49:切れたマグロ
商業ギルドから帝宮作りと脱線し、2週間経過したが、それだけでは無い。
紋章官では正式な刻印の作成、これは漢字の鮪にした、この世界に漢字は無いが印鑑にするにはもってこい、誰も意味など分からないからな。
他に転生者や転移者が居れば話は違うけど、こちらからのアピールにはなるだろう、居るなら交流したいしな。
封蝋用指輪も紋章官に細工師の当てがあるらしく料金も先払いし任せた。
国旗も紋章官に任せる、此方のデザインは、黒色の下地に、白銀の槍に纏わる赤龍の姿にした。
翌日の午前中は皇宮の地下部分、穴を掘り地上部の残骸も含めて不要な物は回収し、地上面から650cmほどの深さを掘り進め、300m×50mを掘り終わる。
午後はカラミティの連れて来た魔法陣作成の者達との打ち合わせだ。
作るのは、温度管理、湿度管理、浄化、結界の魔法陣でこれの永続化。
正確には温度管理と湿度管理は地上部と地下部は別にする事、魔法陣は全てテレポーター用の塗料で行い、必要な魔石は全てマグロの保有する大魔石を流用する。
そんなこんなで3日後の早朝、カラミティが領主の引継ぎと称する者を一人連れて我が家に赴いて来た。
「おはようございますマグロ、帝都南部の都市、ハルヴァより来られたチャテル=アストレアさんです、この度は引継ぎの為に領主殿は忙しく来れないとの事、代わりにご息女が来られました」
「早朝に関わらずお会い頂き有難うございますマグロ様、ご紹介に預かりましたチャテル=アストレアです。
本来であれば父が赴かねばならない所では御座いますが、何分、引継ぎの為の挨拶周りなどで忙しく、これまでの税金面の書類を纏める事が出来ましたので、一足先にそのご報告をとお伺いした次第でございます」
「なるほどな、俺は怪盗=マグロ=ヴァンティユ、この度帝位に就く事になった者だ、玄関ではなんだ、応接室で話そう、こっちだ」
応接室へと案内し、そこへ嫁達がやって来る。
「あら、お客様ですの? 今日の予定には無かったはずですが」
「領主の御息女でな、チャテルさんだ、税金面の書類が纏まったので報告をとの事だ、今回の通達では一人目と言う事だな。
丁度良い事に俺も皇宮の方へ行く前だったから直接報告を受けようかとな。
チャテル、彼女達は俺の嫁達だ」
「何の先ぶれもせず、この様な早朝に突然お伺いし申し訳ありません、奥様方」
「私達もだけど、マグロはその様な事は気にしないわ、謝罪は要りませんよ」
「そうそう、マグロさんは先日まで単なる一般人、その様な事一切気にしなくて大丈夫ですよ」
「だよなぁ、一生一般人が良かったよ、誰か良識ある人物は居ないか? 譲るぞ。
其方の父は律儀にもチャテルを寄越したんだ、俺の代わりに帝位に就かね?」
「お戯れをマグロ様、我が父では役不足です。
漁業や農業に携わる者達への対処をお聞きしました、マグロ様以外にこの帝都を良くできる方は居ないと確信しています」
「ん? なぁ、それは矛盾してないか、これまで40%や50%と高率だった訳だ、その様に考えてるのならなぜ減額してない?」
「父は30%へ下げたいと常々申しておりました。
しかし、他の貴族達や領主からの目がある為に下げる事は叶わず、細々ではありますが、炊き出しを町の者達へ依頼し、少しでも負担を減らせるようにしてました。
今回はマグロ様が帝位へとお就きになられ、父もこの方ならと喜んで領地経営を返上すると申しております」
「ほう、この様な人材も居たのだな、継続して任せたいと思わなくはないが、後任の者が確定してるのでな。
其方の家族には通達の通りに領主は返上してもらうが、貴族の爵位はそのままにしよう、役職はそうだな、先に書類を見せて貰えるか」
「此方です」
先先月からの繰越金に先月の税金収入、そこから部下たちへの給料に冒険者ギルドへの依頼料、先ほどの炊き出し料金などもろもろ含めて書いてあり。
少額だが繰越金も発生してる。
「ざっと見た所間違いも無く、先ほどの炊き出しの件も含まれているな。
公私混同に見える要素も無く、実に見事な決済書だ、これは誰がまとめ上げたのだ?」
「領地の金銭面は私が管理しております」
「ほう、カラミティ、この書面をみて見事だと思ったら彼女を雇っては如何かな?
