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50:処断

 マグロが気絶した日の昼頃、やっと意識を取り戻した。


「俺は・・・・」


「起きましたか、マグロ様、体の方は如何でしょう」


「体の痛い箇所は無いよ、セレスどうしたんだ? 口調が会った直後に戻ってるぞ」


「本当は、この様に話したのです」


「そうか、無理して俺の言った事を実践してたんだな、すまなかったなセレス、好きな口調で話して良いよ」


「ありがとうございますマグロ様、提案ですが、何もかもなげうって誰も見知らぬ地で暮らしませんか?

 今のマグロ様を見ているのは辛いです」


「やっぱりそう見えるか、俺も決めなきゃならん事やする事が多すぎて身動きが出来ない状態だからな。

 それに、あの様に正面から邪魔をされるとどうしてもな。

 いっそ、戦争終了時にツガットが止めようと実行していれば、ここまで悩む必要は無かったんだがなぁ。

 見知らぬ地か、憧れるな、それも俺の叶えたい事の一つだからな」


「あの時点では仕方なかったと思います、無実の者達を殺しても絶対にマグロ様の事です、悩んでいたと思いますよ」


「よく見てるなセレスは、確かにそうだ、その場になったら躊躇していただろうな、子供たちを見たら特にそうなると思う。

 だが、今更投げうつのは無理だな、俺はこの件であまりにも周りを巻き込み過ぎた。

 その責任を取らずに放棄する事は出来ないな、それこそ、先ほどの無責任な奴と同等になってしまう」


「マグロ様は頑張り過ぎです、些細な事でもかまいません、私たちを頼って下さい」


「そこは私を、とは言わないんだな」


「彼女達のマグロ様を思う心は私に劣りません、私たちとしか言えませんよ」


「俺は幸せだな、こんなにも人に恵まれている。

 セレスに約束するよ、何十年掛かるか分からないが、この帝国が安定したら全てを他の者へ譲り、色々な所へ旅をしよう、それまでは苦労を掛けてしまうが、俺も気合いを入れて事に当たるよ」


