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71:???の塔

「やっぱり大きすぎるのも移動が面倒だな」


「久しぶりにこの皇宮を見た気がするにゃ」


「やはりマグロ様、この場に合わないのでは」


「仕方ないだろ、って昨日話したか、新たに買うまで辛抱しようよ、上の階は放置で1Fだけを使えば良いだろ、好きな部屋で良いぞ、どこでも寝泊りしてくれ」


「横幅300mは有るからにゃ、やっぱりこの島には合わないにゃ」


「わかってるって、そのうち買うから頼む、もうおいとこうよ、それじゃサクッと返しに行って来るわ」


 ファサラと一緒にライネル西門前に転移するとまたも面倒な事になっていた。


「マグロ様どうか矛を収めて頂きたい、その屋敷は返さずとも結構です、お願いします、我々は敵対するつもりは毛頭ございません」


 これをその場に居た30名以上の騎士が土下座しながら懇願してきた。


「何を言ってるんだ、あれはライネルの資産でファサラの所有物件じゃないんだろ、だから返しに来ただけだ。

 それとファサラに免じて宣戦布告だけは取り消してやる。

 それとセルに伝えておけ、今後一切俺達に構うな、呼び出したり俺に伝言を伝えたら宣戦布告と捕らえ問答無用で攻撃を開始する、分ったらとっとと伝えろ!」


「マグロ様有難うございます、セルラルファに申し伝えておきます、再度申しますが屋敷はお持ちください」


「まだ言うのか? 奴の言葉を止めなかったのはライネルの資産だと思っているからだろ、分ったらとっととどけ!」


 土下座したまま道を開けようとせずひたすら謝罪とかうざすぎる。


「屋敷はファサラ様の所有物件です如何様にもお使いください」


 ファサラ飛ぶぞ、と伝えてお姫様抱っこ、【フライ】で飛翔し屋敷の敷地上空へ行くと今度は竜騎士達に囲まれる羽目に。


「マグロ様、いかにマグロ様といえどライネル上空は飛行禁止です、即刻地上へお戻りを」


 敷地内に下りてファサラを降ろす、元に戻すのは簡単だ、奇麗に切り取ったので出してスポスポはめ込むだけ、馬車停留所、厩舎、メイド達の就寝所、屋敷と設置してそこからが本番だ、ファサラには敷地の入り口に居てもらい倉庫3つを動かすべく切り取り屋敷に併設する。

 そして崩壊しない様に地面を切り取り収納しミスリルウォールで壁を補強しながらせっせと作業を進めていく、あれだ、以前中国で退避勧告を無視した為に一軒だけ取り残され周りを削り取られて塔の様にする、掘っては補強掘っては補強と繰り返し敷地内で道路と同等の高さに残ったのは建物だけの状態にする。

 道から下を見ても深さが分からない様に1km程度掘った所で王城側の強化に使用したミスリルを切り取って収納、これで完成だ、雨でも降れば地盤が緩みえぐられてその内崩壊するだろう、そしてファサラと合流する。


「さて、作業も終わったから帰るぞ」


「あ、あの、マグロさん、これっていったい」


 普通に上から見下げると怖いよな、どんだけ下に掘ってるのよと言うより断崖絶壁って言葉がよく似合うからな。


「見ての通りだ、屋敷を元に戻せと言われたんで元に戻した、代わりに周囲の土壌を頂いただけだよ、約束は破って無い、王城がどうなろうと関係ないからな、【ゲート】」


 上空からこちらの動向をつぶさに観察していた竜騎士達、どういう心境かは分からないが実質呆然と言った感じだろうか、そして転移して島の皇宮へと戻った、嫁達が一部屋に居たので合流して報告だ。


 後日談になるがこの行動でマグロの激怒振りが露見、いずれ戦争を仕掛けに訪れるのではと武官文官問わずライネルの一般市民へも噂が流れた、それも実際に行われた場所に行けばその所業がまる分り、王の下で働く者達は家族の説得で次々と逃げるように退職、それを目にしていた同僚が更に不安を募らせ退職、最終的に王のみが残り機能不全と化した、これでライネルは崩壊する、国から単なる自治区へと。