それに、アグニスさんとファサラさんは帝都に入りびたりになる訳だ、彼女の父上を代官にどうだろう、とアグニスさんに打診しておいてくれないか」
「では拝見します」
「代官の件は伝えておきますわよ、それで、貴方の父君は何時頃ならば時間が空きまして?」
「4日、いえ、3日お待ち頂ければ参上可能かと思われます」
「では4日後の今の時間にお出で頂けますか、父上にもその旨伝えておきますわ」
「はい、お時間を頂きありがとうございます、しかと申し付けます」
予定の通り4日後の早朝、彼女と父親が我が家を訪ね、正式に代官になる事が決まった。
他の町より現在の町を任せる方がスムーズに事が運ぶと考えが至り、自動的にアグニスさん家族の領地も決まる事となった。
チャテルさんだが、同じくアグニスさんの領地で財務官となった、必須な役割だからな、無理に引き抜くより伸び伸びと活躍してもらう方が良いだろう、との配慮だ。
この翌日早朝、ツガットとカラミティが18名もの元領主を連れてやって来た。
「マグロ、元領主達23名が来てたんだが、同じ意見の者達だけを連れて来た、後の5名は明日朝連れて来るから、先ずはこの者達と謁見を頼む」
「この人数だと応接室には入りきれないな、庭に準備するからそっちにするぞ、ついて来てくれ」
ライネルの食堂で使用してた見事な50人規模の食卓を出し、椅子も同数出して謁見を開始する。
「入りきれないからな、この場でするぞ、俺は怪盗=マグロ=ヴァンティユだ」
「代表として私が話そう、サラヴァスの領主で名はヴァンダル、この度は先ぶれも無くお会いして頂き感謝の言葉の無い」
「ほう、先日、隣国の騎士団が攻めてきた際に赴いた地か、それで要件は?」
「先先代の皇帝陛下の命で我らは領地経営を行って来た、これからも我らに任せて頂きたい」
「ダメだな、全員退職して頂く、無論、貴族の地位も同様だ」
「それは余りにも横暴だ、これまで我らが統治していた事への評価すらないのか」
「本気で言ってるのか? 評価だと? 評価したからこそお前らの事を不要だと判断した事すら気がつかないのか」
「何処が評価している、評価していれば存続させているだろう」
「ほう、弱者から搾取してる貴様らの事を評価して存続だと、死にたいのか?」
「力を振りかざし、無理を通す貴様の方が皇帝としての評価など微塵であろう!」
「面白いな、お前、今日から道化師に転職したらどうだ?」
「馬鹿にするのも大概にしろ! 弱者から搾取してるだの、道化師になれだの、侮辱にもほどがある!」
「では、一つ質問だ、農業を営んでる者達から50%も搾取してたのは何故だ?」
「起源は知らんが、この税率がこの帝国の一般的な税率だ、我らの考えで決めた税率ではない」
「お前は馬鹿か? 俺の尋ねた意味すら理解できんのか。
お前は今、一般的な税率だからと言ったな、それがなぜ搾取と言われてるのか解らんのか?」
「何を言ってる、搾取だと、その様な事はしていない」
「救いようのない馬鹿だな、農産物は安い、その内の50%も取られてみろ、家計は火の車、少しでも収穫量が減れば死活問題、お前らみたいにヌクヌクと生活できるとでも思ってるのか?」
「現に生活できているだろう、言いがかりは止してもらおう!」
「おい、ここに参加してきた奴、お前らもこの考えに賛同するか?」
18名すべてが同じ考えだった。
「そうかそうか、それなら心置きなく対策が出来るな、ツガット、Cランク以上で5名以上のPT18組を確保しろ、それと同じくBランク以上の同数のPTを確保しろ。
それぞれを組みにして、此奴らの家族を連れ出せ。
それと、農家18家を丸ごと買い上げろ、農地ごとな、その地にこいつらの家族をぶち込め、50%取られるのがどんなもんか体験させろ10年間な、逃げたら殺せ。
その間、此奴らの資産は全て売却して凍結させろ、10年後に返せ」
