27:帝都襲撃
お昼近い頃。
「ふぁああああ、良く寝たな、ちょっと怠いけどそろそろ起きないとな」
周りを見るとすでに4人共に起きているようだ、と言ってもセレスは俺に抱き着かれて動けないのだが。
「おはようには遅いけど、もう起きてたんだな」
「マグロが遅いだけにゃ」
「ん? 泳ぐのが遅いって?」
「何をボケてるにゃ?」
「ごめん、冗談だよそんな顔するなよ、可愛いけどさ」
チュッと軽くキスをする。
「さて、下りて情報交換もしないとな」
今後の事を少し詰めておかないとな、ギルドの立ち位置をはっきりさせないと、帝国が冒険者ギルドに戦争を仕掛けた訳だし。
皆でぞろぞろ下りて行くと一階で皆寛いでいた。
「改めてありがとう、マグロとPTの皆さん」
「きっかけ作ったのは俺だしな、当然だよ。
それは良いんだが1点腑に落ちなくてな、皇帝に命令されたからってあそこまで残忍になれるものか? 敵意剥き出しだしな」
「共感してるのか、嘘を吹き込まれてるのか、元々が皇帝の命令だからと開き直って乗ってるのか、って所かしら」
「予想しか出来ない時点で考えるだけ無駄な訳ね、ツガットさん、対帝国の対応はギルドとしてどういった事をする?」
「冒険者に緊急として強制クエストを発令して帝国と全面戦争だ! って事にはならんよ。
ただ、本来ならスタンピートなどの大暴走が発生したりした場合等の緊急事態の場合は、帝国との協議で強制依頼を出すんだが、今回の件で受ける事は無くなったな。
そのスタンピートに対してのクエストそのものが出ない、その地域にいる冒険者に対して退避勧告出すのみだ、無論、職員総出で脱出する。
地元だから戦いたいって者も居るだろうが、後は各自の判断のみで、討伐参加の報酬も出ない、可能なのは素材買取だけだな」
「マグロが手を下さずとも潰れるんじゃないの?」
「ダンジョンのある地域から強制依頼でも出して退避させれば、地上部の魔物は増えるわ勝手にスタンピートは発生するわ、で時間が掛かるが潰れるだろうな」
「それはそれで自業自得なんだがな、マグロの判断はどうだ?」
「一部の馬鹿が原因でその地域に住む者には一切責任が無い、とばっちり受けるにしても限度があるからな。
それに、放置して潰れられても今回の件に幕を下ろしたとはとてもじゃないが思えない。
そう考えると行動は自ずから決まってるだろ、俺たちで決着をつけるさ」
「それを聞いて安心したぞマグロ、こちらは今回の件を総纏めにして各国の冒険者ギルドと連携して情報を拡散する。
帝国にだけ冒険者ギルドが無いってのは避けたいからな、話し合いの場を設ける方向も付け加えておく、と言っても、水面下では発表直前まで詰めるが、発表はマグロが帝国を落としてからだな。
本当に皇帝を排除できるんだろうな? こっちはそのつもりで動くんだが」
「シャル、直ぐに龍化して帝都の城を吹き飛ばしてくれって頼んだら、どの位の時間で完了する?」
「行って戻って、2時間あれば報告まで完了しますわ」
「って事らしいぞ、それはしないが、これで納得できるか?」
「ちょっと待て、そのお嬢さんは誰だ? マグロと同じく翼があるから龍族なのは分かったが」
「そうだった、昨日は時間が無くて自己紹介もまだだったな、ユリウス陛下の孫娘だ」
「シャル=ヴァンテイユですわ、マグロの婚約者と言ったところですわね」
他の面々とも前回まともな挨拶をしてなかった事から挨拶を交わした。
「そうそう、陛下が言ってたよ、過剰戦力だって」
「そう聞くと、絶対に敵に回してはいけない相手を敵に回したと言う事か」
