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28:現帝国の

 帝都の南外壁門から南東方向へ走っていると、南部から帝都へと向かって来る赤いマーカーの部隊が探索範囲内に入って来た為南下した。

 下手に合流され人数が増えればその分手間が増える、それならば各個撃破するのは常識ってもんだ。


 全体が入る程度に接近すると、六列縦隊で約二千人の歩兵隊、その後方に、二頭立ての荷馬車部隊が二十台、食料持参で救援に来たのか? 初日の急襲から編成された近隣の部隊と思われる。

 テレポーターを利用して短時間で送り込む方が効率は上だが、補給物資持参となれば話は別だ、帝都に出没し、どの方面へ行ったのか不明の段階では護衛も必要となって来る、その為の人員にもなっているのだろう。

 元々帝都ではオークション参加時点で近衛騎士と治安部隊を含めて人員は三千人程度、今回の急襲次点ではそれ以外にも別の部隊がすでに合流してると思われ、全体が一万数千程度。

 少々叩いたとは言え、合流されればサパン方面へ向かう部隊を編成されかねないので叩く事にした。

 

 セレスと話し合い、俺が先行して歩兵部隊の無力化、撃ち漏らしをセレスが担当、歩兵部隊と荷馬車部隊の間に】ストーンウォール】で壁を作り足を止めさせ、左右から挟み込む形で倒す事にした。


 南街道に出て南下し三百mほどに接近した頃。


(前方から敵意持ち二名急速接近中)

(弓部隊、魔法部隊構え・・・一斉発射!)


 時空間魔法持ちが配置されてたらしい、俺と把握する範囲がかなり違う、もしかして通常はレベル×百mなのか? 調べる必要も無いか、全員殺す訳だし。

 だがそんな距離で当たる訳無いだろ【爆圧水蒸気砲】 降り注ぐ攻撃に向けて発動し、爆散させ軌道をずらす。

 真正面からぶつかれば当然相手は横の厚みが厚くなる、縦隊の隊列の状態のまま倒すのが最も効率が良かった。


 近接攻撃を受けない距離を保ったまま側面を走り抜ける、相手の側面から【ライトニングブラスト】を発動し続け歩兵部隊を通過した、ちなみに乗馬してる騎士は十名程度、役職が上の者達だけなのだろう。

 俺が通過した後ろには部隊一つが丸々死んだか、耐えきれた者も感電し麻痺してる状態だった、そちらの対処は後回しだ、道路の幅は約十mほど通常の厚さの倍で横に並べる【ストーンウォール】×五で完全に塞ぐ。

 後は荷馬車の御者も含めて護衛を【エアアロー】 で頭を狙い撃ちだ。


「セレス、物資は全部頂くとして、馬は如何しようか?」


「マグロも馬の世話は無理ですよね、乗れはしますが私も無理です、殺すのもしのびないですし、逃がしましょうか?」


「こっちでは馬は食べないのか? 俺の元の世界では食べてたんだがな」


 俺の元住んでたのは熊本県のド田舎、馬刺しは熊本発生なのかかなり有名だったからな、ただ、馬肉は下手に火を入れて加熱したら癖が出るんだよな、生だと癖は全然ないのに。


「移動で食糧不足に陥った際の緊急時や、魔物などの襲撃で負傷し、移動が困難になった場合などでしょうか、有用な動物なので肉の為に殺す事はありませんね」


「なら放すか、ここらの魔物は弱いし、運が良ければ良い飼い主に引き取られるだろ」


 と決めて馬を四十頭解放して二十台丸ごと頂いた。

 内訳は一台が予備の鋼鉄製ロングソードに鋼鉄製の槍、防具は盾と金属製だと嵩張る為か革製の鎧など、ウエスや砥石と言った武器防具のメンテナンス用品、一台は矢じりが鉄製の矢が大半で予備の弓に絃だ。

 十二台は日持ちのするハードビスケットや焼き固められたパンに干し肉、五台は酒類、残り一台が水だった、やけに少ないが一日程度の距離で町がある為にその都度補給するのか、魔法で補給するかだろう。


 後は【ストーンウォール】 で作り出した石を収納し、騎士の生き残りを含めて【ナパームフレイム】 で焼き払い、休息場所に向かった。


 テントを張り屋台で購入した品を食べて昼食を済ませた、後の事はセレスに任せて寝る事にしたのだ、昨夜も活動して完全に疲れが抜けきっておらず、お昼を食べた事で眠気が襲って来たのだ、そして夕刻。