「マグロ様がお決めになった事です、途中では適度に息抜きをしながら全力で事に当たりましょう」


「ありがとうセレス、散々迷惑と心配を掛けてしまったな、皆の所に行こうか、拘束を解いてくれるか?」


「申し訳ありませんマグロ様、お目覚め直後に暴れられた場合を考えて拘束させて頂いてました、直ぐに解放を」


「当然の対応だよ、気にしてないから、俺が短気な為に苦労を掛けてしまったな」


 久々だな、セレスが左腕に抱き着き、その状態で歩くのも。


「落ち着いたようだなマグロ、大事ないか?」


「大丈夫だ、皆もすまないな、迷惑をかけてしまってすまない、奴らはどうした?」


「能力があるのなら近日中に募集するからそちらへ応募し、試験を突破しろと言っておきました。

 その後は方々に散って帰りましたわ」


「なぁツガット、戦闘終了後の取り決めの際にふざけた貴族共は殺すと伝えてたよな、それも家族ごと、そしてそれにツガットも了承した、覚えているか?」


「勿論覚えている・・・」


「俺の考えでは奴らは対象なんだが、止めないよな? 下手に止めるとガイエンの二の舞だぞ」


「・・・・・」


「無言は了承と取るぞ、冒険者ギルドにクエストを発注して、元侯爵と言ってた奴と、途中で俺に意見した奴の家族もろとも捉えて帝都の冒険者ギルドに放り込んでおけ。

 代表と言ってた為、総意として全員を対象としても良いが他の者の意見は何一つ聞いて無いからそちらは見逃す、これ以上の譲歩はしないぞ」


「助かるよマグロ、その様に手配しておく、料金はあちらで相談して決めるから後で構わない。

 俺は30名の家族が対象だと思っていた、譲歩してもらい彼らに代わってお礼申し上げる」


「それで、ガイエンの方はまだ決着がつかないのか?」


「昨晩、決着がつき処刑される事となった、マグロの言伝した一言が決定打となった形だ。

 帝国の運営に冒険者ギルドが介入すべきでは無い、全会一致だ」


「それなら依頼した件と纏めて執行する。

 なぁ、俺が躍起になって前皇帝の家族を処刑する事の理由を分かって無いのって居るか?」


「ティアは分かってるにゃ、あの場でも言ったがにゃ、求心力が無くなった訳じゃないにゃ、徒党を組まれて発起されたらそれこそ処刑より悲惨な事態になるにゃ。

 それ以前に、国の上層部の家族は根絶やしにされるのが、この世界での常識にゃ」


「・・・・・」


「そうだ、発起されるのを一番警戒してる、俺達なら鎮圧は簡単だけど、そうなれば処刑の比じゃないほど死人が出るから最悪の事態は避けたい。

 これで貴族達への対応も完全とは言えないが、刑を執行すれば終わった感じかな、帝国内の大きなトラブルになりそうなのは、聖王国の連中を追い出す最って所か。

 時期は何時頃が良いかな?」


「うーん、その事だがな、国境線を監視する人材を確保できていない、この課題が払拭されない限り下手に突くべきではないな」


「ユリウス陛下は先に此方が布告しても良いと言われていたが、此方が遅くなりそうだな」


「それは仕方がないな、なにせ0ベースで構築してるんだ、その辺りは説明せずともご存知だろう」


「そこは焦っても仕方ないからな、着実に1歩ずつ進めないと、俺は皇宮建築に勤しみますかね」


「マグロ様しか使い手が居ませんから仕方ありませんが、何かお手伝いが可能な部分は有りませんか?」


「それだがな、窓ガラスのレール部分に摩擦軽減の為にミスリル球を敷き詰める事にしたんだ、それをしていては他の部分が進まないから手伝ってもらいたいな」


「やっとお手伝いをさせて頂けるのですね、待ってたんですのよ」


「いや、シャルには別件を頼みたい。

 領主達の追い出しも完了した事だし、アグニスさん処は決まってるから良いとして、領地の割り振りが可能になった、その調整をしてくれないか」


「そちらも重要ですわね、近隣の農村も含まれてますし、調整者の方が決まってるのでしたら、今日中に通達して我が家で行いますわ」


「と言う事だ、カラミティ、地理に明るい者の選定は済んでるか? それと商業ギルドと冒険者ギルドから1名ずつ引き抜く件もだが」


「呼び出せば何時でも来れるように待機して頂いてます、引き抜いた者達も同様です、決定した後に一人一人引き会わせましょう」


「それなら明日出かける前にでも、食卓やら椅子やらを外に準備しておくからそちらは任せる。

 それと決定後だが、粗方で構わんから現在の法律面のすり合わせをしておいてくれ、まぁ大差ないだろうけどな。

 俺からも付け加えたいと思ってる事があるからそれは後程にしよう」


「其方は任せて下さい」


「それじゃ俺たちの方だな、大量に渡しておくから1F部分からお願いするよ、くれぐれも落としたのを踏まないようにな、倒れたら骨折ものだぞ」


「何か敷き詰めないと危ないですよね、何か案は有りますか?」


「スタンピートで狩った魔物の革なんてどうだろう、腐らないけど腐るほど在庫あるし」


