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53:拘束

 俺は現時点では飛べないが、竜化した際の飛ぶ方法を真似て飛ぶ事にする。

 龍化する際には貯めるがこの場合は放出すると、あっけなく成功する。

 俺はティアをお姫様抱っこして龍語魔法の【フライ】で飛び、セレスは風魔法の【フライ】で飛ぶ。

 俺の受け取った残りの四棟の内、アグニスが受け取った屋敷の庭に残りの二十八家も集結し、今後の事を協議してる様だ、その中にカロライナの姿もある。

 上空から両肩目がけて威力を押さえた【エアアロー】×二を撃ち込み、間髪入れずに飛び降りたティアに地面へと貼り付けられる、これで拘束は完了だ。

 セルは何処かって? 走って来てるよ。

 そして到着したセルの先導の元、元メイド達とその家族達へ、現在、ライネルの首脳陣はストレイルでスタンピートを引き起こした魔族を匿っている事を伝え、この地は二十八家に委ねると伝えた、無論、セルがユリウスにとって代わりライネルを統治する事も。


「さてと、それじゃ合流して四人とも拘束したままライネルに乗り込むか、相手は確実に格下だ、逃げられない様にすれば良いだけだがLvに差が有り過ぎるから手加減に注意するように、仮に死なせるにしても顔は潰さない様に注意してくれよ。

 セルの武器は如何するかな、職業からすると得意武器は鈍器か?」


「鈍器ではありません、ハルバードです」


「うーむ、なら代わりに槍でも使うか? 使い勝手が違うが何とかなるだろ?」


「お貸し頂けるのでしたらなんでも構いません」


「ふむ、では光輝牙槍を貸しておこう、ミスリル製だからそれなりに使えるだろう」


「ありがとうございますマグロ様」


 武器を貸してマグロはセルとカロライナを抱えて、セレスはティアをお姫様抱っこしてシェルとシャロの待つ屋敷へと降り立った。


「此方は完了したな、後は王宮の庭に降り立ち、一気に制圧するからな。

 セレス、速度方面のみ強化して関節などを狙え、特に足な、機動力を奪う方向で考えてくれ」


「了解しましたマグロ様、後方支援はお任せを!」


「ティア、今回は俺と同じく主力だ、此方がステータス的には凌駕してるが油断するなよ、それと、何度も言うが魔族と相対した時だが、一応見れるようには留めて置け、ミンチじゃ判別つかないからな」