(セレス、無事で何よりですわ)

(シャル、シェル、ティアも元気そうで良かった)

(あの程度どうって事無いのにゃ)

(ええ、こちらは順調でしたよセレスさん)

(マグロは寝てますのね、夕食時ですし起こしましょうか)

(マグロを起こすのにゃ)


「マグロ起きなさい、夕食ですわよ」


「ん~~! シャル?」


「そうですわよ」


「おー、そっちは大丈夫だったか?」


「積もる話は食後にしましょうか」


「それなら帝都の屋台で買っといたからそれを食べよう、飲み物もあるぞ」


「攻撃されてたのでは? と食後にでしたわね、食べましょうか」


 テーブルと椅子を出して適当な量を取り出す、足りなければ追加してと夕食を済ませた後。


「さて何方から話す?」


「それでは代表して私が話しますわ、サパンから帝都までの町は二つ、大した戦力は在りませんでしたわ。

 主に門入り口の詰め所と領主館に居る程度でしたわね、詰め所は吹き飛ばしましたが、領主館はメイドなど無関係の者も多くて建物ごとは止めましたわ、潜入して殲滅しましたわ、その領主館から金品を回収してメイド達に分け与えて解放致しました、二つ目の町も同じくですわね、それで少々遅かったのですわ」


「ふむふむ、目的としては最高の結果だな、それで怪我などは?」


「近寄られる前に瞬殺ですわよ、傷を負う事は無かったですわ、ティアだけは接近して鎧の原型が無いほどに殴ってましたが」


 また人間サンドバックをしたのか、案外近接戦闘に向いてるかもしれないな、後々武器を見繕って持たせるのも良いかもな。


「さすがティアだな・・・無事だったようで何よりだ、それで街道を通って騎士などはきていたか?」


「いえ、遭遇してませんわ」


「今度は俺の報告だな、戦闘はざっくばらんに話すぞ、別れた日の夜に外壁に穴を開け侵入、城門破壊と皇宮の玄関を破壊して少々戦闘後に西門へ、門の片側と兵士詰め所を破壊して脱出。

 次の日の翌朝に行商人に取り入り侵入、買い物して南と東の兵士詰め所を放火、宿を取って夜中にもう一度皇宮を襲撃、その際に宮廷魔術師を撃破。

 その後西門へ向かって、そこから脱出を演出して宿に戻り、一眠りして、翌朝南門から出る際に焼け残った詰め所を破壊、門を閉じられる前に外に脱出。

 門を外から破壊して、南街道からきてた二千人ほどの部隊と二十台の荷馬車の護衛を殲滅、馬は逃がして、物資は全て頂いた、そしてここにきて寝てたと」


「無茶するなと言ってた本人が物凄い無茶してますわね、これいかに?」


「だが帝都に騎士を釘づけにする作戦は完璧だろ?」


「マグロ、無茶と作戦成功の混同は良くないにゃ」


「無茶した感じじゃ無いんだよな、矢が降って来ても吹き飛ばす、魔法が飛んできたら同じく魔法をぶつけて相殺する、近寄られる前に瞬殺する、無茶の藩中に入るかな? と言っても全部で四千人以上は殺してるかも・・・」


「何だかマグロさんが言うと簡単に聞こえますね」


「三人が心配するほど無茶な行動はとってなかったかな」


「怪しいですわね」


「苦労した戦闘が無かったからなぁ、セレスが居てくれたから余裕だっだし、そうそう、城の宝物庫がすごく気になるんだよな、あまり攻めぬくと宝物持って逃げそうじゃない? 地下の脱出路とか存在してるかも知れないし」


