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26:サパン解放

 到着まで一睡もせず移動したのだ、明るくて寝るには不向きだが仕方ないと部屋を閉め切りなるべく暗くして就寝、夕方に目覚めて全員夕食を済ませて集合した。


「現状確認だ、空間把握で常時確認してるが、ギルド職員はギルドに幽閉されてる様だ、取り調べの為か五名は各部屋にて殺意のある者二人と同室してる、シャルは時空間魔法を取得していたよね?」


「ええ、取得してますわよ」


「地形や構造物の間取りとかわかるか?」


「ええ、わかりますわよ」


「では敵対心むき出しの連中の判断は? 俺の場合は殺意含めて敵対心を持てばその者は赤く表示される、シャルはどんなだ?」


「少し違いますわね、敵対心ですと黄色、殺意だと一段階上がり赤色ですわ」


「俺よりより細かに判断可能なんだな、それならもう一方のリーダーを頼むよ」


「別れて行動するつもりかにゃ?」


「途中までは一緒に行動する、そこは作戦を話してからだな、全員魔力を遮断し、極力漏れないようにな。

 チーム分けだが俺とシェル、シャルはセレスとティアと行動するように、それとギルド地下部の制圧はシャルのチームで頼む。

 まず闇に紛れて町の外壁へ、場所は東門と南門の中間地点の外壁に穴を通して潜入する、そこは切れ目のない場所を見つけて崩れないようにする。

 最短距離で敵を始末しつつ冒険者ギルドへ、到達したら二手に分かれ地下の制圧と地上部の制圧と別れる、完了したらティアはギルドで待機だ、捕まってた人の治療を頼む。

 俺のチームは入口に併設されている東南西の兵士詰め所を制圧する、主要道路を通過するからその付近の排除も俺たちのチームの役割な。

 シャルのチームは地上で警戒してる連中の排除だ、数は少ないだろうが、位置が離れてるから少々時間が掛かるだろう。

 それとギルドへ接近されないように気をつけてくれ、各チームは完了した後、ギルドに集合、その後に共同で領主館を制圧する、質問は?」


「チーム分けと制圧ヶ所を分けた理由を聞いても?」


「チームは簡単だな、俺とシャルが分かれるのは敵の位置把握と地理や建物の構造把握の為、それとシャルの属性は火魔法が主体、それだとギルド上部を任せては火事になりかねない、地下の壁は石材で補強されているから溶けはしても即燃える事はないだろう。

 そしてセレス、弓では建物内の、それも小部屋の制圧には不向きだ、地上部掃討の際には射線確保がやり易いから詰め所襲撃には回せない、それでシャルとセレスを組ませる。

 ティアがシャルのチームに入るのは地下に捕らわれてる者が多い、拷問を受けてる可能性があるからそちらに行ってもらう、他に質問は?」


「直ぐ開始にゃ?」


「完全に暗くなって二時間後位と考えてるから4時間後あたりかな」


「マグロさんは壁に穴を開けられるの?」


「した事は無いが土魔法で開けられると思う、この家を収納する時に切ったからその応用でな」


「ダメでしたら私が開けます、土魔法はあまり得意ではありませんけどね、無理なら水魔法で切りますから」


「そう言えば、前世で正確には石ではないが、道に敷き詰められた似たようなのを水で切ってたな、俺が無理だった場合は頼むよ」


 水の圧力を上げて噴射、発射直後から水圧が下がるから、距離が長くなればただの水鉄砲になるからな、風魔法で表面をコーティングして圧力低下を防げば長距離掃討も可能か? 