「貴様! もう我慢ならん、殺せ!」
「ツガット、この場合は家族ごと遣って良いよな? 止めるなよ、こんなクズ連中に帝国に居座られると害にしかならんからな」
「好きにしろ、ここまで浅はかだと救いようが無いからな」
俺が手を下すまでもなくセレス達が処理した、これでアグニスさん達の領地も含めて24の領地に入ってもらう事が出来る、ある意味順調だな。
冒険者PTを雇うのは継続した、各領主館まで赴き、追い出すのと同時に資産の凍結をお願いした。
そして翌日の早朝、残りの5名を引き連れてツガットとカラミティがやって来た。
「昨日に引き続き悪いなマグロ、今回の5名で領主達との謁見は一通り終わる事になるな」
「そうだな、立ち話もなんだ、此方へ来てくれ」
応接室へ案内する。
「では改めて、俺は怪盗=マグロ=ヴァンティユだ、今回の要件は何だ?」
「今回赴いたのは会話をする為ではない」
「話す事が無いなら何の為に来たんだ?」
「単に我らの意思を宣言しに来ただけだ、これからもあの領地は我らがそれぞれ管理する、以上だ」
「本当に宣言だな、俺が許可を出すとでも思ってるのか?」
「我らは許可を求めに来た訳ではない、宣言だと言ったであろう」
「なるほど、俺の傘下に下るつもりも無く、自身の領地は自身で管理するから不要だ、そう捉えてよいのだな?」
「そうだ、我らの地は我らで管理するゆえ貴殿は必要ない」
「くはははは! 傑作だぞお前たち、実に愉快だ」
「マグロが壊れたかにゃ?」
「いやいや、壊れてないよ、こいつらの言い分は帝国内だが帝国の傘下には入らず自分の領地として運営すると言ってるんだ」
「こ、これは、極め付けですわね」
「なぁ、ツガット、この5人の言い分を聞いてから昨日の18人とは別けて来たんだよな?」
「勿論そうだぞ、でないと別けられないからな」
「でだ、この場合の俺の対応も想像がつくよな?」
「そ、そう、だな」
「いやいや、別にツガットの責任じゃないんだからさ、怯えないでくれよ。
さて、拘束しろ、此奴らは帝国より独立を図る国家反逆罪で家族もろとも処刑だ」
しかし、ガイエンの処遇はどうなったんだ? 決まったらツガットが教えそうなんだが。
「なぁツガット、ガイエンの処遇はまだ決まって無いのか? いい加減決めてほしいんだが」
「それが相当に揉めていてな、これまで功績云々言う奴や、これからの運営に欠かせないだの言ってるんだ」
「それじゃ、俺から一言言伝を伝えてくれ、帝国と冒険者ギルドは対等だが、冒険者ギルドは何時から帝国の運営に口を出せる立場になったんだ? とな」
「わかった、必ず伝えよう、俺もあれは越権行為だと思っていたからな」
そして翌日、今度は30名を連れてツガットとカラミティがやってきた。
「なぁ、最近早朝の謁見ばかり続いてる気がするが気のせいか?」
「たまたまだろ、すまないな、伝えるのを忘れていた、彼らは昨日の時点で来られていたのだが、昨日の5名の謁見が決まっていたのでな、お待ち頂いてたんだ」
「なるほど、俺が伝えてくれと頼んだからテンパったな? 一昨日の様に外にするぞ」
今回も例の食卓と椅子を出して相対する。
「では改めて、俺は怪盗=マグロ=ヴァンティユだ、今回の要件は何だ?」
「代表して私が、元侯爵でハイバルトと申します、この度は突然の訪問にも関わらず謁見して頂きありがとうございます。
今回赴いた者達は、30都市の貴族達の代表者、一人一人が元貴族で町の代表だと考えて頂きたい」
「代表者だと言う事は理解した、それでハイバルト殿達はどの様な要件で?」
「我らの貴族の地位剥奪を撤回して頂きたい、突然町の門へ張り出され、皆困惑しております。
何故に、帝国の貴族達へこの様な態度をおとりになるのでしょうか?」
「地位剥奪の件を撤回するつもりは微塵もない。
それにはいくつもの理由がある故な、一言ではとてもじゃないが話せないな」
