいが無理なんだよな、吸収されるし。


「実力は兎も角、忙しすぎてギルドのクエストをしてませんからね、それでお名前は?」


「失礼しましたわね、私【朝露の結晶】の一員でアンジェリカですわ、アンジェで良いですわよ」


「それじゃアンジェさんと呼ばせてもらうよ、体力は大丈夫ですか?」


「流石にあの速度で一時間近くは堪えましたわ、今の速度が遅いので何とかと言った所ですわね、私の事は敬称は不要ですわよ」


「それじゃ俺の方も敬称は要らないよ、好きなように呼んでくれて構わない、それは兎も角流石Sランクと言った所ですか、ツガットは早々にダウンしましたし」


「それは仕方ありませんわよ、最低でも限界突破していなければついて行けない速度でしたもの、マグロちゃんはあれほどの速度で戦闘していたのに息さえ乱れてませんのね」


 ありゃ、ちゃんづけになったか、まあいいけど。


「そこは鍛えてますからね、と言ってもレベルをですけど」


「どれほど戦闘の経験が御有りなのですか?」


「大きな規模でと限定したらストレイルのスタンピートと今回のスタンピートですね」


「なるほどですわ、一つお願いがあるのですが良いかしら?」


「可能な範囲なら構いませんよ」


「私をマグロちゃんのクランに入れて頂けないかしら?」


 周囲に同じクラン員が居る中で堂々と抜けます宣言して良いのかね、まぁ、彼方の事情だから受ける事に関して俺は大丈夫だが。


「皆聞いていたな、どう判断する?」


「特に断る理由はないにゃ」


「マグロ様が良いのであれば一向に構いません」


「わらわも一向に構わぬぞ」


「俺も断る理由は無いな、それで、簡単に抜けて良いものなのですか?」


「加入する際に条件を伝えてますのよ、ですから心配無用ですわよ」


「なるほど、ツガット生きてるか?」


「生きてるが、あまり話したくない状態だな」


 高級HPポーションを一本強引に飲ませた、今先行してる漆黒の剣が戦えてる辺り、体力回復にも少しは有効なのだろう。


「少しはましになったか?」


「ふぅ、すまんなマグロ、それで何か用なんだろ?」


「今この場所でクランへ加入って出来ないか?」


(不可能では無いが・・・すまん、他の者に聞かれたくは無いがマグロには教える、後程寝静また頃にでいいか?)


(知られては不味い事なら後でで良いぞ)


(それじゃ今夜にでも)


(助かる)


「今後一緒なら少し言葉を崩させてもらうよ。

 そういう訳で、話は変わるがこれ食うか?」


 と切った例の果物を取り出す。


「遠慮無く頂きますわよ」


「わらわも追加じゃ」


「これは美味しいですわね、余分に御有りなら数個分けてもらえないかしら」


 メロンを食べる様にかぶりついて食べている。


「クラン員に食べさせてあげたんだろ、昼食のデザートにでもすると良いよ」


「ありがとうですわ」


 アレッサには半分ぶった切ってスプーンを突き刺して渡してあげる、人の四人分も五人分も食べる胃袋の持ち主だ、この程度余裕だろう、渡していない者も居る為そちらにも渡して俺も食べる、そして。


「おい! いい加減維持張ってないで俺達が変わるぞ!」


「必要無い! 俺達が先行すると言っている、お前たちは後ろの警戒でもしておけ!」


 またさっきの速度で先行されるんじゃないかと警戒してるのかね、流石にあの速度は出すつもりは無いのだが・・・


「強情だねぇ」


「あの手は痛い目見るまでああですわよ、それまで待つ外ありませんわ」


「うーん、遅すぎるんだよなぁ」


「他の人たちには丁度良い休息ですわよ」


 あまりにも暇すぎるんで、今後の事もあるからと自己紹介が始まり、購入した奴隷全てを解放し嫁にしてる事にとても驚いていたのだが。

 奴隷から解き放ち嫁に迎える度量がどうのこうのと褒めちぎり最終的には嫁にしてくれと言って来た。

 ちなみに、アンジェリカの自己紹介はこうだ。


 自己紹介するわ、アンジェリカ23歳、得意なのは火の魔法と風の魔法ね。

 髪の色は赤っぽい茶色、眼の色は薄いブルー、耳は見ての通りね、身長155cm、股下80cm、肩幅37cm、トップバスト97,5cm、アンダーバスト65cm、ウエスト57cm、ヒップ85cm、足のサイズは23,5cmよ。

 最後になったけど種族は狐族よ、シッポは普段は腰辺りに巻く形で出さないようにしてるのよ。


「あのね、いきなり初対面でそれは無いでしょ」


「恋に時間は必要ありませんわよ、それにお姉さんは魅力的に映らないかしら」


 と胸をモミモミしながら上気した顔で下から見上げて来た、ちょっと反則な気がする!

