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42:もたらされた情報

 さて、サイラスの居る場所は知ってるからさっさと向かおう。

 そう言えばティアの行動見てると俺でも怖いんだよな。

 もしかして、この手の事に向いてるかも? 俺がした方が早い気もするが、決めつけは良くないな、現地に着いたら聞いてみるか、この手の会話は実際に聞く方が怖そうだからな。

 誰にも咎められず、サイラスの居る個室へと雪崩れ込んだ、カギは破壊してないぞ、きちんと借りて来たからな。


「さてさて、サイラス君元気かね、聞きたい事が複数あるんだが、素直に答えてくれないか? そうすれば痛い目には遭わないよ」


「・・・・」


≪バシィ≫かるーくビンタを食らわせる。


「黙ってては分からないよ、話したまえ」


「マグロ、口調が変にゃ、元の方がマシなのにゃ」


「言うに事欠いてマシってなんだよ、元の口調もあまり宜しくないって聞こえるぞ」


「訂正するにゃ、元の口調が好きなのにゃ!」


「ま、素直にしゃべられたら俺らが来た意味が無いからな、頑張って口を噤んでろよ、さて、俺がしても良いんだが、ティア、俺の代わりにしてみるか? 無理そうなら変わるがな」


「マグロのお許しが出たのにゃ! では早速甚振るのにゃ」


 徐にメテオブレイカーを取り出す。


「ティア待て! 殺す気か! そんなの使ったら即死だろ、もうちょっと手加減をしろ!」


 あっさり死ねると思ったのかサイラスは安堵の表情だ、だがそうはいかない。


「これは冗談にゃ、サイラス、頑張って耐えるのにゃ、出来るだけ耐えるのにゃ、その分甚振れるのにゃ」


 出血させては傷が治っても最悪は死ぬからな、その辺も含めてだろう、ティアが開始した。

 指突拳とでも言うのか、強大なステータスのおかげだろうな、相当に鍛えてるサイラスの体に指がめり込んで骨の砕けた音がする、一番下の肋骨が砕けたな。

 砕いては治療、砕いては治療を繰り替えす、聞くに堪えない絶叫がその度に木霊す、はた迷惑だろうな、囚人ばかりとは言え寝られないからな。

 そして翌日の日を跨いでまもなく。


「ティア、ストップだ、サイラス喋る気になったか? まだ頑張るならバトンタッチだ、ティアに代わって俺が担当になろう」


「マグロ、見てるのに飽きたのかにゃ? それなら言ってくれればもっと早く変わったのにゃ」


「サイラスの頑張ってる姿を見てるとな、もっと苦痛のランクを上げた方がサイラスの為だろ。

 ティアなら部位欠損も治せるからな、とりあえず出血しない様にヒールを掛けながら歯を全部引っこ抜いて部位欠損を治療、これの繰り返しをしよう、ああ、喋りたくなったら言ってくれ、俺たちは三日三晩、お前に付き合うつもりで来てるからな。

 それでも喋らない場合は更にランクを上げる」


 下から顎を掴み上げ、口を開かせて上の歯から引き抜く、まずは1本目。


『があぁああああ・・・・はっへくへ! ははすかは はんへほははふかは!』


 ん? 話すと言ってるのかな、それ以外に言う事はないしな、それ前提で話してみるか。


「なんだつまらん、やっと俺の出番で1本目しか引っこ抜いてないのにな、もっと頑張らないか? とりあえず一揃え28本分位はさ」


『勘弁してくれマグロ、話すと言ってるだろ!』


 下から掴み上げ、更に1本引き抜く、今回は治療は無しだ。


「マグロだあぁ、俺の資産どころか、俺の住んでたライネルに戦争仕掛けたんだ、これだけで済むとでも思ってんのか!」


『す、すみません、マグロ様、何でもお話しします、ご勘弁を!』


「ティア、話すそうだからカサンドラさんを連れて来てくれないか、着た途端、手の腹を返して喋らなかった場合は、明日の朝まで強制的に歯の引っこ抜き我慢大会の開催だ、その後話しますと懇願しても明日の朝まで確定だ。