「マグロに敵は回さないにゃ! ふんぞり返って見てるのにゃ」


「シャロ、拘束してる4人を見張ってくれ、それと外の連中が襲って来ることは明白だからなその点も注意してくれ。

 シェル、空間把握で不意打ちを受けない様にシャロのフォローを頼むよ、外の騎士が押し寄せてくるのは分かりきってるからな」


「了解しました、マグロさん」「了解しました」


「行くぞ!」


 龍化して皆を乗せて特攻だ、王宮の庭に突然下り立ち人化して直ぐに王宮に踏み込む、目指すは三階、丁度良い事に魔族のブロッサスも居るから言い訳できまい。


『であえ! マグロの反乱だ! 即排除しろ!』


 今回は楽だな、ティアがメテオブレイカーを横に振るい、俺は道を指し示すだけで騎士が壁に張り付いてる横を通るのみだ。

 行く手を阻める者もおらず、順当にユリウスの居る部屋のドアを蹴破って突入する。


『マグロではないか、余は此処まで来て良いとの許可は出していないのだがな、一度退去してもらえるかな、其方と話す時間は作れんのでな』


「いやいや、誰もユリウスの許可なんて求めてないからな、その心配は不要だ、今日は一方的にボコるつもりで来たんだが、少し話をしないか」


『ん? 意味が分からんが、少しなら時間をやろう』


「先ずは謝罪をさせてくれ、ストレイルを潰す為に起こしたスタンピートを潰して悪かったな、あんたの手を一つ潰してしまって」


『意味が解らんな、スタンピートを起こしたのはブロッサスだ、なぜそのような事を我に言うのだ?』


「ん? 変だな、ブロッケン様だろ、アグニスもシャルもブロッケン様と奴の事を言ってたぞ」


『マグロ! 名前を間違えてるぞ! ブロッサス様だろ!』


「ブフォッ、お前までそれかよ! ありがとうなユリウス、その一言でお前があの魔族に手を貸してる事がはっきりしたよ。

 出て来いよブロッケン、居るだろ」


 【エアブラスト】


 壁を吹き飛ばして隣の部屋と繋げて一部屋にする。


「な、ほら、もう言い訳できん状態だぞ、何か言う事あるかユリ」


『ユリウスだ! 下手に出ておればつけあがりおって、後悔させてやる!』


 うーん、スラちゃんにすら負けるのが確実なLvなのに、どうやって後悔させるのか知りたいな、だけど俺は魔族の相手をしたい。


「ティア、ユリウスは任せる、俺は魔族を拘束して口を割らせる」


「了解にゃ」


 距離が近すぎて速度が出せない、これを克服する為に俺は自身に【エアブラスト】を背に当て奴の反応を上回る速度で接近し、両足を斬り飛ばしながら奴の後方へと通過して距離を取る。

 足が切り飛ばされようと飛んでるから一応は此方へ体を向けられる。


『ぐあぁあああ、また貴様か、前の借りはこの場で返すぞ!』


「その様でか? ではもういっちょ行くぞ!」


 武器を収納し、更に倍の威力で【エアブラスト】を自身に放ち、今度は真正面から突入する。

 両肩の鎖骨に向けて、速度と全体重を乗せた掌底を食らわせそのまま壁に貼り付けた。

 壁が崩壊する寸前だな、ヒビだらけだが頑丈で何よりだ。


「お返しするって実力に見合ったセリフを吐けよ、俺のクランへこっそり紛れ込ませてレベルを上るつもりだったのだろうが、先に察知してな、お前は外したから今もまだLv二百台だぞ」


『クククっ、俺など倒したところで陛下の足元にも及ばんよ、今の内に精々いきがって短い生を堪能するんだな』


「陛下と言ってるが、この抜けた陛下じゃないんだろ、お前が様と呼ばれてたんだ、それじゃ意味が合わんからな、その陛下は何処に居る?」


『話す訳が無いだろ、この事は遠からず陛下の耳へ入る、精々悪足掻きでもしてるんだな』


「仕方ないな、では例の方法でも試してみるか」


 やっと覚えることが出来たエキストラヒール、それじゃ歯の引っこ抜き我慢大会の始まりだ! それと目つぶしも混ぜるか、痛みを与える為にジワジワするのがコツだ、もちろん止血だけは常時な。

 十分ほど繰り返してると。


「マグロ様、此方は完了しました、竜化しましたが翼の根元を打ち抜き、城の裏手に墜落させて気絶させてます」


「マグロは例の口割らせる最中かにゃ? マグロはユリウスをどうにかするにゃ、その間はティアに任せるにゃ」


「それじゃティアに任せるよ、皆大事無いか?」


「無論負傷はしてませんよマグロ様」


「えーと、セルは王宮の入り口か、何してるか分かるか?」


「騎士達を集めて、皆に説明してますよ」


「それならその魔族を連れて行って、公開拷問といくか、先にティアが始めておけ、ユリウスを拘束して行ったら俺が変わるからさ」


「流石マグロにゃ、この魔族を証人として突き出すと同時に口を割る気だにゃ、それに乗るのにゃ!」


 こうして公開拷問が開始された。

 マグロは龍化してユリウスを掴みあげて飛び発ち、城の門脇にユリウスを放り投げて再度人化し、セレス達と合流した。


「おいブロッケン、話す気になったか? 話さないと延々受ける事になるぞ」


「グハッ、誰が貴様などに話すか!」


「この魔族も馬鹿にゃ、とうとうブロッケンと言われてるのに反応してるにゃ」


「うんうん、頑張ってるな、もっと頑張ってくれ! 延々いたぶれるからな、こちとらストレスが溜まりっぱなしだったからな、良いストレス発散だ」


(俺達、こんな人に戦闘仕掛けようとしてたんだな)

(ああ、早くに敵対行動を止めて下った俺自身を褒めてやりたいな)

