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69:どん底での対応

 げっそりしながらも1Fの応接室へ、本当ならそのまま寝たかったが予定があるのだ、送り出して寝とこうかなと考えてるマグロであった。

 そして席につく。


「おはようございます、マグロさん、顔色が悪いですよ、大丈夫ですか?」


「とてもじゃないけど大丈夫じゃない、回復魔法を使ってみたけどこの怠さが全然治らない、こんな事今まで無かったのにな」


「それはわらわのせいじゃな、婿殿から活力を頂いたのじゃよ、産卵可能な状態まであと一歩と言った所じゃな」


「どう言うこと?」


「精を受け取る際にお相手の活力を受け取ることも出来んですよ、そうすれば産卵からの休息が緩和され、1年から2年ほどに短縮されます」


「なるほど、アレッサは卵を産む準備をして俺がこんな状態になったと・・・」


「そう言う事じゃな」


「そう言う事は早めに言ってくれよ、今日は買い物中止して良いかな? 今も倒れそうなんだけど・・・」


「龍族にとっては常識じゃぞ、成人した際に真っ先に教えられる事の一つじゃよ」


「なるほどにゃ、今回はマグロが悪いのにゃ、例の事を説明してなかったのにゃ」


「あー、確かに説明してないな、アレッサよく聞いてくれ、俺って元々この世界の住人じゃないんだよ」


 と例のごとく説明をした、クララにも聞かれるが問題無いだろ、転生当初とは違い此方も対抗する力は持ち合わせている、どの様な圧力を掛けられようと祓えば良いからな。


「それにしても婿殿はけっこう馴染んでおるの、クリニスが異世界人だと言われる方がしっくりくるのじゃよ」


「先の戦闘の事を言ってるのなら心構えの違いだろ、悪意ある対象には同等に対応すると決めてるからな」


「なるほどの、それで、今日は買い物中止かの?」


「そうだなぁ、シェルは【ゲート】を使えるようになったか?」


「もう少し熟練度が足りません」


「それなら送るだけ俺が送るよ、アレッサの服はライネルに行かないと手に入らないんで、皆とクララをライネルに送った後にアマリア達を帝都に送ってそのまま暁の宿で休むわ、アマリア達の方が終わり次第迎えに行くから、クララの服と雑貨を真っ先に買って後は宿に部屋を取って休ませておけ、護衛にスラちゃんを付けてな」


 そこから出来合いの食事を出して食べるも気分が悪くなり途中で手を止め皆を待つ事に、この食事のせいで余計に体調が悪化したマグロだった。

 驚愕しながら屋敷の前で待つ21名に事情を話て嫁達をライネルの西門へ。

 そして俺を含めた22名で帝都南門から見えない程度に離れた位置へ転移しアマリア達を先行させ其方はスムーズに通過でき、俺はシラタマに乗り帝都入口で身分証の確認を済ませようとしたのだが。


「マグロ様、お探ししておりました、お願いします、お力をお貸しください」


「断る、俺の体調が生きてた中で一番最悪な状態なんだ」


「体調が回復してからでも構いません、なにとぞお願いします」


 何でこうも巻き込まれるかね、気合い入れてないと倒れそうだってのに、頼むから面倒ごとを持って来るなよ。


「あのな、頼むから巻き込むな、俺は今にも吐きそうで倒れそうな状態なんだ、話すだけでも気分が悪くなるってのに・・・・」


 と、朝食べたのを横に吐いてしまった。


「マグロ様を医務室にお連れしろ! それと回復魔法の使い手を引っ張て来い!」


「あのな、回復魔法なら自分で使えるからすでに試したよ、それでも治らないんだから誰を連れて来ようと無駄だ、頼むから通してくれ、用があるなら暁の宿に来い、少しの間休む予定だから」