 分かったかサイラス!」


『分かっております、お話しますから、これ以上の拷問はご勘弁を』


 こうしてカサンドラさんを交えてペラペラと話し出す。


「まずは、聖王国から依頼してきた奴は誰なんだ?」


『聖王国グランドの枢機卿で、名はアレハンドロ=トランスト、見た目は40台後半、金髪で瞳の色は薄い青色、身長は180cmほど、痩せ型で回復魔法が得意です。

 手下には暗殺部隊と諜報部隊がいます、数は不明、我らとの調整は諜報部隊の者が行っていました。

 それと、神官の中に同調してる者達が居ると聞いてます』


「枢機卿と言ったらかなりの高い地位だろ、トップが指示してアレハンドロが動いてるのか?」


『そこまでは知りません、実際に会ったのは一度きりです、他の枢機卿の名前や神官の名前は出たことはありません』


「そいつの署名が入ってる指令書とか残ってないか、あるなら教えろ」


『俺は持ってません、ですが、あるだろうと思われる場所なら知ってます、アレハンドロとはカスタルの元領主館で会いました、その際に4名で署名した羊皮紙が存在します。

 あるならばそこの隠し部屋、地下1階の倉庫の最奥、部屋に入って左奥で正面の壁に幻惑の魔法を施され、通常は壁に見える扉があります』


「それが手に入れば聖王国に斬りこめる手札は確保した事になるな、では4名とは誰だ、正確に言え」


『俺とアレハンドロ、ラインハルト、クラトルの4名です」


「協力者に、ストレイルの他の領主や、特別な地位に着いてる者が他にも居ないだろうな?」


『いません、具体的な襲撃日時や場所などは、すべてクラトルの指示です』


「では、他の3人の役割は?」


『アレハンドロは我らの雇い主でした、大枠の標的と目的をクラトルに指示してました。

私の仕事は交易品を守る冒険者がなるべく低ランクの者が受注するように手配し。

 ラインハルトは奪った交易品を、足がつかない様に買い取って売り払い、そのお金の分配が担当でした』


「では次だ、ロドリゲス達をなぜ殺した?」


『俺の弱みを持つ存在でした、そこで、マグロ様の依頼を利用して殺しました』


「弱みとは何だ?」


『俺が金に困った際にクラトルから借りました、あれは裏で金貸しをしていましたので、ロドリゲスはその取り立てをしていました、金利が高かのですが仕方ありませんでした、普通の商家で借りては醜聞が悪い。

 そこで、他人に知られず借りれるからと奴から借りました、それが間違いでした、膨れ上がる借金の利子さえ払えなくなり、今回の事を持ち掛けられました、弱みのある俺には断る事が出来ませんでした。

 マグロ様から受け取った差額はロドリゲスに借金返済として渡しました』


「クラトルが貸金業か、カサンドラさん、奴がその様な事をしてたのをご存知で?」


「いえ、知りませんでした、店舗はあったのですか?」


『あります、灯台下暗しです、場所はセクタル冒険者ギルドの真裏の屋敷です』


「誰が所有者だ?」


『名前は知りません、クラトルの手下の者の名だったかと、カサンドラ様の商家で働いておりました』


「ふむ、重要な書類はそちらに在りそうだな、そうなると時間が無いか? 例の名簿には書いてないだろうな、俺なら書かない」


「クラトルの家には大した品はありませんでした、恐らく其方でしょう」


「今回の事はクラトルが聖王国からの依頼を持って来たのか?」


『そうです、元々クラトルは聖王国の人間だったようです、ストレイルに来る前からの知り合いの様でした』


「ロドリゲスを遣った冒険者はお前の手下か?」


『あの時話した事は本当です、偶然居合わせたAランク冒険者PTに依頼しました、早く口を封じたかった為、生死不問でしたが、口頭で殺す様に依頼しました』


「知りたい情報は粗方引き出せました、それに、急いだほうが良さそうですね、俺なら証拠隠滅します、残ってる者達の行動如何ですけどね」


「今の時間では大勢の騎士を動員できませんが大丈夫ですか?」


「戦力の面でしたら問題ないです、制圧した後に夜が明けてから調査しますか」


 夜勤の騎士2名を連れて5名で向かう、【ライトボール】で昼間の様に明るい、魔力を込め過ぎたか?

 よく見えるから良いか、と、開き直って向かい、到着した。


『何者だ、許可された者以外は通す事はできん、お引き取り願おう』


「領主のカサンドラです、クラトルの国家反逆罪の件でこの屋敷を調査致します、よって、この屋敷を私の傘下に置きます、其方たちの身柄も確保します、おとなしく獏につきなさい」


『糞! 相手はたったの5人だ、全員出て来い、全員殺して切り抜けるぞ!』


「まぁまぁ、俺達に任せてカサンドラさん達は下がってて下さい、彼らは此方を殺す気です、同じ目線で対応しましょう、それにこの対応だと、重要な品がありますって宣伝してますからね」


『かかれー!』


 サイズは以前のまま、速度と威力はINTとLUK依存、当たったら即拡散【エアアロー】 威力がありすぎる、当たった本人は千切れ飛ぶ。 

 他の単体魔法の更新もここでやっておく、ただ【ストファボール】 だけは旨くいかなかった、粘着のある溶岩をイメージして作った魔法だが、もはや水同然だ、素材を石からもっと融解温度の高い鉱石に変えないと本来の威力が出ない。

 ティアはティアでメテオブレイカーを横に振り抜く、屋敷の壁が頑丈で良かったな、蛙が踏みつけられた様に壁に張り付く、俺の魔法もだが、完全にオーバーキルだ。

 後ろでは3人がドン引きしてるがな、悪事を働いた者の末路はこんなものだよな。


「制圧完了にゃ、全部で34人ほどかにゃ?」


「人数の確認はどうでも良いさ、ティア、一度寝てから改めて出直すか? それとも一気に家探しするか? どっちが良い?」


「また出直すのは面倒なのにゃ、今から家探ししてごっそり頂くのにゃ」


「ティアがそう言うならそうするか、それじゃ、隠し部屋があるとも限らないから、一部屋一部屋上の階から順番に回ろうか」


 精査するのは後まわしだ、家財道具だろうが寝具だろうが飾りの為の壺だろうが部屋が空になるまですべてを収納する。

 正直、寝具やら服やら下着やら奪っても仕方ないんだが、見逃しがあるよりマシだろ? タンスの引き出しの奥に隠すなんて当たり前だからな。

 高価な品はあまりないが、個人の資産としては現金はかなりある方だろう、軽く白金貨25枚以上はある、安く売ったとしても1国の食糧事情が悪化するほどの量を奪ってたんだからな。