「それは一理在りますわね」


「シャロは城の構造見て宝物庫の位置が大体で良いから判断可能か?」


「大抵は地下ですわね、地上部ですと壁を抜かれる心配がありますが、地下だと入口のみの警護で済みますわ」


「そうなると特定はし易いな、地下で尚且つ袋小路の突き当りに部屋が有る事、後は到着しても鍵が必要な場合に解除可能かどうか」


「最低でも結界魔法と魔法でロックはされてますわ」


「開けられない時は更に下に穴掘って下から侵入するか上から穴掘るか横から掘り進めるかだな」


「えらく力技ですわね」


「下手に鍵を開けようと頑張ってもその手の技術がないからな、それなら強引に力業で開ける方が時間は掛からないから。

 それはいいけどアダマンタイト製の何かが無いかなーとね、あれば量産したいと思わね?」


「それは魅力的な提案だにゃ」


「なら決定だな、今夜侵入して全部頂く、まぁ相手も命狙って持ち物全部奪おうとしてるんだ、同じ事の半分をお返しするさ、そうなるとティアは来ない方が安全か?」


「それは大丈夫にゃ、気配遮断使えるからにゃ、コソコソするのは得意にゃ」


「ティアが敵兵をボコボコにしてるのを見た感じ大丈夫か? それじゃ外壁突破までは俺が先頭、その後は先頭シャル、二番手セレス、三番手ティア、四番手シェル、後詰は俺で行動する、城内部に入った後は騎士がかなりの数居る場所だから後方の殲滅力も必要だしな、って事だ、何か変更点あるか?」


「特に無さそうですわ、後は臨機応変って所ですわね」


「では一時間後出発、自作MPポーション作ったから二十本ずつ配布する、各自準備よろしく」


 一時間後に出発し東門と南門の中間地点の外壁に穴を開けてシャルを先頭に戦闘を避け現在地は城門から一km地点。


「さすがに二日連日の夜襲が効いてるな、すごい厚みだ、城突入までの隊形を変えるぞ、先頭俺とシャルその後ろに中心をティア左右にセレスとシェルな、正面突破しながら穴をこじ開けつつ進むぞ、では走り込むぞ!」


「了解!」


 マグロは近寄られない事を念頭に【エアブラスト】で吹き飛ばし、他の3人は得意な魔法で各自殲滅して行く、止められる人材は騎士団には無くあっさりと皇宮内へ進入する。


「陣形を戻して最短距離で地下へ行くぞ、シャル先頭よろしく」


「では此方ですわ」


 後方より追いかけて来る敵には遠慮は無用【ストファボール】 で焼き払っていく、溶岩が残る為に後続部隊が躊躇するだろうと、追い難くする為だった、宝物庫前には衛兵が常駐し袋小路で在る事を予想してた為難なく到着した。


「後方から魔力量の多い敵が接近して来る、注意しろ」


 此方の空間把握から逃れるすべは持ち合わせていないらしい、結構な速度で接近してくるがその速度なら対処するのは容易い、【エアブラスト】 発動するも剣で切り裂かれ大上段から切り込まれるが、マグロは灼熱の魔槍で受け止め鍔迫り合いになる。

