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61:処刑

 現在位置、聖王国首都オルレアン外壁門前。


「お待ちしておりました、使節団の皆様、先刻、国境警備の者から龍族の方に騎乗し飛翔され此方へ向かったと報告を受けた次第、まずは宿屋をお取りしておりますのでそちらでごゆるりとお待ち頂きとうございます」


「俺は使節団統括者のクリニス=ヴァンティユだ、宿の確保かたじけない、して、教皇猊下との会談は何時の予定だ?」


「何分此方の予想を上回る速さのご到着、教皇のご予定を整理し時間を取りますゆえ、明日までお返事をお待ち頂きたく思います」


「では、明日中にはお返事を頂けるものと思っておこう、宿までご案内頂けますかな?」


「馬車をご用意しておりますので此方へ」


 宿へと案内されると夕食の準備まで済んでいた、朝から屋敷の調査にライネルに行ったり、今は聖王国の首都と濃密な時間だった、とうに暗くなりかけてるからな。


「此方です、夕刻でしたのでお食事の準備をさせて頂いております、聖王国の料理も捨てたものではありません、ご堪能下さい」

 

 帰ろうとする所をティアが引き留めた。


「ちょっと待つにゃ、其方は教皇猊下の命で案内したのかにゃ?」


「左様ですが、如何かされましたか?」


「なるほどにゃ、教皇猊下にお礼を申し上げるにゃ、其方は帰ってはダメにゃ、客をもてなすのに執事が帰っては誰がもてなすのにゃ?」


「いえいえ、私などが居ては寛げません、気兼ねなくごゆるりとお過ごし下さい」


「マグロ、そいつを拘束するにゃ!」


 がっしり捕まえ、食卓の並んでる席へと強引に座らせた。


「使節団員は料理に近づくんじゃないにゃ、これは命令にゃ、壁際にでも並んで待つのにゃ。

 宿の責任者は誰かにゃ? 出て来るにゃ」


「私ですが、如何されましたか?」


「従業員を全員連れて来るにゃ、短時間でこれほどの料理にゃ、お礼が言いたいのにゃ」


「何分手が離せない者も居ますのでご勘弁のほどを」


「ダメにゃ、力づくで呼ばれたいのかにゃ? 此方にはSランク冒険者が居るのにゃ」


 しぶしぶ他の者に呼びに行かせ、集合した所に椅子に座る様に命令した。


「これじゃ役者が足りないのにゃ、セレス、シェル、シャロ、この都市の衛兵を呼ぶのにゃ。

 宿で客同士が喧嘩を始めて手に負えないのにゃ、仲裁をお願いするのにゃ」

 

 セレスとシェルは良く分かってない様だ、シャロは嗅覚が敏感だ、気がついてるだろうな。

 決定的な状態を衛兵に見せつけるつもりだろう、その前に聞いた教皇猊下からの命令だと言う言質を取ったのは大きいな。


 そして5名の衛兵を連れて来た。


「客同士の喧嘩だと聞いて来たがどうしたのかね? その様な様子では無いようだが」


「ご足労お願いして悪かったのにゃ、嘘を言って悪かったのにゃ、今からの事を見届けてほしいのにゃ、宜しいかにゃ?」


「短時間なら構わんが、此方も巡回の途中なのでな、その辺を考えてくれ」


「了解したにゃ、では使節団を案内してくれた其方、此方へ案内し料理を振る舞うように命令を下したのは教皇猊下とおっしゃたにゃ、そうだにゃ?」


「ああ、確かに言った、教皇猊下の命でご案内し、料理を振る舞うようにも頼まれている」


「では次にゃ、この命令を受けて宿の者が料理を作ったのにゃ、間違いは無いかにゃ?」


「確かに私たちが調理した料理に間違いない」


「なら食べるにゃ、使節団に振る舞う予定の食事にゃ、不味いはずがないにゃ」


「私たちが料理に手を付けたとあっては教皇猊下へ面目が立ちません、お断りいたします」


「衛兵の皆さんにお願いがあるにゃ、無理やりこいつらに食べさせるにゃ!」


「その様な命に従ういわれは我らに無いぞ、無理に食べさせては傷害とも受け取られかねん」


「にゃははは! 責任はティアが取るにゃ、強要されてこの様な振る舞いをしましたと上官に告げるにゃ」


「そこまで言うなら後は知らんぞ、おい食べさせるぞ!」


 一人は監視し、二人一組で食べさせるようだ、飲み物が一番手っ取り早いと思ったんだろう、一人は顔を固定して口を開かせて若干上に向ける、もう一人は鼻を塞ぎ口に流し込み強引に胃に入れる、そして吐き出さない様に口を塞いだ。