(そうだな、それは言えてる、あのユリウスの下に居たらどうなっていた事か)


「そうだ、セル、二つ頼まれてくれないか、いや、三つか?」


「何なりとマグロ様」


「冒険者ギルドへ行って鑑定持ちの者を寄越す様に頼んで来てくれ、これが一つ目だ。

 二つ目は宮廷魔術師が見当たらないようだ、行方を捜せ。

 三つ目はクリニスを探せ、遺体でも構わないから居場所を特定しろ」


「来る前に言ってた事ですね、直ぐに手配して来ます」


「まった、今ライネルとストレイルの合同チームが聖王国へと派遣されるのが、何処まで進んでるのか把握しておけ。

 セクタルのカサンドラさんと連絡を取り合えば何処まで進んでるか把握可能だろう」


「そうでしたね、その件がありました、早急に手を打っておきます」


 セルが立ち去り、後は俺達と説明を聞いてた騎士のみがその場に残る。


「そのまま作業を続行しながらで良いのだがにゃ、何時から想定してたのにゃ?」


「そうですね、マグロ様はどの時期から確信されてたのですか?」


「そうだな、作業も長くなりそうだし、ライネルに来た時点から時系列で説明するか。

 その前に一言付け加えるなら、魔族が絡んでたのは偶然だな、この件が無ければ今も皇帝の座についていた。

 まず最初に警戒を抱かせた原因はシャルとの結婚の事だな。

 確かに神託はあったのかもしれないが、俺の人格などは不明、殺戮を面白がってするような人格かもしれない、その状態で結婚を決意していたなんて怪しすぎだろ。

 いかにも俺の側に張り付かせて、異世界の情報なり技術を探ろうとする為と疑われても仕方がない、確実に失敗した行動だろ。

 これを逆手に取って嫁にして、あえて一人で行動が可能な様に陛下へ言伝などや謁見の時期調整などをお願いしていた。

 結果は御覧の通り、ほいほい連絡して墓穴を掘ったな。


 次は屋敷だな、王宮の真横で、いかにも監視しやすい土地柄、更にあの大きさで維持が不可能な規模、メイドを雇えと言わんばかりだろ。

 本当は維持管理は簡単だった、範囲拡大した【クリーン】で一気に清掃、雑草などは【ナパームフレイム】で焼けば良い。

 だが、あえて相手の策に乗ってメイドを達を雇い入れた、シャルが来るから数が少ないか多いかの違いでしかなかったからな。

 また此処で一つの策を潰す事になった。

 それは移住環境と言うか、給金も含めた住環境の改善だな、あの時はこの地の平均額と言ってた為、上級階級の土地で平均額だとかなり安い賃金になるはずだ。

 それで給金の増額と合わせて住環境は主と同等にした。

 何を潰したのかと言うと、そのまま重用してみろ、安い賃金で長期間使われれば当然不満が溜り陰口を叩く者も現れる、そうなれば俺の情報も流れだし、いずれライネルで孤立するか追い出されるかの二択だ。


 次は此方から嘘の情報を掴ませた事だな、サパンを解放する際に、空間把握で判別可能なのは通常の人と悪意持ちの二種類だと説明したが、直接接近した相手なら誰でも個人を特定可能だ。

 これは取得してる魔法の種類の為だと勝手に思ってるが、個人で魔力に癖があってな、魔力循環方法も各自それぞれだ。


 次は奴らの意図が良く分からない点だな。

 それは食糧事情の悪化で俺に依頼した事だ。

 国の重大事、悪化すれば餓死者も出かねない案件だ、本来なら俺の様な新参者に任せる訳が無い。

 シャルすら止められる事無く入れる国だったんだ、それなら適任はクリニスだろ、シャルの兄なら信用は十分、数人の騎士を派遣すれば良い、適当に冒険者ギルドにでも加入して行けば、軍の者です、なんて答えなくて良いんだからな。

 もしかするとユリウスはかの地にスタンピートを起こす事を知らなかったのかもしれないな、こいつは陛下よりの命令だと言っていた、それは当然ユリウスの事を指して無いのは会話で明らかだしな。