現時点でこの町の騎士は0人だ、その点は良いんだが、周りにモンスターがいる状態だからな、少し手助けしとくか、それと昨日の件だな。
「昨日はやり過ぎてしまってな、謝罪も含めて、慰謝料と建て替え費用と完成までの生活費を一軒一軒回って渡しておいたよ」
「死人が出てないだろうな?」
「大丈夫だ、かすり傷程度の人が居たから治療もして多めに渡しておいたから、新築に建て替えできるって喜んでたよ」
「マグロさんが、慰謝料と生活費に一人当たり金貨二百枚と家一軒に対して白金貨二枚お支払いしてましたから」
「なるほど、破格だな、逆に壊してくれてありがとうと言われそうだな」
「それで話を変えるが、現時点でこの町の衛兵が0だ、まぁ俺たちが排除したからだが、各門に冒険者を配置して魔物の侵入を防いでくれ、資金はこれで足りるかな?」
と金貨十袋取り出して台の上に置いた、金貨一万枚だ。
「マグロがクエスト発注して雇う形にするのか?」
「領主の役割を冒険者ギルドがしても税金なんて取れないだろ、だが、冒険者ギルドが発注してたら冒険者ギルドが破産するさ。
ま、俺たちが皇帝の首を取って新たな領主やら防衛体制が整うまでは俺が負担するって事にしておこう、馬鹿な領主が来たらまた挿げ替えるけどな、取れなかった期間の税金を要求したら、だな」
「すまんな、一時的にでも負担してくれるのはありがたい、和解のテーブルについた際にでも賠償金と同じく請求するさ」
「帝都のギルドマスターへの対応はどうする? 今から向かうから俺が直接出向くか?」
「情報網の構築で連絡するからマグロからは何も言わなくて良いぞ、だが、何か伝える事はあるか?」
「今回の件を知った冒険者が暴発しないように引き締めろって伝えてくれればいい、下手に関わられて死なれても困るからな」
「わかった、伝えておこう」
「それじゃ予定の確認だ、俺は一人で先行して一気に王都を襲って敵を引き付ける、皆はシャルをリーダーに帝都までに通る町を解放してくれ、敵対してる者が居なければ素通りで良いからな。
敵対してる場合のみテレポーターは全部潰してくれ、それで帝都近郊で合流しよう、野営道具とかを配布するぞ」
「ダメですよマグロさん、一人で良いので誰か連れて行って下さい」
「そうにゃ、一人では危ないのにゃ」
「そうだな、ん~~、それじゃセレス、ついて来てくれるか?」
「勿論です、マグロを支えますよ」
「良いにゃぁ、ついて行きたかったにゃ、ティアに乗り換えないかにゃ?」
「すまんなティア、帝都近郊で合流しよう。
スラちゃん、一体出て来てくれ」
「マグロさま、ごようですか?」
「この建物を保護しててくれないか、俺が戻るまで頼むよ」
こうしてスラちゃん一体を残してミスリルの塊三十個の入ったマジックバッグをキャロルに渡しておいた。
テントや調理器具に食糧と寝具を渡し終え食後三十分して出発する。
第一町の手前五km地点。
互いに健闘しあい、建物の破壊する場合は意見を出し合いシャルが決定権を持つ事、民間人への攻撃禁止、テレポーターの停止などを決めて散開した。
現在の時刻は夕刻でマグロ達は帝都が空間把握内に入ると、南回りで帝都が探知外に出ない程度に回り込み、帝都から南西方向5km地点の山中にいた。
帝都外からの攻撃のみを主体にする予定だったが、近衛騎士以外の部隊と思われる人数が集結してるのが判った為、帝都外へ向かわれない様に内部で活動する事に予定を変更した。
「今回も夜間に侵入しますか?」
「そうだな、サパン方面から目を逸らさせる為に城を急襲しようと思ってる。