「申し訳ありません、何かあればお伺いいたします、どうぞお通り下さい」


 こうして暁の宿へ到着したがあいにくと大部屋しか空いてなかった、1人部屋で良かったのだが仕方ないので借り受け、シラタマに乗ったまま部屋へと入って寝た、破損させたら修理代金と修理期間に対する補償として倍額出すと約束してだ。

 ベッドに寝に行くのが辛かったためにシラタマに抱き着いたまま寝た、体調が悪い事と徹夜だったので寝つきは良かったのだが、良い具合に寝てる所を叩き起こされた、物理的な意味で。


「マグロ、起きなさいマグロ!」


 とユッサユッサ揺さぶられてる事に気が付き目を覚ました、この声、案の定キャロルだった。


「うー、何処の馬鹿だよ、人が体調が悪いって寝てるのに叩き起こすって鬼畜にもほどがあるだろ・・・」


「それ処じゃないの! スタンピートが発生して猫の手も借りたいのよ!」


「そお? じゃ連れて行け、シラタマなら余裕で蹴散らしてくれるからさ」


「馬鹿な事言わないの、強制依頼よ、断ったら永久剝奪よ!」


「じゃぁ剥奪してくれ、それじゃ俺は寝る」


「はぁ、ほんと重症ね」


「だから言ってるだろ、吐き気はするわ、眩暈がして倒れそうだわで体調最悪で寝てたんだって、頼むから明日にしてくれ、元俺の嫁さん総動員すれば数十万程度蹴散らせるだろ」


「とっくに向かってもらってるわよ、それでも厄介そうだからお願いに来たのよ」


「何処の馬鹿な魔物だよ、俺の体調が悪い時を狙って来たんじゃないだろうな?」


「そんな訳無いでしょ、場所は帝国とエリュードの中間で南部にある死霊の砂漠と呼ばれている場所からアンデッドの大群が来ているの」


「砂漠にアンデッドって変わってるな、乾燥に強い魔物じゃないのかよ、蠍とか」


「砂漠にアンデッド専門と言われるダンジョンがあるの、場所が場所で誰も倒しに行かないからあふれ出して暴走したのね、1つ町を飲み込み更に進行方向にあるローラルが危険なの」


「俺って光魔法はライトしか覚えてないんだよなぁ、しっかし本当に魔物って厄介だなこっちの都合位考えろよボケが」


「魔物に都合も何もないわよ、お願いだから力を貸して、このままだともう一つ町が犠牲になるの」


「それで、その飲み込まれた町って生存者0か?」


「・・・絶望的でしょうね」


「なら遠慮は無用か、それで最終的な敵は何?」


「今朝連絡を受けた時点ではドラゴンゾンビと言っていたわ」


「ランクは?」


「大きさからきっとエルダードラゴンクラスだと聞いているわ」


「それじゃ持ち帰ったら何か素材になる?」


「呪われているから無理よ、そもそも街中に持ち込まれたら呪いをまき散らして手に負えなくなるわ」


「総数は?」


「ローラルからの距離とドラゴンゾンビの居る位置から15万から20万ほどよ」


「なら元嫁さんで対処余裕だろ」


「マグロの様に攻撃魔法を取得してないの、1体ずつの処理だから行軍速度に対しての処理能力が足りないの、普通の武器で傷つかないのも混ざってるらしく、かなりてこずってると報告が来てるのよ」


「ゴースト系でも混ざってるのかねぇリッチとか、よりによって嫁さんと別行動してる時に限って本当に面倒だな、とりあえず案内してもらうぞ、俺の前に乗れ」


「この子に?」


「そう、この子に、歩くのもきついんだからしょうがないだろ、時間が惜しいならさっさと乗ってさっさと案内よろしく」


 テレポーターを使い対象の町へ向かうも近くに行けば行くほど混雑が酷くなりローラルに到着したのは宿を出て3時間ほど経過した頃だった、更に西門まで行くのに更に20分ほど経過、そこでは指揮するツガットの姿があった。