 たまたまブロッサスの起こすスタンピートの件をユリウスに話してなかったと考えるのが一番しっくり来る。


 唯一の誤算はブロッサスが捕らえられた事だろうが、生きてた事で安堵した事だろう、この点でも一つ間違いを犯した。

 それはオリハルコン製の牢屋を作るかと尋ねて金属を受け取った事だな。

 あれを作るには一度壊す必要が出てくる、加工にどの程度の期間が必要なのか分からない程長いはず。

 口を割らせるのに数ヶ月とかありえないだろ、そんなにかける訳がないよな。


 この時点でもう一つ奴は失敗した、エルダードラゴンの肉は旨いから好きだと言った事だな。

 エルダードラゴンクラスのブレイズドラゴンは意思を持っていて話すことが出来る。

 その上で冒険者に狩られた事例が無いとも言っていた、それじゃ何処でこいつはエルダードラゴンを食べたんだ?

 それでここに行きつくんだよな、同族を殺して食べた事がありますと、魔族と手を組んでた事から同族もターゲットにしてたんだろ。

 下手すると、この地に住んでた者達も捕食対象だったのかもしれんな。


 今度は空間把握と屋敷の位置の件が重なって、逆に俺に監視されてる事を奴らは知らない、ユリウスが一人で牢屋に行きブロッサスと会っている事が発覚したからな。

 更に失敗したのは、俺が泣き出してシャルが残った事があるだろ、いやぁ、水魔法ってのは便利だよな、泣き真似するのが簡単で騙すのがチョロかった。

 この時にとうとう奴らはやらかした、三階でシャルとブロッサスと三者面談を始めたからな。

 この時のブロッサスの移動方法は、なんと、一人で移動だぞ、これで確信した、魔族と手を組んでるとな。


 これでシャルの家族は二人が黒、ファサラとクリニスだったか、この二人は灰色って事だな。

 それで今回の件だな、アグニスにワザと殴られて、さも威力がある様に吹き飛ぶ演技までしたからな、傑作だったろ。

 それで奴に帝国の全てを任せて俺は離れた、これもワザとだな、単に巨大な餌を与えて隙が出来る様に仕向けただけだ。

 それに、メイドとして働いてた者達が白なのか黒なのかはっきりしないからそちらとの手も切る必要があった。

 そして最大の理由は、俺達はシャルと行動を共にしていた、よって、外から見れば俺達もスタンピートを引き起こした魔族と手を取り合ってると思われかねないから手を切った。


 ブロッサスは歓喜した事だろうな、ストレイルでは住民を皆殺しにして手に入れようとしてた所を俺が放り投げた事で帝国が手に入った。

 翌日の初飛行でライネル王宮に近づいたのはワザとだ、シャルを混ぜた会談はシャルがブロッサスを拘束してたなぞ言われてはたまらんからな。

 見事に抜けてた連中で、三階に二人で一つの部屋に居たよ。

 翌日に帝都へと寄り、油断してる所を各個撃破して、更にライネルへ通信水晶で連絡を送られる前にかたを付けて今は拷問の最中って訳だ」


「マグロ様はこの地に来た時より警戒されていたのですね、お見事です」


「いや、警戒してくれって言ってる様な対応だっただろ、それに乗っかって警戒した上でシャルを利用してたに過ぎないよ」


「マグロにかかったら国王と言えども形無しだにゃ」


「まぁ、人質にされない様にカエラさん達には逃げて貰ったからな、後日合流するさ。

 さて、おいブロッサス、話す気になったか?」


「話す訳が無いだろ! さっさと殺せ! そして、怯えて暮らすが良い!」


「なぁ、俺のレベルは2000オーバー、そいつはレベル幾つなんだ? 俺に勝てるのか?」


「・・・・・」


「怯えるも何もお前の目線では強いって事だろ、俺の目線ならどう映るかな、お前程度なら欠伸してても殺せるからはっきり言って弱すぎる陛下じゃねえの? そいつ」


「陛下をそれ以上侮辱するな!」


「うるせえな、デカイ声出さなくても聞こえてるよ、それじゃもう一ランク痛みのレベルを上げてやるか。

 正中線って知ってるか?

