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48:皇宮

「今回はカラミティの大手柄だな、よく取り付かれる前に敵軍を発見したな」


「全くの偶然です、側を通りかかった交易商より情報が届きました、皇宮の設計図を探す為に商業ギルドに滞在してたのが幸いでした」


「ほう、それは情報を流してくれた交易商に褒美として金一封を送るか、被害が皆無だったのはその人のおかげだ、金貨500枚を贈ろう」


「頂いてる資金から送っておきましょう。

 それと、先ほど申し上げた設計図を発見し、持ち出しの許可が下りない為、マグロに商業ギルドへ赴いてもらう事になります」


「了解した、では時間を確保し後程向かうとして、対処完了の報告をして混乱に歯止めをかけないとだな。

 それと、正式な抗議文の発送か」


「では、その二点とも、商業ギルド経由で通達しておきます、エリュードへの抗議文なのですが、内容は如何されますか?」


「挑発的に伝えるか、淡々と伝えるか、和解へ向けて話し合う方向で伝えるか、どれが良いでしょう? アグニスさん」


「事実のみを告げればいいだろう。

 越境して来た為、そちらの軍は叩き潰した。新皇帝:怪盗=マグロ=ヴァンティユ。

 で良いだろ、感情のこもらない点が不気味さを強調して、相手の考えてる事が分からないからな。

 それで再度相手の行動で、どの様な心理なのか少しは掴めるだろうしな」


 再度攻めてきたら此方の戦力を甘く考える、短慮な性格か。

 長期間攻めて来なかった場合は、慎重に情報収集へシフト、もしくは更に大軍を送り込む算段か。

 もしくは内部に人員を送り込み、情報収集と共に、何か策を持って揺さぶるか、考えられるのはこの程度か?

 対話に変えてきた場合は、直接に探る腹ずもりか、代替わりした事で対話と軍事方面の両面で揺さぶりをかけるつもりか、それとも直接接近して命を狙って来るか。

 

「その様にしますか、対応次第で相手の考えてる方向性も分かりそうですしね。

 ではカラミティ、その様に手配をお願いする」


「では、さっさと帝都へ戻るぞ、屋敷を確認したいからな、その後は騎士の住む場所があるかどうかの確認だな」


「カラミティ、ツガットが何処に居るか知らないか?」


「朝から賠償金を手渡すとサパンへ赴いてます」


「なるほど、その件で居ないのは仕方がない、誰か、屋敷5軒の位置と、兵舎の場所を知った者は居ないか?」


「それでしたら、通達は10分も掛かりませんから、お待ち頂ければ案内しますよ」


 帝都の商業ギルドで報告や手続きを済ませ、これよりの移動はマグロ家所有の馬車で行動となる。

 奪い取ったと言って良い5軒の屋敷は、国のトップとして赴くだけの立場に見合った佇まいであった。

 木造の大きい屋敷で3階建て、小さくても二階建て、50人前後から小さい屋敷でも30人前後は住めそうだ、庭も広く、草が伸び放題と言う事も無い。

 馬車の停留所や厩舎もある、これなら共同生活となるが期間は1週間ずつ3組程度にに分けて生活してもらうには申し分ない。

 中へ入り確認すると、金品と書類のみ持ち出したと言ってた通り、家事回りの調理器具から食器まで揃っており、食材まである始末、腐るだろ! 処分してほしかったな、何時入居するか分からんのに。

 寝室や応接室なども生活感あふれるものだ、素っ裸で来ても良い位だ、何故かって? 下着だろうが服だろうがそのままタンスに入ってるからな、着る気にはなれんが。

 そして最後の屋敷の中庭にて。


「そのまま住めるな、何も買わずとも住める状態だ、これなら体験生活も十分可能だが、衣類や布団などの寝具は持って来させるべきだがな」


「では、そちらの件はお任せします、しかし、足が足りませんね、各屋敷に馬車を2台程度は常備したい所ですね。

 奴らは持てなかったのか? カラミティ」


「そちらの説明がまだでしたね、管理する者が居ない状態で馬を放置する訳にもいかず、その手の業者に委託して管理させております。

 箱馬車が合計12台、内、二頭引きが6台、4頭引きが6台、馬は合計36頭です」


「では、此方に迎える時にでも引き取りに行きましょう、忘れてましたが、メイドさん達も連れて来るんですかね?」


「来たり来なかったりだな、そこはバランス良くなるように配分だな、この体験で雇う必要は無いだろ」

 