今日は早くから活動して中を食い荒らす、そしてサパンとは逆方向に逃げたと思わせるために西門から脱出だな」
「それなら城を急襲するまで戦闘を回避した方が良いですね、防備を固められる前に到達して攻撃を加える方が脱出し易いですし」
「そうだな、セレスの提案が最善だろう」
今回は進入路が丸分かりになる様にかなり大きめの穴を開ける予定だった、それと出来れば門も破壊しておきたかった、警備に多くの人員を割かせ少しでも疲弊させる為だ。
「さて、そろそろ食後二時間位か、魔力量が特に高い3名は回避したいな、それでは行くか」
馬車で三日程度の距離を四時間程度で走れるマグロ達にとって、五km程度は十分も掛からない、都市外壁上からの監視をかいくぐり、無音で壁に穴を開け難なく潜入に成功する。
前回と違い巡回の穴が空いた事を知られると、城に到着するまでに発覚する恐れがある為に、全て避ける方向で移動する。
時には路地裏や民家の庭を抜け屋根の上を走ったりと、一時間ほどで視認可能な地点に到達した。
直線距離で1kmほどか。
「セレス、もっと距離を詰めて、俺は建物主体で、ある程度破壊してから対人戦に移行するから、その間任せるぞ」
「任せて下さい」
まだ距離が有る為、また他人の敷地を突破し、死角から城壁門まで約二百m、監視員は四名、首を狙い【エアアロー】×四、発射と同時に走り込み、倒れて音が出る前に回収する。
この場所から城の玄関まで約五百m、此方が脅威だと知らしめなければ、通常時の五倍【エアブラスト】で城壁門を吹き飛ばし、通常時の五倍【エアブラスト】で城の玄関を吹き飛ばし。
城の中へ放り込むべく通常時の五倍【爆圧水蒸気砲】 これで一階内部の各部屋の扉を吹き飛ばすと、追加で 【ファイアエクスプロージョン】を撃ち込み火災を発生させた、城門破壊から十秒弱の行為だった。
セレスはその間、弓での攻撃の合間に魔法を混ぜて対応していた。
(敵の攻撃だ! 魔法部隊は消火活動、近接部隊は城壁門まで行けー! 準備出来た者から行動しろ!)
マグロも対人戦に参加し、防具を流用されない様に【ストファボール】で対応していたが、魔力量の多い者が近付きつつあった為城門前での戦闘を中止した。
「セレス、此処での戦闘は終了だ、西門まで行きそこから脱出する、かなりの騎士がいるから注意するんだぞ」
「住民を巻き込まないように対単体のみで対応しますね」
西門潰して帰還するか、そこから門の手前五百m地点まで大道りを進み【エアアロー】で瞬殺して行く、セレスは【アシッドランス】のみだ、ある程度の数を減らしたいがためにわざと普通に歩いて行く。
都市外壁門へ、通常時の10倍【エアブラスト】を撃ち込んだがビクともしなかった、だがこの音で巡回してた騎士が集まり始めた。
【エアアロー】で倒しながら考える、脇の石材を抜く方が簡単じゃないかと、五百mの距離をつめ、一気に削る事にした、横幅一cm奥へ五m縦十m魔力は必要なだけつぎ込め!【ストーンホール】
少し繋がってるのか変化は無かった、兵士詰め所の屋根に飛び上がり通常時の十倍、門の上部【エアブラスト】 これがきっかけで轟音をたてて外へ向け倒れる。
脱出前に【ファイアエクスプロージョン】×二で兵士詰め所を焼き払い。
一気に外へ脱出し、おまけとばかりに外壁内部へ、時間強化十倍【ナパームフレイム】 追跡させない為だ。
戦闘は終了し帝都東へ五km南へ二km地点へ行き、テントを設置する。
「成功しましたね、マグロ」
「これで少しは西方面に注意が向くだろうな、軽く食事をして寝ようか」
スラちゃん二匹にもミスリルを与えて食事を済ませ、スラちゃんに防備を任せて眠るのだった。