「長くなっても構いません、このままでは皆が納得できません、全てお話しして頂けませんか?」
「長くなるぞ、それでも良いのか?」
「マグロ様のお時間さえ良ければお願いいたします」
「では時系列で話そう、帝国に関わってる部分のみな」
サパンでカエラの世話になりオークションの事を知り参加した事。
その際にドラゴンを競り落とし、それを奪う為に宿屋に騎士が命を狙ってきた事。
サパンに馬車で移動中に偽りの罪を捏造し襲ってきた事。
サパン入口に100名待機させ命を狙ってきた事。
ライネルへ赴いてる際にサパンを襲われ、世話になってた人たちが拷問を受けていた事。
サパンを解放し、帝都を襲い帝宮もろとも焼き尽くした事。
タルボスクと交渉の席に着いたが、この機会を利用して冒険者を人質に取り、冒険者ギルドその物を潰して殺そうとしてきた為、軍部もろとも全滅させた事。
その戦闘終了後に帝位に就く事を決意し貴族達全てを殺そうとし、止められた事。
農業や漁業を営む者達が搾取されてる事を知り、領地運営してる者達を全員首にし、貴族たち全員の地位を剥奪するよう通達した事。
「補足するが、搾取されている事に激怒したのは単純だ、この者達が居るおかげで我らは生かされている。
この者達が居なければ全員が餓死だぞ。
なぜその事に気がつかないんだ? そんな馬鹿連中ばかりだぞこの帝国は。
先日も18名の元領主たちが来たのでその点を問い詰めても、生活が出来てるだろ、搾取はしてないなどとほざいていたがな、お前らもその口か?
現状はどうだ、皆やせ細り食事もままならない事は明白だ」
「なるほど、マグロ様が帝国の貴族に対して不信がるのも無理のない経験、搾取に関しても耳の痛い話ですな。
確かに弱者である農家から50%もの税と称して取り上げていた事実があります、申し開きの仕様がありません」
「あのな、あんたからそんな事言われると殺意が沸くんだよ。
元々侯爵だと言ったな、先ほど俺が言った事を理解してるそぶりだが、理解してるのならなぜこれまで手を打たなかった。
皇帝に言っては自分の命が無いとか言うなよ、自国の国民を導く存在だろうが! 貴様らのやってる事は単なる自身の保全と安穏とした生活のみだろ。
誰のおかげで生活出来てるのか考えた事があるのか?」
「・・・・・」
「何か言ってみろ! 貴様らは自国民を窮地に追いやってた事すらこれまで気がついてないんだぞ。
そんな馬鹿連中に貴族の地位を与える訳ないだろうが!」
「我らの立場すら知らずにほざくな! そんな事を上告してみろ、家族ごと処刑だ!」
「これだから救いようが無いんだよ、何の為の貴族だ! 他者から搾取のみしかできんのなら、さっさと貴族を止めろ! トップが間違ってる事をしてるのなら、正すのも貴様らの責務だろうが! 何の為の貴族なのか考えてから言えよ!」
「はいはい、マグロさん落ち着いて、魔力がダダ漏れですよ」
「これまでで一番激怒してるわね」
「こいつら死んだにゃ、ミンチで済めばいい方だにゃ」
「ああ、良い事思いついたぞ、今言った奴、俺の代わりに帝位に就け、その代り、ボケかましたら即刻ミンチにするけどな、もちろん家族ごとだ。
俺にあれだけほざいたんだ、お前の進言さえ通ればこの様な搾取は改善され、俺から貴族達への目線も変わっていたって事だろ、お前が帝位に就けば、これだけ問題だらけの帝国も旨くいくんだろうな?」
「・・・・・」
「おい、あれだけ断言して上告したら処刑されると言ったんだ、お前が帝位につけばこの点を解消できるだろ。
上告すれば解決する問題だと言っただろほら、お前が帝位につけば帝国も良くなるんだろ、さっさと宣言しろ!」
「・・・・・」
「クズが! 気概もないくせして適当な事言うなよ、口だけならだれでも言えるんだよ! 口に出すならそれだけの覚悟を持って言えよ!