「さて、ティアと名乗ったか、其方の要望の通りにしたぞ、後はどうするんだ?」


「数分待つにゃ、直ぐに効果が出始めるにゃ」


 毒が強かったのだろう、1分も経たずに効果が表れた。


「ぐぅうぅ、頼む解毒薬をくれ! このままだと死んでしまう!」


「と言う訳にゃ、教皇猊下がライネルとストレイルからなる使節団を毒殺しようとした現場にゃ。

 理解したかにゃ?」


「他の衛兵を連れて来い! この者達を拘束するぞ!」


「ちょっと待つにゃ、今の時間、教皇は何処に居るにゃ?」


「大聖堂にいらっしゃるかと思うが・・・」


「場所は何処にゃ」


「都市中央の一番大きい神殿だ」


「聞いての通りにゃ、クリニスは付いて来るにゃ、それとストレイル側の代表のトップも来るにゃ、乗り込むにゃ!」


「さすがティア、一気にの罪を明白化してトップから仕留めるか、しかし馬鹿な真似をしたな、嗅覚の鋭い者が居るとか考えなかったのかね」


「相手が仕掛けて来た事にゃ、利用しない手は無いにゃ、残る者はこの地にて待機して身を守っとくにゃ、【真摯の断罪者】と代表二名で乗り込むにゃ、出発にゃ!」


 俺はシラタマを実体化して猫騎兵、皆の後ろから続いた。

 場所は分かりやすすぎる、大きすぎて目立ってるからな、そして入口に到着した。


「現時刻の参拝はおこなっていない、後日に改められよ」


「我らはライネルとストレイル連合の使節団だ、我らをもてなすとたばかり毒殺しようとした、責任者を出せ」


「その様な戯言、我らが聞き届ける訳あるまい、出直してまいれ」


「我らの為と宿を取っていたが、その場で衛兵にも確認を取らせ、命じられていた者は拘束済みだ、疑うのなら確認しろ」


「チィ、おい、宿の場所を知ってるな? 確認に行って来い」


 命じられた者が足早に宿へと向かった。


「お聞きしたい、確認が取れ次第、命令した者を此方に引き渡して頂けるのだろうな?」


「本当であれば引き渡すしかあるまいよ、使節団を狙ったとなれば死刑は免れまい」


「その言葉を覚えておくにゃ」


 くくくっ、これで教皇猊下の首にも縄が掛けられたな、さてさて、引き渡す段になったらどんな対応をして来るか、邪魔した場合は匿ったとして全員殲滅対象だな。

 ティアは結構慎重なタイプか、俺なら一度帰還して正式に抗議と共に宣戦布告、一気に戦争化して叩き潰すけどな。

 宿へは近い為、20分程度で戻って来た。


「此方の方が申した事は本当です! 準備された食事の一部を衛兵の手で食べさせた所、毒であった事が発覚、その者はその場で死に遺体となっております。

 現在はその食事を準備した宿の者達は全員が捕縛され、証拠品の食事も確保済み、一部を鑑定の為サンプルを冒険者ギルドに持ち込み、鑑定させています。

 食べさせる前ですが、教皇猊下の命で準備された食事だとその場の者達全てが聞いており疑いようがありません!」


「と言う事だにゃ、先ほどティアに言った言葉を復唱するにゃ!」


「・・・本当であれば引き渡す・・・死刑は免れない」


「よく言ったにゃ、今の言葉を聞いたかにゃ、乗り込むにゃ!」


「お、お待ちください! きっと何かの手違いです!」


「庇うと族を匿ったとして死刑にゃ、死にたいかにゃ? 引くにゃ!」


「はい!」


 自身に身を引かせて横を通り過ぎ、メテオブレイカーを取り出して扉に振るい、粉砕して乗り込む。

 この手のお偉い方は上に居たがるからな、どんどん上層階に移動するように指示する。

 入り口には兵士が立っているだろうと辺りを付けて到達した。


「何者だ! ご許可なく立ち入りは許さん! 即刻立ち去られよ!」


「我らはライネルとストレイルの使節団だ、この度命を狙われ、その首謀者の身柄を確保に来た、この部屋の主は教皇か?」


「確かに教皇猊下のお部屋だが、その様な族などこの大聖堂にはおらん、さっさと去れ!」


 この言葉を聞いたティアは敵と判断したのだろう、兵士ごとメテオブレイカーで扉を粉砕し中に入った。


「先ほどから何事、この部屋には許可なく入る事はまかりならん、即刻出ていかれよ」