 魔族がこの定義に当てはまるか判らんけどな、危険なツボが縦一直線に集中してるんだよ、その中の鼻の下から唇の間にあるツボ、ここを対象としよう」


「マグロさんは結構な物知りなんですね」


「病気の治療で部屋に缶詰だったからものすごく暇でな、大抵の事は調べられるパソコンて言う機材を持ち込んで色々な事をしてたんだ、これもその一環だな、さすがにツボの名前までは忘れたよ」


「セルさんが戻られたようですね」


 がっしりとした体格の持ち主を伴って帰って来た。


「ただいま戻りましたマグロ様、事情を説明しましたら適任が居ると彼を紹介して頂きました」


「お初にお目に掛かるマグロ殿、俺はラングレン、ライエルの冒険者ギルドの職員で鑑定を担当してる」


「お帰りセル。

 俺は怪盗=マグロ、ラングレン殿、早速で申し訳ないが、今口を割らせてるこいつを鑑定してほしい、こいつには鑑定遮断する術があるようだけど大丈夫か?」


「遮断効果か、体外に魔力による幕を張り遮断してるのでしょう、接触すればその効果は無視できます、心配せずとも可能でしょう」


「こいつには魅了するスキルがある様だが、俺の魔力で遮断するから大丈夫だろう、早速お願いする」

「ブロッサス、1240歳、Lv254・・・・・、確かに魔族ですね。

 王宮に居た事と、セルラルファ様の証言とすり合わせればライネル上層部と魔族が結託していた事は明白。

 公表すればライネルの恥となりますが、魔族が絡んでいる以上、伏せる方がもっと厄介な事になるでしょう」


「魔族は世界の敵、伏せると言う選択肢はあり得ません、私が王の地位に就きますので、私の名で公表するのが適当だと考えてます。

 マグロ様とその奥様方の名を公表するかどうかは、マグロ様の判断に任せましょう」


「判断は兎も角ちょっと待ってくれセル、魔族が敵だとか言ってるが、俺が敵だと認識してるのはスタンピートを引き起こした奴がたまたま魔族だったってだけだぞ。

 魔族だから敵だとは考えてない、勘違いするなよ」


「なるほど、マグロ様は魔族では無くスタンピートを引き起こした者を匿ていた為、と考えてるのですね」


「そうだ、その認識で良い。

 セル、俺を呼ぶのに様はつけないようにな、王になる身、一般人に様を付けるのは良くない、俺も呼ぶ際は殿を付けるよ」


「ライネルの害虫を排除して頂いた方に呼び捨ては出来ません、それではマグロ殿と呼ばせて頂きます。

 提案ですが、今捕らえてる五名を奴隷化してはどうでしょう。

 現在の法律では、奴隷達の保護の観点から、拘束の低い方法を取ってます。

 これを以前の拘束率の高い魔法陣式を用いれば口を割らせるのも容易です。

 本来ならば許可など出ませんが、どの国の法に照らし合わせても死刑は確定、問題ありません」


「そんな方法があったんだな、良かったなブロッサス、もう痛い目に遭わずに済むぞ!」


「ククク、確かにその手はあるが、貴様らに材料を揃えられる訳があるまい! 俺は兎も角、ユリウス達を拘束するには最低でもエンシェントドラゴンより上の上位種の血が必要なのだぞ。

 エターナルドラゴン、龍王に龍神なぞ俺でも会った事が無いわ!」


「素材はどうでも良いけど、セル殿、その奴隷化を使える者って知り合いに居るのか?」


「マグロさん、その魔法陣と素材は知ってますよ、後は発動して下さる奴隷商の方を呼んで下されば、今すぐでも可能です」


「流石シェルだな、テレポーターの構築も見事な腕だったし、俺の嫁さんは優秀だな!」


「はははは! 他の素材は揃えられど、血だけは無理だ、諦めるんだな」


「それで、材料ってなんだ?」


「以前にテレポーターに使用した塗料にそれに先ほどの血に主となる者の血です。

 割合は百:十:二です。

 これを用いて体に魔法陣を書き込み、奴隷化の魔法を発動させれば完了です」


「それなら早速、カエラさんを迎えに行くか、行って来るからこいつらの拘束を頼むよ」

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