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58:執行

「他にも質問のある方はいらっしゃいますか?」


 一人手を挙げてる者が居る。


「では其方の方」


『全体的な罪状は理解しました、これから処刑する、その方個人の罪は何でしょうか?』


「確かにその説明が済んでませんでした。

 彼はアグニス、ライネル国王のユリウスの実弟で竜騎士団の団長、先ほど説明した通り、スタンピートを引き起こした者を匿い、保護した罪だ。

 さらに言えば対象のレベルは240台、並みの者では聞き出す処か返り討ちに遭うのが関の山、よって高レベルの者が相対する必要がある。

 それが可能なのは、ライネルの王宮に務めてる中にはユリウスとアグニスしか居ないと思われる。

 口を割る責務を放棄するどころか保護に走った、罪は明白だ、これで良いかな?」


『わかりましたがもう一つ、マグロ様がお調べになる事は出来なかったのですか?』


「時間的に無理だった為だ、当時はスタンピート直後、事後処理で長時間拘束する手間が惜しい為に親交のあるライネルへと引き渡し、その役目をお願いした」


『マグロ様が引き渡す時、すでに二人しか対応できない事をご存知だったのですよね、事後処理よりも魔族を拘束して口を割らせる事の方が重要だったのではないですか?』


「其方の方、罪状の説明から脱線してるぞ、だが答えよう。

 事後処理もだがもう一つ問題を抱えててな、ストレイル内の交易路が狙われる事件が頻発していた、此方の対策も必要だった為にブロッサスの為に時間を割く余裕が無かった為だ。

 そしてその当時、ライネルの上層部がスタンピートを引き起こす様な輩と結託してる事を知らなかった。

 無理な要求だったのかもしれないが、蓋を開けてみればこの通りだ、あの時預けた俺を褒めてやりたい気分だ、以上かな?」


『以上です、ありがとうございました』


「他に質問のある方はいらっしゃいますか?」


「そろそろ良いだろうマグロ、それでは処刑を開始する!」


 アグニスを龍化させ、執行は俺がする、これだけは他の者に任せられない。

 処刑する決断をしたのは俺、他の者に任せて責務を放り出す訳にはいかない。

 回転運動で下から切り上げる、一太刀では斬り飛ばせないので何度も振るう、常人には見えないがな、視認可能なのは俺のクランの者達でも一部だろう、レベルが高くとも慣れない速度は追いきれないからな。

 後は予定の通りだ、血を回収し頭と体を収納し完了だ。


 観衆に来ていた者達も刑の執行がなされ遺体を回収するとそれぞれ解散して行った。


 ファサラの横を通り過ぎる際にぼそっとつぶやいた。


「すまないな、ファサラ・・・・」


 何とも後味が悪いな、さっさとブロッサスと手を切っていれば死なずにすんだものを・・・・


「大丈夫ですかマグロ様、顔色が優れませんが」


「済んだ事だ、大事ない、それでトロイア殿、ライネルへ人を送るか?」


「その事ですが、派遣しない事に決定しました、確認はライネルの冒険者ギルド職員にお任せします」


「そう言えば国家間の垣根は無かったな、了解した、俺達は残りの罪人を連れ出してライネルへ行く、緊急の要件があれば通信水晶で」


 こうして宿へ戻り全員を連れてライネルの西門前へと【ゲート】で転移し王城へと向かう。


「お帰りなさいませ、謁見の間にて皆様をお待ちです、そのままお進みください」


 謁見の間前の警備兵に扉を開いてもらい入場する。


「良くぞ戻られたマグロ殿、して、どの様になりました?」


「ただいま帰還しましたセル殿、先方の要請でアグニスを公開処刑と致しました、遺体は回収しております。

 遺体の扱い、及び他の者達の処刑は何時に致しますか?」


「ユリウスとシャルを処刑する際にアグニスの遺体の見聞をしましょう、その後はマグロ殿にお任せします。

 処刑する旨の通達は済んでおります、後は時期の発表のみ、明後日ではどうですか?」


「マグロ様、していた事は褒めれれた事ではありませんが本当に刑を執行されるのですか?」


「勿論だ、処刑せずに生かした場合どうなるか予想がつかないか?