「ボケるのも大概にするにゃ、命を取り損ねた感想はどうにゃ? 毒殺など看破するのは簡単にゃ、それじゃ来てもらうにゃ」


 髪をひっつかみ抵抗されようとそのまま引きずり出して宿まで戻ると、先ほどの衛兵もその場で待機していた。

 俺は宿の中へシラタマは連れて行けないので水晶化して収納した。


「使節団の命を狙ってた族の頭を捕まえて来たにゃ、この場で処刑するかにゃ?」


「きょ、教皇猊下!」


「そうだにゃ、命を狙ってた張本人にゃ、当然死刑だにゃ?」


「わ、私では判断付けかねます、ご容赦を!」


「それなら誰が判断付けれるのにゃ?」


「教皇猊下の不在時に指揮を取れる方となると・・・枢機卿のアレハンドロ=トランスト様以外には判断は出来かねると思います」


「それでは、アレハンドロ殿に裁決を出させるにゃ、今回の会談もその方になるのかにゃ、何時会えるにゃ?」


「裁決はお待ち下さい、我々が報告し判断して頂きます。

 会談ですが、アレハンドロ様にもご都合があるはず、この場で断言は出来かねます、明日中にお伺いすると言う事でお願いできますか?」


「了解しました、アレハンドロ殿との会談の際にこの者を連れて行きますので、それまで此方で身柄を確保

させて頂きますが、宜しいか?

 あなた方が身柄確保した場合逃がしかねないと思われますゆえ、そうなれば貴国と完全に戦争へと移行しますが如何に?」


「わかりました、その旨上官へと報告し、不都合があれば参上いたします。

 この宿はお使い下さい、無人ですのでいかようにでもどうぞ」


 言い残して去った。


「さて、この者の処遇と食事は如何するか、ティアどうする?」


「皆で帝都に行くにゃ、ツガットに依頼して冒険者ギルドの地下牢に放り込んで食事に繰り出すにゃ」


「ま、常時見張るよりはいい選択だ、クリニス殿、行くとしよう【ゲート】」

 

 そう、無詠唱版の【ゲート】も会得した、門と行先を思い描いて発動する簡単な事だ。

 帝都の冒険者ギルド入口の脇に繋げたのだ。

 居るようだな、中へと入り呼んでもらった。


「数日ぶりって所か、結構遅くまで働いてるんだな」


「マグロか、例の農家への分配の件を纏めて金貨を別けていた所だ、此処まで来たって事は何か用事があるんだろ?」


「それはティアが話す、今【真摯の断罪者】の指揮官はティアだからな」


「そう言う事にゃ、此奴はティア達を毒殺しようと食事に毒を混ぜる様に命令した奴にゃ、刑の確定まで預かってほしいのにゃ、可能かにゃ?」


「くくくっ、がっはははっ、今時マグロ達に戦争仕掛けるような真似をする奴も居たんだな、預かるよ、それでこんな馬鹿な事したこいつは何者だ?」


「この格好じゃ判断は無理かにゃ、聖王国の教皇猊下と呼ばれてた奴にゃ」


 政務は終了していたんだろう、ラフな格好してるからな。


「グフッ、おいおい! 帝国からも正式に抗議する予定だったんだぞ、何でこんな事になってるんだ?」


 事のあらましをザックリと説明して地下牢に放り込み、食事がまだとの事だったので一緒に出掛けて食事を済ませた。


「そうそう、ツガット、俺が引き取りに来るから何時でも出せるように手配をお願いするよ。

 話を変えるが、例の金な、ザックリとしか計算してないからな、足りない場合は言ってくれ、帝位を投げたとはいえ、そちらへの支払いに関しては責任を持つからな」


「それは有りがたいな、と言っても足りると思うぞ、今16都市の配分が終わってるが、かなり余裕がある、残ったらどう扱えばいい?」


「そうだな、漁業の道具は単価が高いからな、船を調達すれば猶更だ、そちらの資金に回して良いぞ、カラミティに渡しておけばうまくやるだろ」


 先方の地に突然の訪問者が来るかもしれないからと断り【ゲート】で転移してその日は就寝した。

 翌朝、調理済みの食量を出して食べていると、とはならなかった。

 深夜に200名からなる兵に宿屋を包囲された、助けに来たのだろう。


(ティア起きてくれ、お客さんだぞ、それも命を狙ってるな)