 皮鎧をしてるから胸の大きさが協調されさながらメロンでもぶら下げているが如し、だ。


「それは魅力的じゃないとはとてもじゃないけど言えないな」


「正直ですのね、ますます惚れましたわよ」


「また賑やかになるのにゃ、家に帰ったら腰を抜かす気がするにゃ」


「あーあれだもんな・・・・って反対しないのかよ、七人目だぞ」


「甲斐性あるから大丈夫にゃ」


「龍神じゃからな、十人二十人居ても普通だと思うぞ」


「は? 龍王じゃねえの?」


「なんじゃ婿殿、とうにクラスアップしておるぞ」


「ちょっと待て、その話題は今は不味いって、帰ってからにするぞ」


「あ、あの、マグロちゃん、龍王とか龍神とか聞こえましたけど、どう言う事ですの?」


「あー、それな、話し難いんだけど俺って龍族なんだよ、そこのファサラとアレッサも龍族なんだけどな。

 それでレベルが上がってな、元はエンシェントドラゴンだったんだがクラスアップしたみたいなんだよ」


「そうなのですわね」


「へぇー、理解してるんだな」


「いえ、してませんわよ、龍王や龍神と言われましても聞いた事ありませんもの」


「ま、気にしなくて良いと思うのじゃがな、実力を知らしめぬから先ほどの様な態度を取られるのじゃぞ」


「そうかもしれないけどさ、力を笠に着て威張り散らしたくは無いんだよ」


「そこは分からないでもないが欠点でもあるからの、ま、婿殿はそれで良いのかもしれんがな、でなければこれほどの人が集まる訳無いからの」


「それじゃ俺のお嫁さんて事で、それなりの対応をするけど良いよな?」


「それは良いですわね、是非お願いしますわよ」


 リングオブマジックエンハンストを指に通してやり、抱き抱えてお姫様抱っこ、疲れてるそうなので丁度良いだろ、魔物は蹴り飛ばせば良いからな。


「これは楽で良いですわね、それでこれは何ですの?」


「当然だろ、嫁さん大事にしないと捨てられるからな、それは結婚記念と思ってくれれば良い、効果は最大MP二十%アップだよ」


「その様な高価な品を・・・ありがとうですわ、大切にしますわね」


「そうだな、大切にしてくれ、疲れてるなら寝てても良いぞ、昼食まで彼らが頑張るみたいだからな」


「だらしないと思われるかもしれませんが、お言葉に甘えさせて頂きますわね」


「冒険者たる者、休める時には休まないと命に関わるからな、当然の選択だよ、お休み」


 狐族と言う通り頭にぴょっこり耳がある、胸をこの状態でも少し触ってるんですけど・・・うちのクランで最大級かもな。


(取り決めがあるから抜けるのは問題無いのでしょうけど、求婚して受けたのにはびっくりでしたね)

(そうね、あんな嬉しそうな顔して寝ちゃって、ちょっと羨ましいかも)

(それならアンナも求婚したらどうなのよ、今なら受けてくれるかもよ)

(嫌よ、魅力的な方だけど、次は八人目よ、そんなの耐えられないわ)

(それならお隣のツガットさんを抱き抱えてる方はどうかしら、息一つ乱してないからあの方も相当な実力者ですよ)

(そうね、あの方ならありだわ、私声掛けてみるわね)


(だそうだぞ、ツガットを放り出して行って来いクリニス)


(彼女はどうするんですか)


(クララの事か? まだ付き合ってもいないんだから結婚できるか不明だろ、それに彼方のお嬢さんが好みなら話し込むのも良いだろ、性格が分からないんじゃどうしようもないからな)


(確かにそうですが良いのですか?)


(良いも悪いも俺って嫁さん七人目だぞ、クリニスは実力あるんだし複数いても可笑しくないだろ、駄目なら駄目でお断りすればいいんだ、興味があるなら行って来い)


 それならと言う事で彼方が声をかける前にクリニスから声を掛けに行った、積極的な事で何よりだ。


「マグロ、それよりだ、ペース配分が悪くて皆疲弊しきってる、これ以上強行すれば怪我人が出かねん、今日の行程は昼までとして一晩休息に当てようと思うがどうだ?」


「あー、それは俺の責任だな、今日だけで七階層は突破したかったが仕方ないか」


「何の為にか理解してるから何も言わんよ、それに許可したからな、俺は漆黒の剣に指示を出すからそのまま警戒を頼む」


「頼むから袋小路の大部屋辺りを確保してくれよ、通路の途中なんて御免だぞ」


「もちろんだ」

 

 こうして休息の命令が伝わりお昼を少し過ぎた頃、条件に合う部屋へと到着した。

 俺は喉が渇いてるだろうからと水の樽を取り出し、テーブルを設置してコップを準備した。

 それじゃ食事の準備をしようかと言う時になってとんでもない事が告げられた、持ち込んだ食料が腐っていると。

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