 予想の中で一番最悪なのを伝えようか。

 生かせば当然セル殿と俺の判断だと見られる、即気がつくだろ、身内を生かす為に甘い判定をしたと。

 この事を知ったスタンピートの被害者家族は当然抗議の声を上げる、上層部も賛同するだろうな、危うく国が亡びる規模だったんだ。

 ただの抗議で済めば良いが、食料供給を断絶すると判断を下されたらライネルはどうなるか、ティア答えてみ」


「急遽購入先を帝国に切り替えるにゃ、だけどその環境が整って無いからごく少量にゃ、良くて民がいち早く察知して逃げ出すにゃ、これでライネルの滅亡にゃ。

 悪くて市民が気がつくのが遅かった場合にゃ、ライネル脱出するにも辿り着くまで食料が必要にゃ、だけど足りずに途中で餓死にゃ。

 どちらにせよライネルの滅亡にゃ」


「と言う事だ、この最悪の想定をストレイルが判断しないと言い切れるならセレスの判断でシャルを生かせ。

 もし、その判断が誤ればライネルが滅ぶ、その責任が取れるか? 取れるなら生かして良いぞ、擁護したら首を取ると言ったが、俺はセレスの首は取りたくはない、この世界で一番大切だと思ってるからだ、これが最大限の譲歩だ、好きにしろ」


「お待ちくださいマグロ様、私は覚悟を決めております、娘を生かせばライネルの危機、その様な判断を下してはなりません。

 娘の罪は明らかです、処刑して下さい」


「俺が居たら意見のすり合わせもしずらいだろ、俺は別室で決定を待つよ、決まったら呼んでくれ」


 一人退出し、メイドさんに案内されて待合室に通された。

 決定までは暇だな、スラちゃんをモミモミしたかったが何時もの子はカエラさんとこに行ってたな、時空間魔法書でも読んどくか。

 空間拡張:スキル保有者がその内部に魔力を放出し一定濃度を超えた場合、空間が拡張され魔力濃度が下がる、更に魔力を込めれば込めるだけ空間が広がり一定濃度まで下がる、1度広がれば魔力が霧散しても元には戻らない。

 簡単ぽいな、何処か不要な家って無いかね、広くなりすぎたら逆に困るし、解体予定の家が一番最適なんだけど。

 考えていると決定したと呼び出されて謁見の間へ通された。


「マグロ殿、全会一致で処刑する事となった、ライネルの問題で貴殿の家族にまでご迷惑をお掛けした事、此処に謝罪します」


「マグロ様、申し訳ありません、マグロ様をお支えすると誓った身、なのに私が心労をお掛けしました、死んでお詫びを」


「早まるな! 心労と言うならセレスが死ぬ方が余程堪える、俺の事を考えるなら生きろ!」


 正面から抱き寄せて背中をポンポン叩く。


「セレスは愛されてるにゃぁ、羨ましいにゃ」


「さっきはセレスが1番と言ったが、甲乙つけ難い、誰一人として欠けてもらっては困るんだよ、この世界で唯一俺の心の支えなんだからな。

 ついでに言っておくぞファサラ、卵を産んでもらうと決めたが、2個目を産んで後追いなんか絶対にさせない、俺の嫁になってもそれから10年間は奴隷だ、肝に銘じておけ」


「感謝します、マグロさん」


「俺たちの関係はこれからも変わらない、この件は終わりだ。

 それで処刑した後なんだが、一応素材としては血も取ってはいるが、使う気にはなれないな、遺体に鞭打つつもりもないし、何処かで供養すべきだと思うが、ファサラどうだ?」


「魔石のみ手元に頂きたく思います、他はいかようにもお使い下さい」


「如何されます? セル殿」


「素材としては有用なれど、ファサラ殿の事を考えればどの様に扱ったものか、マグロ殿に一任させて頂く」


「ん~、最後はこの様な結果になったが、この地を長年守って来た事には変わりない、頭部を焼き、遺骨を納める事で墓を建て供養しよう。

 体は魔石共々ファサラに渡す」


「ありがとうございますマグロ様」


 これ以降の処刑に関してザックリ言えば、二日後にユリウス、シャル、カロライナの処刑、アグニスも含めてセルが喪主となり弔った。

 葬儀の翌日、王宮に呼び出された、セルより依頼があったらしく、カサンドラさんより連絡がありクリニスに関して報告を受けた。

 クリニスが言うには、自身も魔族と手を切る様にと諫めたかったが、諫めたセルの前例があり、身の危険を感じた為に放置していたとの事。

 叔父や家族の死刑も止む無しと考えているようだ。

 