「それでは、一番大きい建物の屋敷は俺たちの家族が使います、アグニスさん達はどうします?」


「俺達も領地の管理をする必要があるよな、役職に見合った屋敷であれば問題ないぞ」


「そう言えば役職を決める必要がありましたね、公爵は直接的な血縁ではありませんし、俺の子供も居ませんから空席にして。

 来ていただくご家族は全て奥さんの実家ですからね、侯爵でどうでしょう?」


「侯爵が29家もあるのは不自然な気もするが、マグロの嫁の実家としてならば相応しい地位だな。

 それに、一律にしなければ上下関係となり、下に付けられた者は不満だろう」


「ではその様に、人事官が居ないのが面倒ですね。

 この場合は戸籍などで管理するのか? カラミティ」


「燃えてしまって有りませんが、本来であれば役職や家族構成に至るまで書き込んだ羊皮紙を帝宮で管理してます」


「まぁ、燃やしたからな、どのみち0ベースで構築するんだ、燃えて済々するのが本音だな。

 そうそう、カラミティはこれから帝国の幹部だからな、今日から伯爵とする、すまないな、爵位を与えるのを忘れてたよ。

 正式な叙勲とかが無いのが痛いな、書類にもその手の家紋を押す必要があるんだろ?」


「ありがとうございます、封蝋の事ですか? 確かに刻印を指輪にし、決済などの書類や手紙の封をする際に用います。

 貴族であれば必須な品ですね。

 後で紋章官の元へ向かいましょう、そちらで重複しない刻印をデザインし、登録後に細工師に発注して国旗も合わせて発注すべきですね。

 戴冠式には必須ですので早めに作るべきです」


「なるほどな、これだから一般人からの成り上がりだと知識が足りないんだよな、カラミティが居てくれて本当に助かるよ」


「ありがとうございます、ですが本格的に忙しくなるのはこれからと思います」


「ん? 確かに皇宮がないから違う方向へ舵取りが必要だと思う、だけど何故だ?」


「騎士の募集に文官の募集、それに伴う試験の内容や合格水準の選定、会場の設営やら試験で使用する問題集の準備、その他もろもろ。

 騎士と言っても内容は様々、指揮官クラスの指揮能力を試す試験、戦闘面での試験も近接戦闘から遠距離戦闘に魔法戦闘、作戦立案方面に長ける者達への試験の内容などなど。

 説明すると切りが無いほどです」


「うんざりするな、いっそ、騎士は0で衛兵のみにするって手も、俺がすべて叩き潰す方向で!」


「おいマグロ、自暴自棄になるな、そんな事する暇がお前にある訳がないだろ、帝国を運営する上で、お前の決済が無ければ動かせない事が多々あるんだぞ、殆ど書類と睨めっこの生活になると判り切ってるだろ」


「うがああああああ! ユリウス陛下に帝国の全てを献上するか!」


「馬鹿な事を言うな! 何の為に俺とファサラが先行して来たと思ってるんだ、選考基準も何もかも俺達に任せろ、マグロは他の件に集中するんだ。

 騎士方面は俺たちが中心に受け持ち、文官方面も含めて29家で対応する、彼らにも騎士や文官が必要だからな、同時進行で募集し、各地域へと分散させる予定だ。

 最初は少数ずつ、試験官を確保した後、徐々に規模を大きくするつもりだ」


「うぅぅ、お願いしますアグニス様」


「任されたぞ、マグロ様」


「では次に行くぞ、騎士達の宿舎へ案内してくれ」


 ふむ、シッポは出さないか、少しは自重してるようだな。


 衛兵用の宿舎が3棟、各外壁門近くに1棟ずつ。

 近衛騎士用の宿舎が帝宮の左右に1棟ずつの計2棟、此方は帝都内への出入り口と帝宮への出入り口が併設されている。

 食堂もそれぞれに完備、風呂は無い、【クリーン】による汚れなど落とすか、井戸水で水浴びか、お湯を溜めてタオルなどで拭くしかない。

 全部合わせて6000人は住めるな、一つの部屋のベット数に部屋数をかけた数だ、もしかすると高級士官用に個室も混ざってたら数が減るがな。


「食堂があったが、務めてた者達はどうなってるんだ?」


「食べさせる相手も無く、雇う者が相次ぎ死んでますから当然無職ですね。

 現在は職探しの真っ最中、商人ギルドで斡旋しています」


「それはマズイな、職探しの為に帝都外へ出て行かれたり、別の仕事に就かれたら事だぞ、今すぐに給料のみ支払って確保よろしく。

 5軒の屋敷に10名ずつ配置して食事を作って貰え、帝国の料理も体験してもらうべきだからな、そちらへは給料多めにな、その他は各宿舎の保持をさせておけ、かなり暇だろうけどそれで良い。