 弱いな、わざと力を抜いていの鍔迫り合いの状態にしてるがこれなら片手でも余裕だな、決行な人数を殺した結果がこれか。


『貴様がマグロか?』


「そうだが挨拶にしては物騒だな」


『ここまで来た客をもてなしてるのさ』


「あんた、近衛騎士団長か?」


『ああそうだ』


「なるほどな、良い武器を持ってる、俺の魔法を切り裂くとはな、だがあんたを倒せば城は落ちたも同然だな」


『最接近されれば不利な槍を使ってる割に、あっさりと懐に入られる様な腕で倒せるかな?』


「試してみるか?」

【エアブラスト】【ライトニングブラスト】【ファイアエクスプロージョン】


 鍔迫り合いの為切り裂く事も出来ずノックバックされ体制が崩れた所に電撃で麻痺を受け、そこに火の上級クラスの魔法と三連続で受けあっさりと決着がついた。


「武器だけ貰って行くか、宝物庫漁ってる時に他の騎士に来られても面倒だからな、厚さ1m通路全体を完全封鎖、MP適量【アイアンウォール】」


 これでいい、少々実力が有ろうと一mの厚さ、それも繋ぎ目無しの鉄の塊を除くのは相当な時間が掛かるだろ、その間に宝物を頂けば良い。

 戻りは地下通路を別に掘るって手もあるからな、正面突破が無理だとういわけでもないから殺しても構わないが。


「マグロは相変わらず規格外だにゃ」


「それで扉は空きそうか?」


「魔法の鍵が掛かってるわね、私にはお手上げだわ」


「やっぱり穴掘りか?」


「それしか手が無いわね」


「では失礼して」


【ストーンホール】を使いながら石や土を回収し宝物庫の壁を抜いた、部屋全体に結界が張られていたがそれすら【ストーンホール】で強引に突破して中を覗くと。

 あるわわるわ、武器に防具にアクセサリーに書物に希少そうな素材に白金貨と整理整頓しては部屋に入りきらないほどの山積みだ。


「ほう、これは壮観だな、全部一気に回収して後から精査するとして、戻りは、また強引に突破するか? その方が数は減らせるんだが」


「この場で精査は無理ですね、これは一端回収ですね、マグロの予定は殺意向けてくる者の殲滅でしょ、あの量の鉄を与える事にもなるし突破して数を減らしてはどうですか?」


「それもそうか、来る際に土と火の混合魔法を多用したから熱いからな、今度は俺とシャルの位置を入れ替えよう、倒しながら冷やせば一石二鳥だしな」


「暑いのは嫌いにゃ、任せるにゃ」


 それから宝物庫内を全部回収して通路を塞いていた鉄も回収、城を出るまで【アイスブラスト】 のみで切り開き、皇宮の玄関まで到達した。

 時間をたっぷりと掛けた、いや、掛かったからか帝都内の騎士と衛兵の全てが皇宮の敷地、その周囲を完全に覆っていた。


「完全に囲まれてるな、強行突破も良いが殲滅するか? 衛兵含めてほぼ全員が集まってるんだ、叩くには丁度良いともとれるしな」


『殲滅だと? この人数を相手にするとでも言うのか? さっさと諦めて命を差し出せ!』


「やっぱり命を狙って来るか、その方が対処し易くて簡単だがな」


「マグロ、四の五の言わずに殲滅にゃ、お仕置きは必要にゃ」


「お仕置き時点で死ぬんだから、反省する時間が無いけどな」


『弓部隊に魔法部隊、距離を詰められる前に一斉発射!』


「それじゃ当たらんよ【爆圧水蒸気砲】×六」


 即発射可能な状態で待機させていたのだろう、初級や中級の単体魔法、中級の範囲魔法、弓による射撃が所狭しと降り注いでくるが対処はシンプルだ。

 前面に等間隔で放つ、相手の攻撃に接触前に発動させ爆風の圧力で全てを逸らせる。


「今度は此方の番だな」


【エクスプロージョン】【ファイアエクスプロージョン】【アシッドエクスプロージョン】【サンダーストーム】


 ティア以外の魔法が得意な面々、戦争で使う戦略級範囲魔法、それを容赦なく叩き込むが流石に数が多い、ざっと七千から八千人ほどいるからな、その相手に消費MPが三百もある範囲魔法を連発してはMPが枯渇しかねない。

 ここは省エネな範囲魔法に切り替えて連発した方が楽だな。


『距離をとるな、一気に詰めて接近戦に持ち込め!』


「面倒だな、ちょっと連発してみるか」


【エアブラスト】の連発で相手を押し込み。

【爆圧水蒸気砲】【爆圧水蒸気砲】【爆圧水蒸気砲】【爆圧水蒸気砲】【爆圧水蒸気砲】【爆圧水蒸気砲】【爆圧水蒸気砲】【爆圧水蒸気砲】【爆圧水蒸気砲】【爆圧水蒸気砲】【爆圧水蒸気砲】【爆圧水蒸気砲】と連続に叩き込み、声が聞こえなくなるまで叩き込んだ。


 仲間達は耳を塞ぎ、しゃがみ込んでる中連発した、爆音と爆風が連続で押し寄せる中絶叫が木霊し、魔法の影響が消えた時には人の声は聞えなくなっていた。


「さて、生き残ってるのは居るかね?」


「無茶し過ぎよマグロさん、これは皇帝が逃げ出すでしょうね、たった五人がこれほどの惨状を生んだとなれば数を決め込んでも殺せないと理解するでしょうし。

 それに、皇帝が命じた事がわかり切ってる中、最終目標は自分だと知ってますしね」


 うーん、皇帝がここに居る事は分かってる、そんな中逃げられでもしたらまたしつこく追っ手を送ってくる可能性が高い訳だよな、いっそ殺しに行くか?