 ブロッサス以外の刑が執行され、セルとの連名でこの事を大陸全土の国々へと伝えられた。


 現在位置はと言うと、カスタルからリスタルへ向かう馬車の中だ、飛ぶなりテレポーターを使えば即座に着くが意思疎通も必要、休息も必要、その事からカスタルで馬車を2台手配し、会話しながらのんびりと向かう。

 カスタルまではどの様に行動したかって? 飛んださ、此処から先は飛ばずにマッタリ行こうと言う話になっただけだ。

 ブロッサスはライネルに預けたままだ、船の手配次第で迎えに行く事となっている。

 シラタマ用の鞍を使いまわし乗り心地に関しては好評であったが1点だけ問題が出た。

 猫の習性か獲物を感知すると狩らずに通り過ぎれば良いのを狩りに行ってしまう、DEXが高い為馬には追い付くけどな。

 護衛として配置するのが一番良さそうだ。


「マグロ様、キャット種は護衛には向きますが乗り物には不向きと思います、スレイプニールを確保する事も今後の候補にしますか?」


「そうだな、早急に必要とまではいかないけど、飛んで移動するとどうしても警戒される、スレイプニールの時点で警戒されるけど、実力がある事を周りに知らせる効果も期待できそうだし。

 その内にはほしい所だな」


「それでしたらマグロさん、帝国最北端の町、リズラルで交易商の護衛任務を受けて入国するのが一番警戒されないと思いますよ」


「俺たちのクランは知られてる可能性が高いからな、順を踏んで入国する方が望ましいか?」


「かの国は軍事面に力を入れてます、国境の警備も当然他国より厳しく、不法入国すればどんな咎があるか判りません。

 正規の手段で入国が望ましいでしょうね」


「俺たちはそれで良いんだが、カエラさん達は如何するかな、ずっと連れまわす訳にはいかないよな。

 商人であって冒険や探検とは無縁だったんだし」


「それは例の魔族の長を倒した後ですよね?」


「うーん、それなんだが、帝都の一件で魔族の地位は回復傾向にあるだろ、これが全土に広がれば魔族達も落ち着くと思うんだがどうだろう?」


「それは甘いにゃマグロ、前に予想してたてた事を忘れたかにゃ? 10年以上かかると言ってた事にゃ」


「確かに検証と対策を考える必要は無くなったが数年で解決するか、自然消滅か二者択一だろうな」


「マグロ様、今回の件であまり乗り気ではないのですね」


「そうだな、必要だったとは言え、曲りなりにも世話になった相手だったからな。

 陛下とやらは倒す必要があるけど、これと敵対したら倒す必要が無い者まで巻き込まないかとな。

 ただでさえ人口減少してる中で追い打ちをかける事になる」


「対話で済めば良いのですが」


「それも難しいな、強硬策をして来た所を潰したからな、俺だったら全面抗争だな。

 と、脱線したな、考えてもらうのは奴隷解放後だな」


「本人がもう一つの馬車に乗ってるにゃ、直接聞くのが一番にゃ」


 カエラさんからの返事はその時になって決める、だそうだ、分かれるとの選択をした場合は直通の通信水晶を互いに持っていれば良い、リスタルに拠点を買うつもりだしな。

 こうして総勢13名(御者は除く)、馬車二台でリスタルへと向かい到着した。


「海は遠目にしか見えないが磯の香りが漂ってるな、何年ぶりか、魚釣りもしたいな」


「一般の人にとっては命がけですよね、フィッシュ系やサハギン系などは一番遭遇しやすいですし、テンタクルス系に襲われたら大型船でも沈みかねませんからね」


「それって凶暴な魚に、半魚人にデカイイカって事か?」


「大体合ってますね、フィッシュの中には飛んで噛みつきやヒレでの斬撃攻撃、サハギンは槍、魔法では水魔法を多用してきます。

 テンタクルスに至ってはその巨体が一番の脅威ですね」


「海水は塩水だろ、電撃が通しやすいってな、大量に来ないかなぁ、経験的に美味しそうだ」


「あら、マグロ様、サハギンは解りませんが、他の二種には食べられる種も多く、美味しいと聞きますよ」


「襲って来ないかな、不謹慎だけど、俺が飛び込んで倒して来るのも有りだな、風魔法と水魔法を両立させれば余裕で水中戦も出来そうだし」


「マグロ、とりあえず宿の確保か商業ギルドへ行くのにゃ」


「そうだな、こんな場所で話し込むと迷惑そうだ、商業ギルド近くに宿を取って商業ギルドに行こう。

 そこで二手に分かれる、一方はクランの所在地、じゃなかった、あれだ、拠点の確保だな、屋敷を購入してもらう、冒険者ギルドにクランは立ち上げたが拠点登録をしてないかったからな、そちらはセレスとシェルを主として向かってもらう」