 この状態になったと確認できたのが十日ほど後、その時点で屋敷だけは切り取り頂いた。


「戻ったよ、とりあえず返してきた」


「マグロさん良かったのですか、あれでは敵対しますと言ってる様に見えるのですが」


「如何したのにゃ?」


「建物全て元に戻した後、周囲の土壌を切り取って収納しといた、落ちたら確実に死亡だな、王城側は補強無しの状態にしといたんで、その内崩れて崩壊するだろ」


「にゃはっはっはは! それは面白いにゃ、今度見学に行くにゃ」


「いつ崩壊するか分からんからな、今から行くか? 我ながら完成度は高いと思うぞ」


「それなら早速行くにゃ」


 直接転移も良いけどまた東門前に転移して入場手続きをしようとしたらまたもや土下座で邪魔された。


「お願いしますマグロ様、如何かお怒りをお鎮め下さい」


 あまりにも邪魔だったので今度は足場代わりに踏みつけて入場し元我が家へと歩いて行った、其処ではセル以下側近が呆然と眺めていた。


「邪魔だからどけ、それとも蹴り込まれたいか?」


「マグロ殿お願いします、かような所業は「俺に関わるなと言ったはずだぞ、戦争したいのなら構わんが、戦争回避したいのなら黙っておけ」」


「・・・・・」


「これは見事だにゃ、投石したら崩れないかにゃ?」


「絶妙なバランスで建ってるからな、強い風でも吹けばばったり行くと思うぞ」


「マグロ様、今は掘った直後で適度に土が湿っております、雨が降るなり乾燥した場合、王城が巻き込まれ崩壊しませんか?」


「さぁどうかな、俺はファサラの敷地の土壌をもらっただけだからな、他には一切手を付けてないから縛る法も無い、強権発動しようものなら国ごと奇麗に片づけるだけだ、何の問題も無い」


「・・・・・」


「さてと、今日は休日と言った手前、料理しなくて良いよ、ここで食べて帰るか?」


「何人も残して来てますからのけ者にするような事は避けるべきかと思います」


「それもそうか、露店で食べたいのを大量に買い込んで帰るとしようか」


 各々露店を見つけては自分の分+α買い込み、それを俺が受け取り収納しておく。

 そして皇宮へと戻り食事を済ませて全員強制で最上階へ、水魔法を使い適温のお湯を出して溜めれば露天風呂の完成、3種あるがなぜか全員混浴に、以前もあったな。


「よおクリニス、鍛え上げたいい体してるな、それでどうだ」


「どうとは何がです?」


「結婚だよ、いい歳だし嫁さん貰っても良い頃じゃないか?」


「成人して随分経ちました、それを考えれば当然の指摘ですね」


「クリニスが龍族を嫁にと思ってるかどうか分らないけどさ、他の種族でも良いかな? とか思ってたりはしないか?」


「確かに、マグロの指摘の通り龍族にこだわっては結婚は夢のまた夢ですから、他種族でも一向に構いません」


「それなら丁度良いな、クララの扱いをどうしようか迷ってたんだ、彼女はごく最近まで病に侵されていたがセレスの治療の甲斐があって完治した。

 今は余命数ヶ月まで耐えてた事も有り若干痩せてはいるが健康体になったからこれも少しずつ改善するだろ、そこまで追い詰められたから精神的にも強いだろうしな、それにあれほど奇麗ならクリニスに釣り合うだろ? 考えてみないか?」


「確かに魅力的な提案ですが、接点が有りません、何か口実をもらえませんか?」


「魔力操作、風魔法、時空間魔法、無詠唱、この中で使えるのはあるか?」


「時空間魔法以外なら何とか」


「それじゃシェルに頼んだのを取り消すからクリニスが教えろ、親切丁寧にな、それで頃合いを見計らって帝都の皇宮からもらって来たアクセサリーが大量にあるからその中から選んでプロポーズしろ」


「こそこそ男2人で何を話してるにゃ?」


「ティアか、クリニスのお相手にクララをと思ってな、その打ち合わせだ」


「なるほどにゃ、クララは美人だからにゃ、それならお似合いにゃ」


「と言う事でクララはこのままクランに在留決定だ、シェルに教官役を降りるように伝えてくれるか?」


「お安い御用にゃ」


「それで教え方は分かってるか?」


「魔力操作はシェルさんが教えると言っていた手法を真似る予定です、しかし風魔法は、詠唱から入るべきでしょうか?」


「詠唱に慣れると無詠唱へ行きつき難くなりそうだからな、無詠唱と同時が良いだろ、先ずはこう【エアボール】を作る、当然見えないから、何でもいいからこれに混ぜる、近場だとこのお湯だな」


 手のひら上に発生させた風の乱気流の球に水操作で流し入れ可視化する。


「これで見えるだろ、この乱気流の球を魔力操作と想像で作るんだ、此処まで行くには魔力操作をスキルとして取得してないと無理だろうな、先ずは其処が一歩目だ」


「なるほど、外ならば土でも混ぜれば可視化できますね」


「そう言う事、何も複数属性を混ぜ合わせてする必要は無いからな。

 ここから更に踏み込むなら多重起動の取得だな、そうすればこの通り」


 もう片方の手の上に同じく作る。


「複数同時に同じ魔法が展開できる、これは敷居が高いだろうから、相当魔力操作を鍛えないと無理だろうけどな」


「勉強になります、これが出来さえしていれば、聖王国に赴いた際に盗賊撃退も簡単だったのに・・・」


「無い物ねだりは良くない、寿命は長いんだ、確実に1歩ずつ進まないと足を踏み外すぞ」


「そうですね、焦る必要は有りません、確実に、ですね」


「魔法講義はこれぐらいで、明日はオークションで朝から出かけるからさっさと寝るかな、クリニスも来るだろ?」


「宮仕えで参加した事が有りませんからぜひ行きたいですね」


「それじゃすまないがクララの護衛を頼むよ、競り参加予約を取って無いからな」


「お任せ下さい!」




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