これより西門は常時五十名近い人数が詰める事になった。
朝食後に全て収納し、帝都の南部から攻めて来てると誤認させるべく帝都外壁から五km視点を目指すと更に南部から商人達の交易隊か行商か? が向かって来ていた為、外装を深く被り追い付かれる形で接触し、料金を支払う事で乗せて貰う事になった。
護衛と言う名目で、無論その分口止め料も忘れない、商人との会話はセレスに任せる。
「近頃の景気はどうですか?」
「帝都への持ち込み分の品はよく売れ、食料や武器防具の搬入が目立ちますな、どうやら軍部を強化してるようで、嬢ちゃん、オークションのあった翌日に大量の死体が発見されたのしってるかい?」
「宿屋の一件でしたら耳にしました」
「それの事だ、あれからきな臭くなってきてな、少し帝都への行商は取りやめて南部のみにしようと思っとる、今回が最後だな」
「それなら行かない方が良いですかね」
「嬢ちゃん達、事情があるんだろ? 荷物に隠れててもいいよ」
西門付近はすごい人数だな、門が壊れて機能してないから当たり前とも思うけどな。
「それは良いですね、ぜひお願いします」
こうして難なく入り込んだ。
「お世話になりました、冒険者ギルドに用事が有るので失礼しますね」
「嬢ちゃん達も気をつけてな」
冒険者ギルド内に入ってテーブルに着き、ハーブティーを注文し冒険者の会話を盗み聴く。
(サパンが皇帝の軍に攻められたらしい)
(おいおい噂でもそんな事聞かれたら事だぞ)
(そうだ、何処に耳があるか分からないんだぞ)
(セレス、魔法陣の素材が買えるか聞いて来るよ、この場で情報を集めててくれ)
(わかったわ、マグロ)
「すみません、此方では素材の販売もしてますか?」
「何をお探しでしょうか?」
「トレントの樹液ってありますか?」
「魔道具店の方ですか?」
「ええ、店長に買って来いと頼まれたもので」
「今月の購入量上限一杯まで購入されていきますか?」
「はい、何度も行かせると製作時間が短くなると愚痴を言ってまして、上限一杯が此方の希望なのですが」
「では、金貨二十枚になります」
金貨二十枚取り出し。
「ではこれを」
「確かに、ではこれが販売証明書です、素材買取場の担当に見せて下さい」
「はい、ありがとうございました」
馬鹿な担当で良かったな、何処の店舗の人間かも確認しないなんてな、品を五樽受け取りセレスと魔道具店に向かう。
あれ以降、情報を集めていたが先ほどの件と同じく確定してる情報は流れていない事が判明した。
噂の域を出ていないって事だった。
「いらっしゃいませ、どの様な品をお探しでしょうか?」
「魔石大を売ってほしい、在庫はありますか? なかなか此方までは買いに来れませんので、大量に購入したいのですが」
「はぁ、店長お客様です~」
「いらっしゃいませ、どの様な品をお探しで?」
「魔石大を大量に購入したいのですが」
「うーん、うちも製作に必要だからな、此方の指定数を上限で良いかね?」
「無理を言ってすみません、それでお願いします」
「それでは五十個を上限にしよう、単価金貨十枚だ」
金貨袋5袋取り出し
「五十個で、金貨五百枚です、ご確認下さい」
「・・・確かに、毎度ありがとうございます、またのご来店をお待ちします」
これで揃ったな、後は配合確認して製作スキルでと、一歩進んだな、シャルチームも似た様な食糧ばかりで飽きるだろうから露店で大量に買っておくか、こうして五人で十日分ほどの食料と飲み物を買い込み南門の兵士詰め所の後方二百m程度に陣取る。
「昼間から襲撃するんですか?」