 その方が手間かからないし。


「飛ばし過ぎて予定が破綻か・・・いっそ蹴りもつけるか?」


「皇帝はマグロが死神だと感じてるでしょうね」


「怯えて暮らすのも酷か、ならいっそ終わらせるか、俺が先頭、次がシェル、その後ろにティア、その左右にシャルとセレス。

 皇帝らしき人物は観念したのか謁見の間だろうな、多数の人が入り口との間に左右に分かれて並んでる、場内の敵の位置も確認した事だし行くぞ!」


 一階は抵抗が有ったが二階以降は皆無だった、三階の通路を歩き目的の部屋が近付いた時、その扉を守る人物が見知った相手だった。


「ほう、珍しい人物に会うものだな、ここの番兵してるって事は結構な立場だったのだな」


「そうでも無いさ、皇帝がお待ちだ」


「待たせた覚えは無いがな、首を差し出す準備が整ったのか?」


「それは皇帝陛下本人がお話しなさる、此方だ」


 扉を開け放ち先導する。


「皇帝陛下、怪盗=マグロ殿がお見えになりました」


 謁見の間、紛う事無く皇帝と謁見する為だけに用意された部屋だ、横幅七m、奥行き二十mほど、皇帝の座する位置は数段高い。

 左右に居並ぶ騎士達には目もくれず進みその階段前まで行きその場に立ち止まる、当然頭も下げず自然な体勢だ、普通ならば横着な態度だろうが相手は敵の大将、殺すつもりでいる為当然とも言えた。


「初めましてとでも言えば良いのか? 俺がマグロだ、お前が殺そうと軍を差し向けた相手だ、首を差し出す準備は整ったか?」


『貴様、皇帝陛下に対し無礼であろう!』


 やっぱいるよなこういう奴、何方が無礼なのかすら理解せず地位にばかり目を向け無能な事をさらけ出す。


「お前、馬鹿だろ、命を狙って来る奴に対して礼節持って相対する訳ないだろ、それと殺気をそれ以上向けたらミンチにするぞ」


「双方やめい! マグロ、よく来たな、余が命じて其方の命と所持品を狙ったのだ、全ては余に責任が有る」


「それで? 今更謝罪されようと受けるつもりは無いぞ、馬車に乗ってる時に襲撃しただろ、その際に忠告したはずだぞ、同じ事をした場合には俺のPTと戦争だと、理解した上で百名で待ち伏せしたんだろ」


「確かにそうだ、余が愚かなばかりに皆には多大なる迷惑を掛けた、余の首で矛を収めて貰えぬか」


「とことん喧嘩売るのが上手だな、確かにお前は罪を認めたが、謝罪した相手は部下のみか、なぜ俺への謝罪が無いんだろうな? それにだ、お前の首程度で矛を収めろだと! 戯言はそれ位にしとけよ。

 戦争で負けた場合の扱いは分かってるだろ、皇帝の座を差し出せ、それとあんたの家族すべてと血縁者全ての首を差し出せ、俺のPTを狙うどころか、俺の世話になった相手まで拷問したんだ、あまりふざけた事言ってると城ごと吹き飛ばすぞ!」


『貴様ー、もう我慢ならん! 遣ってしまえ!』


【エアブラスト】×四


 両側に並ぶ者達を吹き飛ばし、残りはセレルとシェルに任せた。


「それで返事はどうした? 国対国で負けた場合を考えろよ、国民は蹂躙され、有力商人の資産は押収され、国の根幹にかかわる者は皆殺しにされた上で資産は押収され、国土は奪われる。

 国民は蹂躙されず、資産も押収せず、激甘な対応で許してやると言ってるんだ、それでも応じられませんと言ったら城ごと潰す、さっさと決めろ!」


『・・・・・・・』


「そうか、決断できない様なら俺が判決出してやる、感謝するんだな。

 交渉は決裂だ、帰るぞ」


 遺体の転がる城門から五百mほど南下した場所にて自作ポーション六本を飲み干し城を睨みつけた。


「さて決着付けるか、愚かな奴がトップだと下が哀れだな」


「国との戦争、個人との戦争、この点で考えが纏まらなかったのかしらね」


「まぁ良いさ、終わった事だ、後は一発放つだけで全て終わる、皆、建物の陰に隠れてくれ、ここまで爆風が吹き荒れると思うから、さて、気合い入れて行くか!」


 吹き飛ばすより焼き払う方が周りに影響は少ないか、それに焼いた方が遺体処理の手間も省けるしな。


「常時の威力から一気に上昇、MP六千つぎ込め!【ファイアエクスプロージョン】」


 発動した瞬間、PTのメンバーと合流し伏せて頭を下げると、爆音と爆風が駆け抜け、現帝国が終焉した瞬間だった。

 威力がありすぎて周囲の屋敷も巻き込んだが気にしない、城の側なら有力貴族の家だろうからな。

 サパンに戻る前に帝都の冒険者ギルドへ向かった。


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