(にゃぁああ・・・煩わしいのが来てるにゃ)

(そうだ、お客さんだ、宿が包囲されてる、いや、突入されたようだ)

(打って出るにゃ、安眠妨害だにゃ、イライラするにゃ! マグロは外の敵を頼むにゃ、ティアは中の掃除をするにゃ)

(了解、外と内から挟み込もう)

(出陣にゃ!)


 宿の窓から目を瞑り外へ飛び下りながら光度通常時の5倍、敵の顔を挟み込むように飛翔、全ての敵を通過した後拡散【ライトボール】×2。

 瞬間的に圧倒的な光源を見た敵兵は目つぶしを受けたも同然、後はハルバードで胸辺りを突いて回り、更に一周して回収、宿の中に入るとすでに終わっており、そちらも回収し眠いについた。

 翌朝、俺の出した食料で食事を済ませて話し合う。


「相手が来るまで各自休んでおけ、警戒だけは怠らないようにな」


「せっかく来た聖王国の首都、観光に繰り出すにゃ、とはいかないんだにゃぁ、使節団の一員がうろうろしては怪しまれるのにゃ」


「それなら、俺は昨夜起こされたからもう一度寝て来るわ、何かあれば起こしてくれ」


「それならティアも起こされたのにゃ、一緒に寝るにゃ」


「マグロ殿にティア殿、夜間に何かされていたのですか?」


「気がつかなかったのかにゃ? 気がついた人は手をあげるにゃ」


 【真摯の断罪者】全員とSランク冒険者が1名、呑気なのが多いな、敵地なのに気が緩み過ぎだ。

 俺達が居なかったら全滅確定だな。

 俺が起こしたけど、ティアは気がついてたのかね?


「族が侵入して来たのですよ、いち早くお二人が察知され行動に移されましたのでそのまま休んでいましたが、クリニス、貴方まで気がつかないとは、気を緩めすぎですよ」


「も、申し訳ありません母上、敵地だと認識を改め、気を引き締めて事に当たります」


 こうしてティアを抱き枕に眠りにつき、どの位寝ていたのかセレスに起こされ昨日の衛兵が来た事を教えられた。


「では、揃われたようですので決定事項をお伝えします、使節団を襲うなど言語道断、その様な者は教皇にあらず、都市外ならば何処でも執行して良いとのお返事を頂きました。

 会談ですが3日後早朝、都市から南へ3km地点にて天幕を張り、その地にて行うとの事。

 次期教皇の選抜まで大聖堂を閉めるのが仕来り、よって郊外で行う、と言う事です」


「確認させて頂きたいにゃ、先ず元教皇の扱いにゃ、此方でいかようにも好きにしろ、そういう意味で良いのかにゃ?」


「左様です」


「その作戦に参加した者も、この者と同時に刑を執行するにゃ、此方に引き渡すにゃ」


「頼まれた際には引き渡す様に仰せつかっております、刑の執行の際にはその場に連れ出しましょう」


「では次にゃ、用意された毒入り料理にゃ、今も保管してるかにゃ?」


「それは証拠品ですので保管してあります、刑の執行と共に処分する予定です」


「なら、それは寄越すにゃ、刑の執行に使うにゃ」


「では、腐る前に刑の執行時期を決めましょう、明日中で無ければ腐るかと思われます」


「なら、マグロに引き取りに行かせるにゃ、次にゃ、刑に処す正式通達の書面を寄越すにゃ」


「口頭のみで、書かれた書類はありません」


「ふざけるにゃ! 相手は教皇にゃ、正式な刑の執行に判決文も無ければ処刑の命令書すらないなんてありえないにゃ! 誰が執行の判断をしたのか後の禍の元になるにゃ、即刻書かせて持って来るにゃ! その場に居合わせ、内容が今回の事とズレが生じない様に監督するのにゃ! 復唱!」