 水の圧力上昇は簡単だろうけど、風魔法でのコーティングが肝だな、いかに薄くできるかだな、後日試すか。


「任せて下さい!」


「町にはテレポーターがあるのにゃ、放置すると増援が来るのにゃ、如何するのにゃ?」


「ああ、そうだったな、あれってどの位置にあるんだ? 使った事が無いから知らないんだよな」


「各門にある詰め所にあります、身元不明な者に使わせない為の処置ですね」


「まぁ、最悪、詰め所ごと吹き飛ばせばいいか、巻き込んで使用不可能になるだろ」


「マグロさんは過激ですね」


「そこは、確実性を上げないとな、そうだ、外壁突破後の冒険者ギルドに到着までだが、俺とシャルで始末する、位置が分かるから適任だからな、他には何かあるか?」


「無いです」「たぶん以上かにゃ」「ありませんわ」「ありません」


「では各自寝るなり、なんなりしててくれ」


「マグロはなにするの?」


「MPポーションを作成しようかなーと」


「へー、私も手伝うわ」


「ならお願いするよ」


 終わったら回収するからと割り切り、食堂に機材一式と聖水一樽と魔力草百本に容器百本入りの箱を取り出す、製作スキル取得用スクロールをセレスの分も取り出して覚えた。

 最初は百本で良いだろう、瓶詰めが面倒だからな。

 事前に読んでて助かったな、単純すぎて読まずに出来そうだけど、聖水使用と魔力注ぎ込みは書いてないからオリジナルだけどな。


「セレスは聖水を十ℓ計量してこの容器に頼む、それと魔力を飽和するまで注ぎ込んでくれ」


「わかりました」


 製作スキルは全員に取得させる予定だが、とりあえず覚えさせないのはシャロンだけだな、経過を見ると決めてるからな。

 俺は魔力草百本同時に抽出スキルを掛けて薬液を千本仕込める専用容器に入れ、魔力を注ぎ込み飽和させる。


「こっちの準備は終わったよ、セレスの方は終わった?」


「随分前に終わり次の段階へ進めます」


「それじゃ混ぜ合わせるか」


 抽出液の容器へ柄杓で入れながら混ぜて行くと、薄っすらと光るが直ぐに収まる、全部投入しロートを使い容器に移し入れて完了した。


 鑑定

 最上級MPポーション:回復量千P、呪い解呪


「買ってきた品も鑑定しとくか」


 鑑定

 上級MPポーション:回復量五百P


「差がすごいな、今後は作ろう」


「手間が掛かる分の性能はありますね」


「買って来たポーションでMPを回復させておけ、さて、そろそろ時間か、各自二十本ずつ配布した後出撃する!」


 完全武装後に全て収納し、現在位置は穴を開ける予定の壁の前。


(俺が掘っていくから順次通過、先頭俺とシャル、中心にティア、後方にセレスとシェル、入った後ギルド入口まで極力魔法禁止、首を狙って声を出させない様注意する事、排除は敵の位置が分かる俺とシャルが行う、では作戦開始)


 壁が石材ならばと【ストーンホール】、切り取りながら収納し通過する。

 監視する敵兵は一気に接近し口を塞いで首を切り裂く、以前サパンで購入した鋼鉄製のダガーだ、死体は回収した、そう進むことでギルド前に到着した。


(私たちの行動如何では犠牲者が出ますわ、気合い入れていきますわよ)

(任せるのにゃ、ボッコボコにするのにゃ)


 そうなんだよ、俺とシャルで始末すると言ってたのに、俺が気がつかないうちに敵に接近して、相手が倒れない様に、全方位から殴り続けて、さながら立ったサンドバック状態にしてたんだよな。

 ティアをあまりからかいすぎないように注意しよう、あれは怖いわ。


(魔法禁止を解除する、シャルチームは一気に地下階段への通路を制圧した後そのまま突入、俺たちは一階制圧のちシェルは三階へ。

 一部屋だから後方からの挟撃はないだろう、助けるべき相手はいないから一気に制圧しろ、俺は二階を制圧する、気が付かれても挟撃されないからな、それでは突入だ)