 給料は以前のままで保持な、分からなければその者からの直接聞け、再開時に盛ってた事が発覚したら解雇しろ」


「商人ギルドへ赴いてる者達の確保は容易ですが。

 来てない者、そちらは何分、分散して住んでますから時間を頂きます」


「それは仕方がないな、そちらへも人手を回せれば良いんだが手が限られてるからなぁ」


「では予定を一部変更しまして、商業ギルドを初めに、次に紋章官、細工師としましょう」


「それならマグロ、商業ギルドへ赴いてる間、馬車を貸してくれ、まず2家ほど連れて来て例の馬車を確保したら宿屋へ寄越す。

 最終的に14家此方へ赴いてもらう、その時に募集方法も含めて話しあうからな」


「ではその様に。

 セレス以外はライネルの屋敷に戻り、一切合財、入居時時点の状態になるまで全て詰め込んで新たに屋敷になる場所への引越しをお願いできるかな。

 とりあえず服やらベッドを中心に、今日からそっちで寝泊まりしよう、移動型テレポーターもそちらへ持って行ってくれ。

 宿の方は引き払う方向で、まあ、突然開けると迷惑が掛かるから2日分ほどの料金は追加で払っておくけどな。

 セレスは冒険者ギルドに行って、5家に依頼した報奨金を払って来てくれ、代わりに立て替えてるはずだからな」


「ええ、そちらは任せて下さい、マグロは皇宮を魔法でなんとかするつもりでしょ?」


「例の魔法で全部金属製で建てるつもりかにゃ?」


「そのつもりだよ、ただなぁ、あの尖がった屋根だっけ? 塔の様な形の、あれは作れそうにないな、バランスが悪い。

 以前の知識を生かして、俺のオリジナルって言うか、大勢の人たちの泊まる巨大な宿ぽくなるだろうな」


「材質で驚かれる様な皇宮にするつもりですわよね?」


「それなんだけどさ、地下部分って地面と接触してるでしょ、腐食とかが心配なんだよね、宝物庫に横穴開けた時も材質が石で、簡単に侵入できる穴が簡単に掘れたし。

 その点も含めてだけど、腐食に強くて強度もある金属ってどれか分かる?」


「マグロさん、それでしたら白金貨が一番溶けませんよ、魔法で溶かそうとしても変化しませんから」


「そう言えば白金貨って材質は何なんだ? 溶けないのは良いとして、強度的にはどうなの?」


「材質はそのまま白金ですね、強度はミスリルとオリハルコンの中間程でしょうか。

 今現在も鉱山で出土はしますが、それでもごく少量なので、白金貨としての希少性は確立されてますね」


「うーん、さすがにそれを建築素材に使うのは不味そうだなぁ、地下の見えない部分をオリハルコンかアダマンタイトにして、1Fから上をミスリルにしとくか、目に悪そうだけど」