「ツガット、昨日ぶりー」


「やっと来てくれたか、キャロルもすまないな、それで体調はどうなんだ?」


「そりゃ寝る前よりはマシだけど、フラフラするのは治って無いな」


「昨日はピンピンしてたのにどうしたらそんなに体調を崩すんだよ」


「ツガット、世間話は良いですから早く指示をして下さい、まだ戦闘の最中なんですよ!」


「そうだったな、地形を極力変えない様に殲滅してくれないか」


「その前に情報をくれよ、相手は一直線に来てるのか?」


「いや、町に接触した事で若干修正して北東に向かて来てる」


「それじゃ一ヶ所で少し曲がってるがそこに到達するまでは一直線か?」


「そうだな、今戦闘中の場所が若干横に広くなってるが同じ幅で直線と考えてくれたら良い」


「了解、それじゃ、シラタマはここで待っててくれ、サクッと倒してくるわ【フライ】」


 敵の先頭は空間把握内に入っているので問題無く分かる、なぜ直線なのか聞いてたのはブレスで手っ取り早く消し飛ばす為だ。

 飛翔して龍化、こちら側の人員を巻き込まない程度の場所で、尚且つ相手を踏みつぶして着地、ほんと骨ばっかりの軍団だな、汚染されるよりきれいさっぱりした方が良いよな、って事でMP1万つぎ込み口を半開きでレーザーの様に放つ、地表を削り取らない様に若干高めだ、まぁお試しだな、当たらなければ頭を下げれば良いだけ、300発は余裕で放てるから微調整も簡単だろう、横幅が足りないので打ち漏らしの分だけ横にずれて再度放つ、合計4発放ちすっきりしたので飛翔して同じことを繰りかえす単純作業、飲み込まれたと話していた町も外壁共々奇麗に削り取り更地にして10分も立たずに決着がついた。

 移動時間が長すぎる、飛んで来た方が良かったかも・・・と後で後悔した、そして人化してキャロルとツガットと合流する、まぁ踏みつぶした辺りの掃討は彼方に任せよう、時間の問題だからな。


「俺の方は終わったよ、飲み込まれた町を更地にしたけど良かったよな?」


「は? 極力地形に被害を与えない様にと言っただろ」


「あのなツガット、アンデッドの大群に襲われたんだぞ、当然殺された連中も汚染されてる可能性がある、解呪やら浄化を町全体に施せるのか? ゾンビ化したら余計に質が悪いだろ、費用対効果を考えてから言ってくれよ」


「確かにそうだな、悪かった、それで地下部分はどうなった?」


「地表ギリギリを削り取る形で奇麗にしたからな、若干波打ってるが地下は無事だぞ、生存者も数百名程度だけど生きてる、それと前線部分はブレスで吹き飛ばす訳にはいかないから若干敵が残ってるが時間の問題だろうからそっちも任せる」


「ふむ、馬車で行けそうか?」


「石畳の様に真っ平、とまでは言わないけど馬車なら足も取られず行けるよ、助けに行くなら食料と水、それと一応呪い浄化用に聖水を忘れるなよ」


「聖水か、確かに必要な事態になってるとも限らないな、其方の準備も必要だが先発隊を行かせ状況を此方に送る様に手配しよう、体調悪い中で来てもらって助かった、後はこっちで処理するから帰還して休んでくれ」


「それじゃ宿に直接転移する、キャロルはどうする?」


「此処での対応が終ってませんから残ります、今回の報酬をお渡ししますので後程いらして下さい、そうですね3日後程度ならお渡しできます」


「なんだか他人行儀な話し方に変わったな、まあいいか、それじゃシラタマ、宿に帰ろうか」


 その場で【ゲート】を使い、借りた部屋に直接転移するとアマリアとPTを組むと言っていた5名が待っていた。


「お帰りなさい、冒険者ギルド職員と出かけたとお伺いしてましたが、体調は良かったのですか?」


「悪いな、それでも出ないと駄目だったから行って来た、他のメンバーは部屋を取らずに食堂に居るって事は家を購入したと考えて良いのか?」


「はい、支払いも終わり共同名義で購入しました、それでこのまま留まりたいと最後のご挨拶にお伺いした訳です」


「それは良いが、嫁達に挨拶しなくて良いか?」


「カエラさんに家の購入が完了し次第お別れすると伝えてあります」


「それなら良いか、もし、俺に用事があるなら冒険者ギルド職員のキャロルか、もしくはツガットっておっさんを訪ねてくれ、通信水晶を受け取っているから連絡が可能だからな。