「お任せ下さいマグロ様、規模はどの様に?」


「馬車の停留場2台分以上、馬8頭以上の厩舎付き、地下室付き、管理人を雇いたいから宿泊可能数は25人から30人程度って所かな」


「了解しました、見合った物件が無い場合はどうしますか?」


「建てられる規模の土地を確保してほしい、新築にするのも手だろ、その場合は大工に発注も可能ならしておいてくれ、地下室を2部屋頼むな」


「了解しました、道路で話し込むのも邪魔ですので、早速向かいましょう」


 御者に位置を聞いていたので迷わずに行ける。

 流石商売人、商業ギルドの道挟んだ正面にランク別の宿が営業していた、当然の如く上級宿に部屋を確保し商業ギルドへ。

 セレス達は大きい屋敷を取り扱う不動産屋を紹介してもらい颯爽と出かけて行く。

 俺の元に残ったティアとシャロの2人はいまだ留まっていた。


「少々すまないが、船の運航に関して詳しい方がいらっしゃらないか?」


「それでしたら港近くに漁港組合がありますので、そちらでお聞きになるのが一番でしょう、場所はご存知ですか?」


「今来たばかりなんだ、道順を教えて貰えないか?」


「それでは此方をお持ちください、主要な販売店やギルドの位置などを示した地図になります」


「ありがとうございます、助かります。

 もう一つお尋ねしたい事が、島の土地に関してお聞きしたいのですが、バルカント諸島はストレイル管轄の土地なのでしょうか?」


「そうですね、あの群島の周辺は岩礁が非常に多く、接岸が困難な事から各国とも領有権を放棄したはずですが。

 明日までお時間を頂ければ確認しますが如何なさいますか?」


「ぜひお願いします」


「了解しました、明日日の出以降にお越しください」


 地図を頼りに進む、海岸線へ辿り着くと完全に漁港だな、昼過ぎた頃だが荷揚げしてる船もちらほらあり、競り場だろう、そちらへと運んでる者も居たりする。

 がっしりした体型、日に焼けた者が大半だ、中には荷揚げの品をチェックし、羊皮紙へ書き込んでる者も居る。

 漁港組合に到着した、三階建ての作りで総石材仕上げの建物のようだ、海辺は潮風で痛むからな、その為の対策何だろう、中へと入り1F受付の人へ話しかけた。


「申し訳ない、バルカント諸島へ行きたいのだが、目視可能なほど近くを通る船か、近くまで運んでくれる船をチャータしたいんだが、可能かな?」


「それでしたら3Fの遠方へ赴く大型船の運航管理の者が担当になります」


 お礼を伝え、3Fで改めて受付の方に尋ねると、バルカント諸島よりさらに南方の大陸にある国、マンデドールに赴く交易船があるとの事。

 この星に大陸が幾つあるのか国が幾つあるのかさっぱりだが聞いても忘れるだろうしな、聞き流す事にした。

 この船なら目視可能な距離を通るが、小舟を運び、降ろす事は不可能と言われたが【フライ】の魔法で飛べるから大丈夫だと言うと納得してくれた。

 14名分の料金を先払いし、3日後に出発する便をおさえる事が出来た。

 帰りを心配されたが自力で帰る旨を伝え、迎えの便の手配はしていない。


 宿に帰り夕食を済ませ、セレス達と意見交換を行った。


「こっちは船の確保が出来たよ、出発は明々後日の早朝、14名分の料金を支払ておいたから、目視可能な地点に到達したらそこからは飛んで行く事になる。

 心配なのは船酔いだな、昔の俺はめっぽう船酔いに掛かり易くて転生したからって治ってるとは限らないんだよなぁ」


「それはティアに任せるにゃ、【キュア】の上位魔法に【オールリカバー】があるにゃ、それなら治せるにゃ」


「マグロ様、そもそも状態異常に対する完全耐性を覚えられてますので、まず掛からないと思いますよ」


「そう言えばそうだったな、それに思いついたんだけど、常時飛んでれば掛からないよな、龍語魔法の特訓ついでに飛んでようかな・・・」


「マグロさん、それって船に乗る必要が無いのでは・・・」


