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65:ショボイ決闘

 翌朝、夜間に襲撃を受けずに済んだ、代わりに南へ向かう騎士達と思われる者が大多数移動してたけどな。

 ちゃっちゃと着替えを済ませて1Fの食堂へと降りると幼女が即此方に声をかけて来た。


「マグロ、クリニスとは結婚しないのじゃ、わらわはマグロに嫁ぐのじゃ」


「如何したんだよ突然、考え方でも合わなかったのか?」


「それですがマグロ殿、今回の対応に関して話していたのですが、彼女の対応する方針が過激と言いますか無茶だと言いますか、俺との考えが違いすぎまして嚙みあわないのです」


「どういう風に?」


「今回の対応じゃがな、犯人も特定し証拠も揃っておるのじゃろ、それを対話で解決しようなど生ぬるいのじゃ」


「と言う事です、俺は国の代表として来ています、ですから軽率な行動は慎むべきと何度も言うのですがこの通りです」


「なるほどな、それでクリニス殿はどの程度まで権限を与えられて来てるんだ?」


「もう亡くなっていますがユリウス陛下より威厳を持って接しろ、敵対する様な事が有れば戦争も辞さず対応すると仰られていました」


「ふむ、セル殿に代替わりしてるから分からんが、それなら戦争へ舵を切っても問題無いんじゃないか?」


「ですが俺の判断で戦争へと舵を切った場合多くの人の命が散ります」


「確かに対話で解決可能ならその選択が最高だろうな、命も散らないし。

 でだ、此方の命を散々狙ってきてる奴が対話でとりあえず矛を収めたとしよう、クリニス殿はその言葉を信じられるのか?」


「短期間ならば矛を収めはすると思いますが、長期間となれば信用できません」


「そうだろうな、それでストレイルへまたちょっかいを出し交易路を潰しに来るか、体制を盤石にしたら本格的に侵攻すると思うが、如何かな?」


「可能性の問題としては大いにありうると思ってます」


「そこから先はティアが話して良いかにゃ? マグロ」


「それならティアに任せるよ」


「大いにありうると言ったにゃ、今対応を誤ったら違う面で被害が出るにゃ、今回の様に商人が犠牲になり冒険者にも犠牲が出るかもしれないにゃ、もしくは戦争を仕掛けられ対応が遅れれば一般市民にも擬性が出るにゃ、その芽を摘まないのかにゃ?」


「言ってる事は分かります、どちらに舵を切ろうと犠牲が出ると」


「それじゃ追加にゃ、今この場には【真摯の断罪者】が居るにゃ、帝国とストレイルの対応がどうだったのか知っていれば戦力は把握してるかにゃ?」


「騎士の壊滅、そしてスタンピートの最も強い魔物の殲滅」


「今この場なら証拠も証人も事欠かないにゃ、大義名分なら十分揃ってるにゃ、それでだにゃ、この場で戦争へ舵を切れば加害者が奇麗に居なくなるだけにゃ。

 それでクリニスが舵を切らなかった場合にゃ、その場には【真摯の断罪者】が居ないからにゃ加害者と被害者双方に被害が出るにゃ、被害者にも被害が出る事を厭わないならそのまま進めるにゃ、お勧めはしないけどにゃ」


「・・・・・」


「こんな感じじゃな、自国民に被害が出る方へ舵を切るなどわらわは納得できんのじゃ」


「俺だったらとっくに戦争へ移行して潰してるからな、まぁ分からんでもないか、その前に求婚するなら名前ぐらい名乗ったらどうだ? 俺の事は覚えた様だが怪盗=マグロが俺のフルネームだ」