 俺が先行し【エアアロー】で階段各所に二名ずつ配置された敵兵を一気に倒すと、階段を上がり二階へとへ辿りついた、此処までは音も大きくなく順調だった、部屋を開けると。


『誰も入るなと言っておいただろ! うがぁ』


』如何した? 侵入者かもしれん全員戦闘態勢だ!』


「助けに来たぞ! 全員しゃがんで頭を伏せろ!」


 わらわらと部屋から敵が出て来るのを片っ端に倒し、部屋に入り瞬殺し全ての部屋を制圧した、倒したのは十名、傷つけられながらも助け出されたのは五名。


「俺はマグロだ、ギルド職員で間違いないか?」


「助けて頂き有難うございます、私はギルド職員です」


「私は違うわよマグロさん、お久しぶりね」


「もしかしてカエラさん?」


「自覚はしてたけど、やっぱり一目でわからない状態なのね」


 酷い有様だ、見れないほどでは無いが顔のあちこちが腫れあがり青あざだらけだったのだ。


「傷に障ります、先ずは治療しましょう」


 毛布を取り出して一人一人寝かせ、魔力を流し傷の具合を確認しながら回復させていく。

 傷を負ってから期間が長かったからか薄っすらと傷跡が残る者もいたが、助けられた事と治療もした事でとても感謝された。


「それでマスターとキャロルさんは何方かご存知ですか?」


「地下の牢獄に入れられてる筈よ、特にお二人の扱いが酷かったの」


「マグロさん、三階の制圧完了しました」


「丁度良かった、一階で合流しよう」


 全員で一階へ降りた直後。


「マグロ直ぐについて来るにゃ!」


「慌ててどうしたんだ?」


「説明は後にゃ、直ぐに来るにゃ」


 地下二階の一番奥の牢屋へと案内された。


「ティアどうした?」


「申し訳ないにゃ、命には影響にゃいが、力及ばす、彼ら二人の治療はこれ以上無理にゃ」


「確認させてくれ」 


 牢屋へ入ると二人寝かされていた。


「あいつら! 絶対に後悔させてやるぞ!」


 反省するようなら賠償金程度で手を打とうとも思っていたが・・・・・・徹底的に潰してやる! 周りから削っていき恐怖のどん底に叩き落としてやるよ。


「マグロ静かにするにゃ」


「そうだな、すまない、部位欠損もこれなら回復するだろう、エリクサーを使ってくれ」


 と二本のエリクサーをティアに渡す。


「二人にはこれを、ティアは治療に専念してくれ、俺たちは町中を制圧して来る、ここではあれだ、三人は一階で話すぞ」


 一階に移動した。


「テレポーターは各城門の兵士詰め所のみか?」


「もしかしたら領主館にもあるかもしれません」


「そうか、脱出用として設置してる可能性もあるな、領主館は後回しで計画通り進めよう、では行動開始する!」


 東から時計回りに潰す事に決め、警戒してる兵士を俺の【エアアロー】とシェルの【アシッドブラスト】で瞬殺しながらも詰め所前に到着した」


「もう半端な事は止めにする、建物ごと潰すぞ、手を出さないでくれ」


 シェルは止めなかった、自身も憤っており、マグロが代わりに手を下してくれると。


 燃え尽き塵とかせ!【ファイアエクスプロージョン】×二、中に居る騎士もまとめて焼き払った。


「次だ」


 主要道路の警備兵を倒して進み、同じ事を二度繰り返す。

 シャロ達の方も完了して冒険者ギルドへ向かってた為、先に地下二階へ。


「マグロ、お帰りにゃ、二人の意識が回復したにゃ」


 そこへシャル達も合流する。


「お帰り、意識が回復したらしくてな、今から会おうと思っていた所だ、来るか?」


「ええ、ご一緒しますわ」


 中へ入ると、マグロが頭を下げ。


「ツガットさんキャロル、俺の判断が悪かったせいでこんな目に合わせてしまい、すみませんでした」


「何、判断が悪かったのは俺たちも同じさ、気に病む事は無い、キャロルを保護すると言っておきながらこの様だ」