「テレポーターの機能だけは潰しておこうと思うんだが、どうやって狙うかな・・・発射と同時に離脱しよう」
上方に打ち出し詰め所の中心部に着弾、通常威力の十倍、風魔法で包み込み温度低下を防ぐ【ストファボール】
発射と同時にその場から離脱し、帝都の中心部に到達した頃着弾する、少々粘度は有るが上空からの着弾の為に辺りに飛び散り一気に燃え広がる。
(門を閉めろ、一人も外へ出すな、火を消せ!、周囲に術者が居るはずだ、探し出せ!)とでも言ってる頃だろうな。
成功だな、これであの付近は軍部の人間以外は逃げ出す、だが人目の付きやすい場所で暴れるのもな、東門でも同じことをしておくか、早くしないと入口を全て固められるからな、と実行に移し成功した。
城門と外壁門がすごい事になってきたな、町中も兵士が巡回始めたようだし、宮廷魔術師らしき魔力量の多いのは相変わらず城の中か、無理に出ずに宿でも取って夜中に暴れるか、値段の高い貴族用の宿に泊まる事にした。
「いらっしゃいませ、お泊りですか?」
「一泊お願いする、それと夕食と朝食もな、風呂はあるか?」
「申し訳ありませんがお風呂は御座いません、必要であれば桶でお湯をお運び致しますが」
「それなら必要ない、料金はいくらだ?」
「金貨1枚になります」
金貨二枚取り出して渡す。
「残りはチップだ取っておけ、世話になるぞ」
「有難うございます、ごゆっくりお寛ぎ下さい」
これで変な客はシャットアウトしてくれるだろう、後は夜に紛れて。
「しかし、部屋が宿屋と思えない位広いな、MPポーションでも作って仮眠しておくか」
前回も二人だったが今回はお互いの役割を変えておこなった、これで全体の流れを確認できるからな、互いの役割も魔力を込める工程も知っていたため早く済んだ、二時間三十分ほどで百本完成だ。
セレスと夕食を食べに食堂へと向かう。
(皇宮の入り口がボロボロなのを理由知ってるか?)
(いや、理由は知らないが実行犯はすでに逃亡してるそうだ、それも西の外壁門を破壊してだ、今軍部は血眼になって探してるよ)
(なるほどな、今日は今日で東門と南門の兵士詰め所が襲われて犯人が逃亡中らしい)
(皇宮を狙った奴がしたのか?)
(それもわかって無いらしいな、だが西門から逃走してるから別じゃないか?)
(だが西門破壊するような相手だぞ、騎士団で相手できるのか?)
(それは話さない方が良いぞ、今刺激したら俺たちも危ないからな)
3時間ほど時空間魔法書でも見て活動開始と行きますかな。
これで分かった事はテレポーター設置には専用の塗料のみならず魔石大を半分に割り、中心部に設置する事、これで互いに引き合い連結させる事が出来る、これが二点間の移動の正体だった、三つ四つと連結出来ない訳だ。
そろそろ時間か、活動開始だ!
「セレスは残れ、男女二人組で襲撃しては疑われる要素を相手に与えるからな」
「それなら私が」
「セレスでは敵の正確な位置が分からないだろ、襲撃するなら俺の方が安全に遂行できる、その代り、宿の者が来たら対応は頼むぞ」
「気をつけて下さいね、マグロ」
如何にも寝てますを再現するのに毛布を丸めて布団を被せて準備完了、三階の部屋だがどうとでもなる、魔力を遮断し外へ飛び下り、裏手を通り、死角から城門を見ると篝火を焚き二十名ほどが警戒している。
魔力遮断解除、意識を刈り取れ【ライトニングブラスト】×四、爆音が鳴り響き発動後一気に接近する、さすが近衛騎士、装備が良い為にライトニングブラスト一発分では死なないらしい。
(敵襲だ、何度も逃げられるような失態は許さんぞ、さっさと行け!)