「それは失礼したのじゃ、わらわはアレッサ、アレッサ=サヴァリドールじゃ」


「それじゃアレッサ、前向きに検討するとしてこの場をどうにかしようか、ユリウスから代替わりしてトップが変わってるからな、そっちの意向を要確認だな」


 これだけ言っても踏ん切りがつかないようだからな、通信水晶で直接聞かせるのが手だろ。


_________________________________________


 通信水晶をポシェットから取り出しセルへとつなげる、10秒も経過せずセルが応対した。


「こちらはマグロ、セル殿申し訳ないな、こんな朝早くから」


〈こちらセルラルファ、これはマグロ殿、聖王国へと護衛でご同行して頂いてると報告を受けていますが、何か問題でも起こりましたかな?〉


「マハタルを出発して以降の相手の出方ですが、報告は受けていますか?」


〈到着早々毒を盛られそうになった事までは報告を受けておりますぞ〉


「それでは追加情報です、彼方の枢機卿ですが此方の命を狙っており、宿へ2度の襲撃が有りました、合計700名規模。

 それと補足ですが、枢機卿直筆の書面を入手し筆跡鑑定をさせた所、合致しまして他人が書いたなどの嘘の自供が出来ない証拠となりました。

 それでですがどうします? クリニス殿は戦争へと舵を切るのを躊躇ってる様子、ストレイル側の意見も聞かなければなりませんがセル殿の意見としてはどうですか?」


〈最初の襲撃の時点で戦争へ舵を切ったも同然ですからな、それも聖王都内でも襲撃したとなれば選択肢として一つしか無いと思ってます。

 マグロ殿、そこにクリニスは同席してますか〉


「セルラルファ様、此方に控えております」


〈では今の会話を聞いていましたね、今期を逃せばまた仕掛けてくるでしょう、それではまた自国民に犠牲者が出ます、私達の立場を考えれば一つの選択肢しかありえないはず、違いますか?〉


「それでは被害が」


 この一言で近くに居たファサラにぶん殴られた、追撃をさせない様に後ろから手を回して止めたけどな。


「よく聞きなさいクリニス、貴方は何の為に騎士となったのですか、相手の騎士を守る為ですか、自国の民を守る為ですか、その様な軟弱な心構えならば即刻騎士を辞めなさい」


「ファサラ、殴っても解決しないからな。

 それでセル殿、クリニス殿は枢機卿を排除したくない様子、如何しますか?」


〈やむを得ませんね、クリニス、貴方の使節団団長の任を解きます、マグロ殿、急遽ですがその地位に立って頂けませんかな〉


「今回の俺は【真摯の断罪者】の単なる一員ですよ、今回はティアに指揮を任せていますから」


〈そうでしたか、それではティア殿、戦争へと舵を切りその指揮をお願いしたい、報酬に関しては此方へ戻られた際に話し合いましょう、どうですかな?〉


「それなら引き受けるにゃ、それで頼みがあるんだがにゃ、此方から一方的に仕掛けても構わないんだがにゃ、其方から正式に宣戦布告をしてほしいにゃ」


〈そう言う事でしたらお安い御用です、1分も掛かりませんのでこの通信が終わり次第行動開始して頂いても構いません、ストレイルへの連絡は此方からしておきましょう〉


「戦闘のみならものの30分も有れば終わるにゃ、事後処理だがにゃ、如何するにゃ?」


〈それでは戦闘が終わり次第此方に連絡をお願いします、その後帰還して頂けませんか、新たな指導者が出来次第改めて交渉の場を構築するよう此方で手配しますゆえ〉


「了解にゃ、それでは失礼するにゃ」

 

 こうして通信を切った。

________________________________________


「戦闘そのものは【真摯の断罪者】で遂行するにゃ、他の者はこの場で待機、身を守っとくにゃ、それじゃ行動開始にゃ! と行きたい所だけどにゃ、先ずは食事にするにゃ」


「相も変わらずマイペースだな、それでこそティアらしいが、そう言う訳なんで出来たのを出すからとりあえず食べようや、腹が減っていは戦は出来ぬと言うからな」


「マグロさん、暴れたりしませんから、その・・・」


「ああ、失敬、追撃させない様にと思ったからな。

 この食卓だと壊れそうで怖いからな、回収させてもらうぞ」


 椅子もついでに回収し、半壊してるカウンターを切り取って収納し、ライネルの屋敷で使用していた50人規模の食卓をデーンと取り出して設置し、椅子も人数分取り出してせっせと料理を並べた。