もう決断したぞ、この地の貴族共全てを抹殺してやる! まずは帝都からだ!」
俺が無属性のブレスを放出可能な龍種だと判ってから考えてた魔法を全力で食らわせてやるよ、それともアースクエイクの実験台にでもするか?
「我が右手に全魔力集中! 属性無しで構わん、世界の果てまで吹き飛べクズ共!【ブラストノヴァ】「待つにゃマグロ! その規模だと帝都事吹き飛ぶにゃ!」」
嫁全員掛かりで魔力を中和させられた。
「放せ! これ位やらんと気が収まらん! 帝都事吹き飛ばしてやるよ!」
「何事だ! 途方もない魔力だったぞ、何があった!」
「お父様、貴族達との謁見でしたが、貴族達の馬鹿さ加減に激怒したマグロが吹き飛ばそうとしたのですわ」
「それで押さえてた訳か、マグロ落ち着け!」
「放して下さい、たとえアグニスさんでも、邪魔すれば遣りますよ」
「だから落ち着け、俺とマグロが争っても解決にならんだろ」
「チィ、【エアブラスト】」
強引に振りほどく。
「貴様ら、さっさと俺の前から消え失せろ!【アースクエイク】「止めろ! なんて魔法を覚えてやがる、この辺りが壊滅するぞ!」」
「だから邪魔するな!【エアブラスト】 焼き尽くせ!【フレアストーム】「また厄介なのを覚えてるな! ダメだ、気絶させろ!」
寄ってたかってボコボコにされて気絶し、屋敷で拘束された状態で寝かされた。
「ここまで梃摺るとはな」
「帝都に来る前の段階でLv1200を超えてたんですよ、更にこの地で16万人もの騎士を倒してるんです、相当に強くなってますから、私たち全員で止めに入ってやっとですよ」
「しかし、初めて発動する魔法でしたね、最初のは無属性でしたから、自身の龍族を意識してでしょう。
それにアースクエイクは、土の特級魔法、試す場がないと封印されていたはず。
激怒されていたから口に出されてましたけど、無詠唱で出されていれば、止める事は出来なかったですね」
「マグロが激怒した事も分かるのですわ、これも、搾取してた事をなんとも思ってない貴族達が悪のですわ」
「そだけどにゃ、あの規模で放たれていたら、マグロとティア達を除いて全滅にゃ。
それに、マグロ本人もただでは済まないにゃ」
「私、思うんです」
「どうしたのセレス?」
「マグロ様は、この件から手を引いて、普通に暮らした方が、笑顔で生活できるんじゃないかと、今のマグロ様は、余裕がなくなって精神的に追い詰められてるんじゃないかと。
見ていて、辛いんです、いっそ、全てをなげうち、知らない土地で生活したいと」
「そうですわね、そうできるのなら最高ですわよね」
「マグロさんの性格では、それは難しいですよね、せめて、その苦痛が和らぐように私たちで」
「そだにゃ、謁見もティアたちが変わってあげられたらにゃ」