「使えそうなのはドラゴン、犬、蛇、ヒドラ辺りですか?」


「まぁ、キメラや巨人族の革は不向きだろうなぁ、だけどさ、蛇革が床に敷き詰めてあったら不気味じゃね?」


「あの鱗が床一面に・・・ダメですね、当然ドラゴンもヒドラも却下、後は犬だけですか」


「犬ねぇ、俺って犬嫌いなんだよな、それが常時足元にある訳か、なーんか嫌だな、もっとこう可愛いの無いかね、猫革とか」


「そこ! ティアを見ながら言うんじゃないにゃ!」


「それでしたらマグロ様、打って付けの魔物が居ますよ、この帝都のダンジョンで最下層に、でっかい猫が。

 オスがハンターキャット、メスがワイルドキャットです、大きさが2mほどの背丈ですからかなりの数を倒す必要があります。

 ですがマグロ様の要望にかなう魔物かと」


「ほうほう、それは是非に行かなければならないあ、良い情報だったぞセレス、見事だ。

 だけど最下層か、行くまでに時間が掛かるな」


「大して掛かりませんよ、地下1Fに最下層への直通転移門が有ります。

 他の階層へも転移門がありますけどね」


「それって常識?」


「冒険者で知らない人は稀かと」


「なるほど、まだダンジョンで相手したのってスライムのみ、それも倒さず餌与えただけ・・・」


「変わってますわね、倒さず餌付けのみなんて冒険者初ではないかと思いますわ」


「このマグロ様の行動で現在のスラちゃんが仲魔になってるんですよね」


「なるほど、この地でしたのね」


「猫狩りは完成してからでいいか、完成しないと単なる妄想で終わるからなぁ。

 もう一点聞きたいんだけど、3Fの謁見用の部屋は窓を除いて完成してるんだけど、椅子はどうしよか? 俺も含めて嫁さんの分も全部設置するか?」


「それだがなマグロ、さすがに30オーバーもの数を1列では横幅が広すぎるだろ、段を設けて2列か3列にしてはどうだ?

 無論、最前列の中央はマグロの場所な、それと軍部のトップと宮廷魔術師は皇帝の両脇に立つのが普通だろ、ライネルではそうだったからな、その辺を踏まえて設置してはどうだ?」


「うーん、俺と嫁の間に立つのも変な気がするけどな、謁見会場では入口から皇帝までの両脇に沿ってずらっと立ち並ぶよな。

 その両脇のトップではダメなのか?」


「そうなると、謁見の最中にアドバイスをし辛いぞ、それでも構わんならマグロの案で構わない」


「なるほどな、なら宮廷魔術師を俺の嫁さんになってもらえば、片方は椅子で、アグニスさんは右手にでもいて(座って)もらうかな。

 そう言えばカエラさん


が居ないけど、ライネルで引継ぎしてるの?」


「そうですわよ、元メイドの5名は橋渡しが必要ですのでこの地に、あちらは護衛のみをお供にされますわ」


「なるほど、それじゃ昼食すませて取り掛かるかな」


 その翌日、王国エリュードより会見の要請が入り、6日後の昼食後、場所は先日の砦より更に奥の国境線上となった。

 更に翌日、先の貴族2家が捕らえられ牢屋に放り込まれたと連絡を受け、更に翌日の早朝に刑が執行された、痛みを与えるのもなんだ、規模を小さくして【フレアバースト】で火葬した。

 現在、会見の予定が決まってから5日後、皇宮が完成し、関係者全員で謁見の間へと集合した。


「挨拶前に聞きたいんだが、ツガット、キャロルの件はどうなった?」


「見事に断られたよ、今は次のギルドマスターを選出中だ、ギルドマスターの補佐役が格上げになるだろうな。

 決定したら数日間は留守にする、その間の補佐を頼んだがそちらも断られた、帝都のギルドマスターも選出中だ、その間は自身で赴いてくれ」


「了解した、この地はゴタゴタが続いてるからな、安全とも言えんから仕方がないか。

 では改めて、やっとここまでこぎ着ける事ができた、ひとえに支えてくれた皆のおかげだ、ありがとう。

 明日の事はさておき、では各階層の使用目的は羊皮紙に書いて渡した通りに進めてくれ。

 実際の部屋割りに関しては当事者に任せる、部屋数が足りない場合は8Fを開けてるので階下部分を調整して上の階に移る様にしてほしい。

 そうそう、床が全てミスリルだからな、倒れたら事だぞ、その点は注意な」


「豪華すぎる皇宮だな、直接攻撃されても傷一つつかなそうだ」


「金銭には代えられない、マグロ様の偉業の一つになりますね」


「現存するインゴットで作ったとしたらいくらになる事か、そもそもそんな量は無いけどね。

 次に、今月の税金はプールしてあるのでそれを使うように。

 来月より税金収集を開始する、実際に手元に来るのは再来月になる、一ヶ月丸々税収が無い訳だが資金が足りない場合は言ってくれ、その都度渡すからな、くれぐれも通達した税金以上には取り立てない様注意を。

 特に農業部分は今年の税は取るなと通達したから以前のように税金が集まらないだろう、次の年からは20%に引き下げる為、以前の水準に戻るには数年掛かると思う、この損失分はこちらで補うから心配しないでくれ。