「各自好きな所に座って食べてくれ」


 この言葉がいけなかったのかアレッサが俺の膝の上に座り俺が食べる予定だった料理を食べ始めた。

 その行動に少しイラっときた俺は腕を回してアレッサの服の上から胸をモミモミ、30秒ほど揉んだ後服の中に手を突っ込み直接揉んでみた。

 あれだ、背の高さが140cm程度とちっこいのに胸の大きさは俺のPT員の誰よりも大きい、張りも半端では無く肌触りもスラちゃんと同程度ですごくスベスベ、しかし何と言うか、これでも動じずずっと食べてるクソ度胸とでもいうのか?

 対面に座ってる使節団の団員は目を見開いてこちらをガン見してるけど、何の反応も無い。

 そこで下半身をと思い手を下に下げていくと腹筋が凄い事になっていた、はっきりくっきりと言うほどがちがちに引き締まっている、表面的には柔らかいが鍛え方が半端ではない、そこで実際に拝むべく服をがばっと捲りあげた、上げ過ぎて胸もさらけ出してしまったが。


「すごい鍛え方だな、これほどとは思わなかったよ、ぱっくり割れてるのな」


「体が資本じゃしな、それに泳いでいれば嫌でも鍛えられるからの。

 婿殿も鍛えておるのぉ、こうして座っておっても引き締まってるのが分かるほどじゃな」


 これで飲み物飲もうと口に含んでた者は垂れ流し、咀嚼していた者は口を止め此方に顔を向けていた。


「マグロ様、それは朝から刺激が強すぎます、その様な事は夜にお願いします」


「そうだな、ちょっと冒険者ギルドに行ってくるよ、アレッサをクランに入れる」


「マグロも大胆だにゃ、嫁にする決意をしたのだにゃ」


「そうだ、これだけ鍛えるには相当な根気と努力が必要だからな、それなら嫁さんになってもらわないと言う選択肢は無い、ちょっと行って来る、食事は後まわしだ、行くぞ」


「それは無いのじゃ!!」


 肉の串焼きを口に突っ込み抱きかかえて転移した、もちろん帝都の冒険者ギルドにほど近い場所で裏道だ。

 こうして抱きかかえて冒険者ギルドに入って行くと早朝な為に居るわ居るわ冒険者がすし詰め状態だ、そしてまたもや揉めてしまった。


「チッ、其処のお前! こんな朝っぱらからイチャイチャしてるんじゃねぇ! うざいんだよ!」


 まぁ、そうかもなと思ったのでアレッサを降ろして素直に謝った。


「すまないな、来たくなかった様だから無理やり連れて来るのに抱きかかえてたんだよ」


「ん? 無理やりじゃないぞ、マグロと一緒なら何処へなりともついて行くのじゃ」


 胸倉を捕まれ。


「無理やりだと、お前の事だから無理やり言わせてるんだろ、おい、こいつを叩き出すぞ!」


「はぁ、登録の必要があったからな、食事を強引に中断させたから今の言葉になったんだ、誤解はしないでくれ」


「犯罪者と思われたくなくて今の良い訳を考えたんだろうがそうはいかねえんだよ、職員、犯罪者鑑定水晶を持って来い!」


「はいはい、俺の方から行くから持って来なくて良いよ」


「なんだ貴様その態度は!」


「朝っぱらから本当にウザイな」


「それはこっちのセリフだ! 決闘だ!」


「そんな面倒な事する訳無いだろ、俺は忙しいんだよ」


〈あの人って例の人だよな〉

〈例って意味が有り過ぎて分からないが、確かに例の人だな〉

〈あの絡んでる奴死んだな〉

〈だな、騎士団全滅に追いやった人に喧嘩を売るなんて、あいつ、自殺願望でもあるのかね〉

〈そう言えば、あいつ、他の都市から来たばっかりであの方を知らないんじゃないか?〉


 そこに割って入って来た猫族の職員が居た。


「何事なの、説明しなさい! ってマグロ、貴方またもめ事を起こしたのね、これだからこの人は・・・」