「枢機卿様に刑の判決文を書いて頂きます! その際に掛かれる内容に差異が生じない様、証書作成の際に立ち会います!」


「ちょと待つにゃ、書かせる事を口実にこちらから出向くのもありにゃ。

 ・・・これまでとこれから、マグロならどの様に対応してたにゃ?」


「そうだな、毒入り夕食を衛兵に確認させて捕まえた後に国元へ帰還、公式に抗議と同時に宣戦布告して2日から3日程度時間を与えて侵攻、一日で決着をつける、これなら実質2日でここに居る上層部を丸ごと根絶やし、軍部もある程度叩ける。

 今からでも出来ない事は無いが、枢機卿に判断を仰いだ次点でやり難くはあるな。

 今後は2点考えられるか。

 1:今から乗り込み身柄を拘束、屋敷にガサ入れして証拠を押さえ、その証拠に基づいて下まで釣り上げる、これは証拠次第だな、結構下が残る恐れがある。

 2:会談で例のプレゼントをすれば、立地もあり攻撃して来るだろう、それで罠ごと噛み破って殲滅するって手だな、屋敷にガサ入れはこの後にすればいい、攻撃して来なくても拘束するけどな、この場合も下は残るだろうけど軍部をある程度叩けるな。

 これは予備とでも言うべきか、今から書かせる書類を筆跡鑑定させればいい、その手の職人が居ればだけどな、以上だ」


「流石マグロにゃ、2と予備を選択するにゃ。

 それと、拒否された場合は直ぐに戻って来るにゃ、その場合はプラン1に変更にゃ。

 もう一点にゃ、会談の場所と日時に関しては了承したと枢機卿殿にお伝えするにゃ。

 行動開始!」


「ちょっと待てティア、それのみじゃ不審がられて終わりだろ、色々と説明しなきゃ、彼らが逃げるぞ」


 なぜ戦争などと物騒な話になったのかをかいつまんで説明し送り出した。

 それから1時間ほど経過した後、先ほどの者に4名が付き従い入って来た。


「待ってたにゃ、首尾は如何だにゃ?」


「今居る5名で立ち合い、書いて頂きました、此方です」


「今はまだあなたが持っているにゃ、質問にゃ、この都市に筆跡鑑定が出来る者は居るかにゃ?」


「居ますが、先ほどの件でしょうか?」


「そうにゃ、金貨100枚支払うにゃ、今してる仕事を討ち止めてでも来いと言って連れて来るにゃ、もちろん、鑑定の準備と鑑定書を書く準備も怠りなくにゃ、行って来るにゃ!」


 めっちゃこき使われてるな、ティアの迫力でまるで上官のような振る舞いだ。

 それから30分程度後に鑑定士が到着、衛兵が持ち込んだ書類と、使節団の持ち込んだ証拠と比べられ、同一人物の書いた物と断定、証明書を受け取り金貨を手渡した、その際に金貨50枚を別に取り出した。


「こき使って悪かったのにゃ、これはお礼にゃ、一人10枚ずつ受け取るにゃ。

 もう二つお願いがあるにゃ、マグロを案内して、消すことが出来ない印を付けた後に食料を渡すにゃ。

 それと、明日の早朝2時間後に刑の執行が執り行われる事を広めるにゃ、場所は南門前に出て若干西にするにゃ、街道を塞ぐ訳にはいかないのにゃ、如何だにゃ?」


「ご配慮感謝します、場所の選定はそれでよろしいでしょう、残り二点も了解しました、巡回の折に広める様に同僚にも伝えておきます、それではマグロ殿、向かいましょうか」


「最後に一つだけ話しておくにゃ、会談の日は昨晩に出された食事に当たって防衛部隊全員が下痢と腹痛で病欠にゃ」


 俺は指示通り案内されるまま付いて行き、皿にナイフで番号を刻み込み、振られた次から次に収納し宿屋へ帰還。

 翌日の早朝に帝都の冒険者ギルドに身柄を受け取りに、そのまま聖王国首都の南門へ転移し待つ事にした。

 ふれて回ったおかげか、外周壁上に駆け付けた者も大勢いる。

 30分程度前には首謀者に加担した宿の者も連れて来られ、使節団の面々と共に【真摯の断罪者】のメンバーも到着した。


「予定よりだいぶ早いにゃ、食卓など準備を始めておくかにゃ?」


「そうだな、あらかじめ出しておき、当時の食事に出された品だとの確認を済ませてもらおうか」


 ライネルで使用してた食卓を出し、処刑される人数分の椅子を並べ、食事の準備を始める、毒入りだが。

 当時5人の衛兵に確認された後、判決文を読み上げられ枢機卿の名の下に刑が執行された。



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