 それと買い叩かれない様に気にかけてやってくれ、もちろんその部分のみ見ていてはダメだがな、カラミティはこの事を通達よろしくな」


「やっとマグロ様の法が施行されますね」


「法と言うより税収面な、地位に託けて相手から巻き上げたりするなよ、そこは徹底しろ、そこまで切羽詰まる前に俺に言いに来い、税収が落ちる事は織り込み済みだからな。

 それじゃ、他に決めるべき案件はあるか?」


「早急に決めるべき事がありますよマグロ、戴冠式の期日を決めて各国に招待状の送付をしなければなりません」


「そうだな、先方の予定もある事だし、一ヶ月ほど先なら大丈夫か?」


「領地的に接してる国のみならば問題ないでしょう」


「国を跨いる他の国とは繋がりは無かったのか? 無かったのなら今まで呼んでた国のみに絞ろう、それと聖王国へは案内状は出すな、問い合わせが来たら、皇帝の判断なので分かりかねますと返事しておけ」


「では、その様に対処します」


「そうそう、お披露目する事も念頭に入れて、2Fのでかい部屋を試験会場にしても良いな、それに合わせて兵舎の管理してた者達で、今フリーな者達に料理をさせて振る舞うのも良いな」


「それでしたら、立食会場への設備投資なども必要ですので1週間ほどお時間を頂けたらと」


「国の名前も決めなきゃならないな、さて何にするかな」


「マグロ帝国にゃ!」


「そこ! 魚のマグロの事しか考えない帝国に聞こえるだろ、却下だ!

 キャット帝国とつけるぞこのやろ!」


「はい、決定しました、マグロ様の案なので決定事項です、各自、この事を流布するように!」


「それは無いよセレス! 冗談だって!」


「まぁ、マグロが付けたんだ、それで押し通すか」


「おい、アグニスまで何言ってるんだ!」


「一度口に出したのにゃ、決定事項で諦めるのにゃ」


「意外だな、ティアが真っ先に反対すると思ってたが」


「そんな事無いにゃ、ティアは嬉しいにゃ」


「もう良い、それで推し進めるわ。

 着任早々だがこの場で宣言するぞ、俺は50年以内にこの国を安定させて退職し、他の者に任せる」


「ブフォッ、ゲッホゲッホ、おいおいマグロ、戴冠式も済ませてないのに退職宣言って何事だよ」


「気にするな、単なる確定事項だ。

 それじゃ全員、マジックバッグを此方に向けて開けろ」


「ん? 何するんだ?」

 

 全員に白金貨2万枚ずつ配布する。


「これから最長で50年間雇うからな、それまでの賃金を配布しておいた、帝国の税金からは支払わないのでその様に扱えよ、カラミティ」


「はい、了解しましたマグロ」


「爵位に対する年間の支払い込みだと思ってくれ、年換算で白金貨400枚な、それで最長50年は持たせてくれよ、それ以上は支払わないからな」


「多すぎるよマグロ! 100年分と言われても納得するわ」


「多すぎても困らんだろ、さて、今日はもうダラダラ過ごすか、働き詰めだったしな、明日はぶっつけ本番で良いだろ。

 それと、この国の歴史なんて知らないからな、カラミティにも同席してもらうつもりだが良いかな?」


「お供致します、しかし、私の足では皆さんの移動速度について行けませんが」


「俺がおぶって行くから心配するな」


「ずるいです! おぶるなら私をおんぶして下さい!」


「ん~、それじゃこうしよう、俺はセレスをおぶる、セレスはカラミティをおぶれ、これで解決だな!」


「馬鹿な提案は必要無いだろ、ファサラに頼んで、サラヴァスより飛び立てばよかろう」


「それだ! アグニスさんに飛んでもらって運んでもらおう!」


「良かったですわね貴方、公然と龍化できますよ」


「ん? 何だか止められてるような口ぶりだけど、止められてたの?」


「ユリウス陛下に止められてますよ、龍化して攻撃に回ると手加減無しなので禁止を言いつかってるんですよ」


「なら、移動だし大丈夫だな、よろしく、お父様」


「任されたぞ! これで公然と龍化出来る、フフフ・・がははははっ!」


(シャル、任せたのは失敗か?)

(ああなったら止まりませんわよ)

(何かあったら止めるよ、無理やり)


 この後笑い続けるアグニスを放置して屋上へご案内、お湯を張りのんびりと過ごした。

 なぜか全員が混浴へ行った為目の保養になった、眼福眼福!

 まぁ、俺はセレスとイチャイチャしてたんだけどね。

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