「あ、あの、マグロ様、白金、ミスリルやオリハルコンとか、アダマンタイトを建築素材にとか聞えましたが正気でしょうか。

 帝国の予算を持ってしてもですが、その様な素材を使われますと、その、餓死者がすごい事になると思うのですが・・・そもそもその様な大量には準備できませんが」


「ああ、なるほどな、心配するのは当然だな。

 だが心配は無用だ、皇宮の外観を含めて俺が何とかするつもりだし。

 職人を雇って帝国の税金を使うにしても魔法陣設置方面だけだ。

 それも快適に過ごせるように温度や湿度管理と、後は結界魔法陣程度だな。

 と言っても、大魔石を十数万所有してるから、0ベースで新築を頼むよりは遥かに安く済むだろう。

 考えるとなぜ可能なのか理解はできないだろうから、考えるな、俺に任せろ」


「はぁ、では其方は全てお任せします」


「まった、俺は魔法陣設置して温度管理やらは出来ないからそっちは専門家を雇いたい、明後日辺りから働ける者を確保できないか?」


「では、そちらの職人に当たっておきます」


「マグロ、そちらの予定も決まったか? 決まったのなら行動開始といこうか」


「アグニスさんの方も案内人が必要でしょ、馬車一台分の家族を連れて来られたら商業ギルドから案内してもらった方が良いですよ。

 それと、先ほど言った移動型テレポーターの移動は夕食後にしますか、時間を決めないと混乱しますしね」


 こうして商業ギルド以降は、4手に分かれての活動開始だ。

 俺はと言えば帝宮の見取り図と言うか建築図面を見せて貰ったがさっぱり解らん。

 精々一つの部屋の広さだったり総面積と階層位だ、肝心の下水管がどう構築されてるのか、そこが知りたかったんだけどな。

 建物の規模は横幅300m、奥行き50m、B1から4Fまでの5階構造。

 あくまでも、これまでの建物は、だけどな、規模は同じで階層を増やす方向で検討してる、まぁ形はホテルだな、長方形で箱型、上の階層のみテラスをつける予定。

 屋上はあれだろ、展望台よろしく、大パノラマの露天風呂、男女用と混浴だな、場所次第で眺めが変わるのも良いな、日替わりで男女入れ替えたりな。

 各階層の予定はと言えば。


 1F以上の部分にはお手洗いを3ヶ所及び執事やメイド達の休憩室

 4F以上にはテラス

 B2:宝物庫兼資材庫

 B1:書庫、長期的に保管すべき書類などを置く場所、城の心臓である魔法陣設置箇所

 1F:2Fぶち抜きのエントランス、応接室(多数)、軽食程度を調理するキッチンとそれに付随する食糧庫、騎士の宿直室

 2F:大会議室、大舞踏会場兼立食会場、それらを支えるキッチンと食糧庫

 3F:謁見の間、貴族待機室(多数)、皇帝家族の待機室、会議室(貴族待機室と同数)、軽食程度を調理するキッチンとそれに付随する食糧庫

 4F:近衛騎士や高官達の個室

 5F:執事やメイド達の個室

 6F:帝宮に務めるもの達の食堂とそれに付随するキッチンと食糧庫、風呂場

 7F:騎士達の行動立案や作戦会議室が半数、文官用の執務室と付随する書庫及び書類倉庫

 8F:予備階層

 9F:皇帝家族のプライべート階層

 屋上:露天風呂


 地下部分の素材

 地下部岩盤までの柱:白金:10m間隔で総数155本、30cmの正方形

 外壁面:外壁白金10cm、内壁ミスリル:30cm

 床材:白金10cm、表面ミスリル:20cm

 B2-1Fまでの柱:オリハルコン:30cm正方形


 地上部の素材

 壁:ミスリル:40cm

 床:ミスリル:25cm

 柱:水晶:円形40cm:主に2Fと3Fの部屋の広い場所

 引き違い用窓枠:壁のミスリルを長方形にくり抜き、上部は幅1cm深さ1cm、下部は幅1cm深さ2cmの溝を1mm開け2列、更に下部には球状で9,5mmのミスリルを敷き詰めて開閉をスムーズにする工夫を

 窓:水晶:9,5mm:把手付き


 この素材の為に新たに魔法の構築。

 白金、勝手にプラチナだろうと解釈して【プラチナウォール】

 水晶の透明度の高い物を【クリスタルウォール】

 とした。


 正面玄関のみを外開きとし、他の扉は全て内開きとした、材質は蝶番も含めて総ミスリル製。

 謁見の間がある3Fのみ天井高が4m、他の階層は天井高は3mだ。

 下水の構築が一番厄介だ、その為のスペースとして、B1より上の階層間の天井と床の間に50cmの空間を設けてミスリルの管を通し、角度を確保した。

  素材をミスリルとした事で厄介なのは、敵対者が素材に直接魔力を込めて広範囲に魔法を発動した場合だが、そこはマグロとその嫁達が相殺する事によって無力化が出来る。

 そもそも結界魔法陣に大魔石を数千単位で使う予定だ、破れる者が居るかね?

 マグロ達を超える能力を持つ者と言えば、先に説明を受けた龍種の上位の者達程度だろう、居るかどうか疑わしい、その為に気にしない事にした。

 ほぼミスリル製である為、魔法陣の効果を効率良く全館に張り巡らせる事が出来る、B1に集中が可能な理由がそこにあった。

 

 物自体は魔力でどうとでもなるが、細々した事に手が回らない、特に窓の設置が。

 ミスリルの球を大量に作り出す事は簡単だった、無限収納袋から取り出す際に形状を指定して大量に一気に取り出すだけ。

 並べるのに嫁達全員総出で対応した、それはそうだろう、地上部の部屋全てに作る予定だ、数が半端じゃない。


 こうして約2週間をかけて完成した、倒れたら大変だな、ミスリルに頭をぶつける事になる、死にかねない。

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