 隠し部屋も2部屋と言って良いのか、一つは執務室だったのだろう、立派な机がある部屋の隣室に小さい部屋が、そちらは書類の山だった、これも棚ごと頂いた。

 もう一つは地下倉庫に併設されていた、こちらは武器や防具が山の様に乱雑に投げ込まれていた。

 襲撃した際の護衛してた冒険者達から奪ったのだろう、こうして建物のみを残して全部頂いた。


 現在の時刻は早朝、徐々に明るくなってきている。


「後は精査のみですが、さすがに眠いですね、これは後回しにして、精査は我が家でしますか? 庭は広いんで、全部出して一気にした方が効率的でしょうし。

 ライネルの騎士団にも協力してもらった方が手間が省けますしね」


「セクタルの騎士をライネルへ派遣しても良いのですか?」


「我が家の敷地内なら大丈夫でしょう、それに、粗方の調査はこれで完了でしょう? 陛下に一度お会いされては?」


「あの量を一度に出して精査するスペースもありませんし、今回の事でユリウス陛下にお会いするのは当然必要ですからね、お言葉に甘えても?」


「ではそうしましょう、カサンドラさんの予定はどんなですか? サイラスの件で会合とかの予定が入ってるはずですよね」


「マグロさんの言う通り明日の昼前から会合が開かれます、開催地は此方です、身柄がこちらにある為ですね。

 期間ですが当日で終わるでしょう、サイラスが自ら口を開き認めましたので、マグロさんのおかげですね」


「おかげは兎も角、明後日以降で本日中に予定が決まれば大丈夫ですか?」


「はい、例のテレポーターの使用をご許可頂ければ予定の方は開けられます」


「では、昼食後辺りにお伺いします、カサンドラさんを必要があったとはいえ、深夜に起こしましたからね、休息が必要でしょうし」


「あれは必要な事でした、むしろ感謝しています」


「話は変わりますが、金品やら武器防具に家財道具などは精査後にお返しします、交易襲撃の売却で揃えたのでしょうし。

 もとはと言えば、カサンドラさんの資産ですからね、一時的にでも入れられる倉庫を確保しておいて下さい、運び込みはこちらでしますので」


「感謝しますマグロさん、食糧庫の一つを開けておきます」


 テレポート用の半分に切られた魔石を持って考え込んだ。


「それじゃティア帰ろうか、えーとテレポートの詠唱は何だったっけ??」


「マグロはちょっとした事が抜けてるお茶目さんなのにゃ、ティアに貸すのにゃ」

 ティアに奪われた。

【我が身端は時を超え空間を超え彼方へ向かう物なり時を司る神よ我に力を与えたまえ テレポート】


 現在地我が家の3F、テレポート部屋。


「軽く食べてから寝るか? 俺は陛下とシャルへの言伝を頼んでから軽く食べて寝るよ」


「ティアも少し食べてから寝るにゃ」


 1Fへ移動すると伝言が入ってた。


「お帰りなさいませマグロ様、サパン冒険者ギルドマスターのツガット殿より伝言が入って御座います」


 とうとう決着が着いて、会談の日時でも決まったのかな。


「それで内容は?」


「一週間後、帝都の商業ギルド、大会議室にて例の会談が行われることになった、一日前の6日後に来てほしい、テレポーターは復帰してるが、最終確認の為1日前にお願いする、との事でした。

 昨日伝言が参りましたので、5日後となります、ご都合は大丈夫でしょうか?」


「なんとか調整は可能かなぁ、ティア、何か予定は入ってたかな?」


「5日後の予定は何もないにゃ、ただ、明後日あたり、武器と馬車が完成する時期じゃなかったかにゃ?」


「それなら帝国の方は行けるな、カサンドラさんへ日時を伝えた後に冒険者ギルドと武器屋へ行ってみるか。

 ツガットの方にはこちらから行ける旨と、武器がほぼ完成してるだろうから都合つけて受け取りだな。

 カエラさんにも時期は話してたし、そろそろ帰ってくるだろ、冒険者受付嬢の事もあるから案内するのにこっちへ来るだろうからな。

 セルにはお願いがあったんだよ」


「何なりと、マグロ様」


 すっかり忘れてたカエラさんに渡す予定のウロボロスロッドを渡す様に頼み、陛下への言伝と謁見の調整、精査の為の人員派遣、元領主館の隠し部屋の場所など多岐にわたった。

 軽く食事を済ませて昼まで朝寝だ。

 


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