壮観だな、なかなかな焼け焦げで見事な壊れ具合、もっと穴を広げてやるよ、二階の壁沿いの広範囲にばら撒く【爆圧水蒸気砲】×5、爆音が鳴り響き近衛騎士が接近して来る、それ目がけ【ファイアエクスプロージョン】
『うがぁあああ』
『ダメだ俺たちじゃ近寄れない、魔法部隊を連れて来い!』
『四の五の言っとらんと、さっさと殺せ!』
「命令ばかりしてないでお前が来い腰抜け! 【ファイアエクスプロージョン】」
『我が体に流れし魔力よその力を具現化し焼き尽くせ』
まずい、魔力量の大きいのがきていたか、こっちも重ねてぶつけ合うしかないか、魔力の流れを感知、先に発動させて空中にあるうちに接触、爆発させる。
『エクスプロージョン』【ファイアエクスプロージョン】爆音が重なり合い耳を劈く、十秒も掛からず収まった頃。
『貴様が不敬にも皇宮を攻撃した輩だな』
「そうだ、俺はマグロ、警告はしたぞ、そしてその宣言の通り俺のPTと戦争状態って事だ」
「何を馬鹿な事を、個人と戦争などするはずあるまい、数で押しつぶし終わりよ」
「その数で押しつぶせない無能集団がお前たちな訳だ、お前の無能な主は城の惨状を見て何か言ってたか?」
『貴様、陛下を侮辱するな!』
「無能以外に掛ける言葉は無いだろ、無実の奴の命を狙って軍を動かす愚かな奴だ」
『我が体に・・・
「何度も使わせると思てるのか?【エアブラスト】」
『グハァツ』
『宮廷魔術師殿をお助けしろ!』
「そんな事させんよ【ファイアエクスプローション】」
『ウガアアアア』
少々城門から離れて、時間延長十倍範囲十倍【ナパームフレイム】で城門付近を覆いつくす、これで麻痺してる者達も巻き込んだ。
「それじゃあな、後は仲良く焼けてくれ」
『さっさと火を消せ、延焼するぞ!』
さっさと離脱し西門へ向かう、五人ほどの集団で警戒に当たっていた為【エアブラスト】で吹き飛ばしながら向かう。
到着した門には百人規模の騎士が詰めていた、【ファイアエクスプロージョン】×六。
『ウギャァアアア』
外へ逃げたと偽装し、魔力を遮断して屋根などを伝い宿に戻って寝るのだった。
翌朝、敵意持ちの人が宿屋に来ているのがわかると、普段着にマントを羽織一階へ降りた。
『そこの人、昨夜は何をしていたか話してくれ』
「如何かしたのですか騎士様」
『そのお二人は宿屋に来られて以来外出されておりません、無関係です』
「先ほど起きたばかりで何の事かわからないのですが、如何かされたのですか?」
『関係ないのであれば話す事は無い』
「はぁ、わかりました騎士様」
(昨晩皇宮が襲われたそうなのです)
(なるほど、物騒な話ですね)
今日か明日辺りにシャル達も来る頃だろう、外からの襲撃に切り替えるか。
(マグロ、そろそろ外で待たないと合流が難しいのでは?)
(今それを考えてたんだ、南門から出て南東の位置で待つかな、門で少々暴れるから臨機応変にな)
朝食後、宿屋を後にし南門へ向かうと、五十人規模の騎士が出入りする人物の検査を行っていた。
「そこの者止まれ、身分証を呈示しろ、そして何用で訪れたのか言え」
「身分証は御座いません、魔道具店で働いておりまして素材の買い付けを頼まれたのです、これが証明です」
と販売証明書を提示する。
『本当の様だな、通って良し』
門を潜り抜ける際に中途半端に燃え残ってる兵士詰め所を吹き飛ばす【エアブラスト】
『襲撃だ、門を閉じ術者を探せ!』
混乱を極め、どさくさに紛れて帝都外に脱出した。
門が閉じられ注意が内側に向かう中、外への警戒は無い、外装を深々と着こみ門を支える石壁に切れ込みを入れるべく傍に寄る、横幅一cm奥へ五m縦十m魔力は必要なだけつぎ込め!【ストーンホール】反対側も同じく【ストーンホール】
門から五百mほど離れ、門が倒れても一般人が巻き込まれない状況まで待ち、威力十倍、門の上部に【エアブラスト】×二、ミシミシ音を立て傾いていく。
(門から離れろ! 巻き込まれるぞ!)
完全に倒れ埃で視界が塞がれる中。
(状況を確認しろ! 負傷者を運び出せ!)
【ファイアエクスプロージョン】×二
『うがぁあああ』
「俺は此処だ、中を探してもおらんぞ!」
(奴は外だ、奴を殺せ!)
これで南部が警戒されるはずだな、一昨日の野営地へ行くか。