「やぁキャロル、久しぶり、でもないか、何で帝都に居るんだよ、サパンはどうしたんだ?」


「そんな事はどうでも良い! 俺はこいつと決闘したいんだ!」


 指をさされてこいつ呼ばわりされる。


「止めておきなさい、貴方死ぬわよ」


「もう良いよ受けて立つから、それでキャロル、こっちは俺の嫁になるアレッサだ、【真摯の断罪者】に加入させるから手続きをお願いできないか、今は時間が無いんだよ」


「やっと受ける気になったか、それで良いんだよ、武器有り魔法有りアイテム有りの勝負でどうだ」


「それで良いよ、で、俺が決闘してる間に登録をお願いできないかな?」


「わかったわよ、其方は別の職員を付けるから3人ともこっちについていらっしゃい」


 途中で俺の冒険者カードを取り上げて別の職員に渡し、アレッサを連れて行かれた。

 そしてB1Fの訓練場へと案内され、よくわからん相手と相対する。


「戦闘方に関しては武器有り魔法有りアイテム有りと決まりましたがお互いの要求を述べなさい」


「彼女を解放しろ、それだけだ」


「嫁さん解放しろって何だよ、まあ良いけどさ、こっちからの要求は死ね、それだけだな」


〈やっぱそうなるよな、あの人だし〉

〈俺達ある意味幸運だな、あの人を知ってるだけに命をなげうつような真似だけはしなくて済むし〉

〈今回はどうやって殺すのかな、ミンチに消し炭に感電が一番多いよな〉

〈野次馬根性で来たから言う資格は無いと思うけど、あまりグロイのは勘弁してほしいよな、処理する職員が可哀そうだし〉


「双方飲みますか?」


「問題無い」


「こっちも無い」


「それでは開始します、元皇帝怪盗=マグロ対Bランク冒険者カゼット、始め!」


「なんだよその紹介は、間違ってないんだけどさ、一応Aランクなんだからそっちを添えてくれよ」


 こいつは両手剣持ちの様だ、そして話してる間だが此方に剣先を向け突撃して来る、どうやら刺突で来る様だったのでバックステップで距離を稼いでいた、会話が途切れた所で俺は止まり後ろに【ゲート】を発動してギリギリで横に回避すると自ら飛び込み消えて行った。


「敵前逃亡と見なし勝者怪盗=マグロ!

 それで何処に送ったの?」


「ここのダンジョンだよ、可愛い猫が居るだろ、俺も仲魔にしてるんだよな、そこのボス猫の部屋に送っといた」


「PTなら何とか逃げ切れるでしょうが、1人だと・・・死ぬわね」


「さてと、用事も済んだし、アレッサの加入手続きが済み次第戻らないとな」


「そんなに急いで何の用事があるのよ」


「ライネル国王の依頼でな、聖王国の騎士連中と一戦交えるんだよ、それで他の皆を待たせてるって訳」


「馬鹿、そんな重要な事をペラペラじゃべらないの!」


「馬鹿ってキャロルが聞いたから答えただけだろうに、それに直ぐに情報が拡散するから時間の問題だろ、問題無い」


「・・・・はぁ、もう良いわ頭が痛くなってきた、それよりもツガットが探してましたよ、お礼の品を受け取ってるから早く来てくれないと面倒見きれんぞと言ってましたね」


「面倒を見れって生き物なのか?」


「さぁ、何なのかはっきりとは言ってませんでしたからきっと生き物でしょうね」


「なまじ生きてるのは飼う必要があるから面倒なんだけどな、彼方は今日中にかたが付くから今日の夕刻か明日の朝に来るよ、伝えてもらって良いかな?」


「伝えておくわね、と、話している内に彼方の登録も終わった様ね、それじゃ気を付けるのよ」


 こうして二人で転移した。



















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