「そうよ、それに助けに来てくれたじゃないの」


「すみません、話さなければいけない事はありますが、まだ制圧が完了してません、残りは領主館のみ、館ごと吹き飛ばすのが簡単ですが構いませんかね?」


「領主のみは捉えて情報引き出した方がよくない?」


「ん~、今後の攻め方だけど、ここまで卑劣な手段を平気で用いる相手だ、頭だけ潰しても殺意を持ってる軍部が丸々残る、そうなると永遠と狙われる事になる。

 それでだ、俺は首都に対してゲリラ戦を行う、無論市民には手は出さないが、派手に暴れて脅威と取られれば集結させるはずだ、それを纏めて叩く。

 そうなると領主の情報は必要ない、更に言えばこの騒ぎだ、町全体が疲弊してる筈、領主館が無ければ立て直す際に給料を支払えるから仕事が無くなった住民も飢えなくて済む、資金は俺が出すしな、どうかな?」


「それが成功すると同時に数万、いや十数万の軍団だぞ、そんな大軍を相手にできるのか?」


「余りの威力に開発を止めてた魔法がある、それを完成させたら二十万でも三十万でも相手が出来ると確信してる」


「途方もない数字だがどんなのだ?」


 この二人なら原理を説明しても漏らさないだろう、下手に拡散させればお手軽虐殺魔法が完成するからな。


「簡単に言えば水の水蒸気化だな、この部屋だと3㎥ほどか? 水5ℓ少々が瞬間的に気化したらどうなると思う?」


「・・・・」


「瞬間的に空気がこの空間に倍押し込められる事になる、当然圧力が掛かり全員内臓破裂して空気の逃げる方へ皆吹き飛ばされる。

 死ななくても相当の重体になるから即戦線離脱、仮にウォーターウォール五回分だと約四千ℓこれでMP約十五、気化させるのに火の魔法を使うからこちらも消費は十五として合計三十、密集陣形に叩き込めば瞬間的に数百人が戦闘不能、これを無詠唱で連続して叩きこむ」


「可能なら余裕で相手可能でしょうね、しかし貴方人間なの? いや竜人族か」


「それは違う、俺も里に行って知ったんだがエンシェントドラゴンらしい」


「ん?」


「だからエンシェントドラゴン、龍族」


「もしかしてその翼?」


「そう、だから種族が竜人族(特殊)らしい、って脱線したな、これなら建物ごと吹き飛ばして良いかな?」


「貴方にまかせるわよ、考えるのがアホらしくなってきたわ」


「イメージもとっくに出来てるから実験台になって貰うかな、動かない標的だし丁度いい、まだ完調じゃないだろ? 後は俺一人で十分だから皆は寝てくれ、それじゃ行って来る」


「付いて行きますわよ、それだけの魔法なら私も見学して覚えますわ」


「それも良いな、それじゃ一緒に行くか」


 領主館から約五百メートル地点にて。


(かがり火程度じゃ此処までは見えないか)

(そうですわね、暗視様様と言った所ですわ)

(イメージし易い様に詠唱してみるか)


「通常威力の十倍にて展開、我が右手に熱湯水球、我が左手に灼熱の炎、カーブを描き対象に接近、対象の一m手前にて互いに接触【爆圧水蒸気砲】 伏せろ!」


 爆音が鳴り響き、爆風も吹き荒れて建物の一部とみられる木片が飛んでいく、爆風が収まった後に接近する、やりすぎた、近所の建物まで被害に。


「領主館の壁面すら粉々か、後かたずけ大変そうだな、他の家と離れてるし木材は燃やしとくか【ナパームフレイム】×四」


 残骸を燃やしてる間に一軒一軒謝罪して回り賠償金を支払う、支払いを済ませて延焼の心配も無くなった後にギルドへ帰還した。


「朝食後少し寝よう、相手も気が付いて編成しても来るのは夕方か明日以降だろう」


 二階一部屋を占領し寝るのだった。


 

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