 そう言えば忘れてたな、島で果物取ってもらったお礼を渡してないな」


 と白金貨1枚をアマリアに投げて渡した。


「単価が銀貨50枚は行くと思うから当然の手間賃だ、持って行け」


「有難うございました、何から何まで本当にお世話になりました」


「冒険者はいつ命を落としてもおかしくない職業だ、1つの判断の誤りで全員死ぬかも知れん、選択は慎重にな」


「はい!」


 こうして彼女たちは仲間たちと合流して帰って行った。

 シラタマ用に大きな器を出してドラゴンの肉を食べさせ、俺はテーブルと椅子を出しチューリロッサを1個取り出し四分の一ほど食べて仮眠を取り、ライネルの嫁達を迎えに行く為にシラタマに乗り東門前へと転移した。


 そして門へと到着し身分証確認となる所だが。


「これはマグロ殿、本日いらっしゃるとお聞きしておりました、陛下がお待ちですので王宮へお願いして宜しいでしょうか?」


 帝国でも待ち伏せしてこっちも待ち伏せかよ、本当面倒だな。


「内容をお聞きしているか?」


「屋敷の件かと思います、突然消失しましたのでその事をお聞きされたいのかと」


「なるほど、それなら嫁達に聞いてもらえればよかったのにな、それじゃ今すぐ向かってみるよ」


 ふむ、王城にはクリニスとファサラ、宿にはクララとシャロ、他は買い物してるのか、3手に分かれて行動してるんだな。

 クララの魔力が上がってる事から加入が間に合ったようだ、今後の話し合い次第で即抜けてもらうか。


 こうしてシラタマを水晶化し王城へと参上したのだがクリニスとファサラの居る部屋へと案内された。


「迎えに来たよファサラ、クリニス」


「マグロさん、お待ちしていました、それで体調は大丈夫ですか?」


「なんとか落ち着いてきたよ、若干ふらつくけど眩暈まではしないかな、それで何で呼ばれたの?」


「屋敷の件です、住んで頂くために報酬としたのが建物だけ持っていかれかなりご立腹の様でした」


「ふむ、確認したいけど用途に関して何か制限でも掛けられてたのか?」


「用途に関して全く触れられておりません、土地及び建物に関しての譲渡のみです、此方が契約書です」


 と渡された、倉庫並びに大型テレポーターは対象外としファサラに名義が変更されていた。


「使用条件共に問題無いな」


 と契約書を返す、暇だから切り分けた残りを取り出して切り分けた。


「食べて良いよ。

 それで全員に話すつもりだけど、例の助けた人たちだけど彼方で自立したよ、それでお礼を伝えてくれって言伝を受けた」


「彼らもやっと1歩踏み出せましたね」


「対魔物なら実戦経験があるから早々不覚は取らないだろう」


「マグロ、1つお尋ねしたい、突然レベルが上昇したのです、何かあったのですか?」


「帝国の砂漠地帯でスタンピートが起こって、その対応に連れ出されたんだよ、お陰で休んでる最中に叩き起こされて行く羽目になってな、それが原因だ」


「マグロを叩き起こすとは命知らずな者も居るのですね」


「そこはまぁ、俺が転生直後にお世話になった人でな、借りがあるって訳さ」


「それで無理をされてでも対処されたのですか」


「そう言う事、おや、やっとお迎えらしいな」


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