「今回は、正確な位置が分からないから近くまで送ってもらうんだし、それは言わないって事で。

 話を変えるけど、バルカント諸島が何処の領地なのか判らないから商業ギルドに調査してもらうように頼んでるよ」


「あの群島に岩礁が無ければ有用な補給拠点として各国総出で確保に動くのでしょうが、あれでは活用できない為、何処の領有でもありませんよ」


「領有権は無いだろうと言ってたが念の為にな、開発しようと思えば港湾都市も作れると思うけどな。

 岩礁ごと切り取って収納すれば、大型船でも着水可能な深度は確保可能だしな。

 ただ、そこまで手を加えると海流が変わってどんな影響が出るのか予想できないって事が懸念事項だな」


「マグロは国作りから都市作りに職業替えかにゃ?」


「解放した人達の話を聞いて、生活環境が良さそうなら定住するのも手だろ、隔離された地だから戦争となっても相手は軍船程度だろうからな。

 船底を撃ち抜けば即終了だし」


「定住する場合は一つ注意が必要です、かの地にはダンジョンがあったはずです。

 長期間補給も無しに生活出来ているのはこのおかげと思いますよ」


「なるほど、ファサラの言う通りだろうな、ダンジョンがあれば敵次第で食肉には困らないだろうな、周囲は海で魚を取り放題、環境次第では果物も。

 ダンジョンで魔物の肉を確保してると予想が出来る事から確実に戦闘可能な者が居るな」


「防衛も任されてるでしょうね、どうされますか?」


「その為にブロッサスを連れて行くんだからな、結局口を割らないし、襲いに来たら敵対しない事を伝えて首を刎ねれば良いだろ。

 それで解放に来たとアピールできるからな。

 俺は龍化してるからシャロに任せるよ。

 それでも攻勢を止めないなら自己の意思で攻撃してる者として排除しても構わないかな」


「あの地で君臨してたのはブロッサスのみでした、と言いましても15年ほど前までですが、全員が奴隷かは分かりませんね」


「そこはカエラさんに調べて貰わないと何とも言えないか、後はぶっつけ本番だな。

 俺の上に乗ってるなら大半の攻撃なぞ効果が無いから皆安全だし、最後の手段は無属性魔法で狙い撃ちかブレスで削り取るかだな」


「ブレスは禁止ですよマグロさん、地形が変わる処か、巨大な津波が発生してどこまで被害が出るか予想がつきません」


「まぁ、最終的には海中から上方向に向かって使うしかないな、全方位への無属性魔法も考えてはいるが、皆が危険になるからなぁ。

 ファサラ、ブレスって人型でも使えるのか?」


「人化すると耐久度が激減します、使えはしますが諸刃です、自身も傷つきますよ。

 龍化した状態で鑑定したら分かりますが、【龍甲剛装】と言う特殊スキルが追加され、龍の鱗と相まって人化した状態と比べたら雲泥の差です」


「なるほど、それでティアの全力でも無傷だったのか、普通に考えれば、口腔内から発射したら歯とか無くなりそうだしな」


「マグロ様、そろそろ此方の報告も良いですか?」


「そうだな、脱線して悪いな」


「では、広さも丁度いい物件は有ったのですが、何分古く、住むには不適切でしたので新築をお願いして来ました、その際に今の建物は不要なので粉砕して収納して来ました。

 完成まで約2ヶ月との事です」


「それじゃ【ゲート】の移動先は都市の入り口付近が適切かな、明日にでももう一度覚え直して来るかな。

 明日は商業ギルド行くから2ヶ所か。

 明後日はブロッサスを迎えに行くだけか、食料品を買い込まないとな、いざとなれば蛇でも犬でも肉なら腐るほどあるんだけど食いたくないんだよなぁ」


「食わず嫌いはダメにゃ、犬肉を寄越すにゃ、今の内に明日の夕食に使うように頼んで来るにゃ」


「よりによって犬肉とはなぁ、猫肉ならどうかな?」


 ティアを見ながら言ってみる。


「以前も似たような事があった気がするにゃ・・・」

 

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