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21:邸宅購入

 今は不動産屋に向かってる最中だ、シャルさんお勧めの不動産屋と言い直した方が良いだろうか。

 最低でもPT予定人数の十人が住める事、余裕を考えて二十名程度ならなお良い、それと風呂だな、それとのんびり旅をするなら馬車も欲しいから厩舎もついてたらいいな。

 俺の意見だけじゃだめだな聞いてみるか。


「なあ、皆はどんな物件が理想だ?」


「マグロが納得して買うのならどこでも良いですよ」


「そうだにゃ、マグロが釣れる場所なら何処でも良いにゃ」


「マグロさんが住む場所なら何処でも良いです」


「私のお勧め物件は一軒のみですわ」


 セレスは俺任せ、ティアは言い方がよろしく無いが俺が居れば良さそうだ、シェルは俺が居れば良いとストレート、シャルは決めてる様だな。


「ティア、もしかして俺を釣り上げる気満々なのか?」


「旦那を釣り上げるのにゃ」


 婿を釣ってゲットする気らしい、俺を一本釣り狙ってるな、結婚を承諾してるから確定事項なんだがなぁ。

 話してるうちに目的の不動産屋に到着した、昨夜の宿は貴族御用達の宿だったらしく、この店も高級な店舗を扱ってるらしいく、貴族街に近い場所だ。


「いらっしゃいませ、どの様な物件をお探しですか?」


「その前に聞きたいのだが、この辺の気候とか交通の便を教えて貰えないか?」


「気候は高度が高い為に夏は涼しく、冬が厳しい環境になりますが、特殊な土地でして、漂う魔力が高いのです。

 交通ですが乗馬や馬車になります、ここライネルにはテレポーターが設置してありませんので、他の都市へ向かう場合は移動手段が限られてきます」


 俺の要望込みで、魔力だまりの場所なら薬草関連を育てるのも良いかもしれないな。


「なるほど、それなら庭付き、地下倉庫付き、馬車の停留場や厩舎、大きめの風呂付き、二十名ほどが余裕で暮らせる屋敷、以上の条件で在るか?」


「その条件ですと一件のみになります、地下に食糧倉庫と荷物置き場の二部屋、十名程度入れるお風呂場、馬車三台の停留場と十二体の馬を管理可能な厩舎、客室や応接間なども在り、五十名程度宿泊可能です、料金は土地建物込みで白金貨二枚と金貨五百枚となります」


「なるほど、シャルがお勧めの一件があるらしい、説明してくれるか?」


「大丈夫ですわ、すでにそのお勧めの一軒が先ほどの物件ですわ」


「なるほどな、何か企んでないか?」


「人聞きが悪いですわね、龍ですが」


 絶対に何か企んでるな、その物件を見れば分かるかねぇ。

 ついでだ、不要な家があるなら買いたいな、もしくは基礎ごと持ち去っても構わない物件があれば買いたいな、俺が収納してテント代わりに用いたいのだが。


「その物件を見る事にしよう、それとだ、十名程度寝泊まり出来て、まだまだ使えるが建て替えの為取り壊す予定とか、客が満足せず立て直すとかの物件が無いか? あれば売って頂きたい、ただし基礎ごとな、代わりに一枚の石材か鉄板で真っ平に整地するが、どうだ?」


「可能なのですか? いえ失礼しました、それでしたら数件分の土地を纏めまして、一件の屋敷を立てますが、その内の一件がまだ解体前でございます。

 その屋敷を差し上げますので、その場を石材で整地頂けますか?」


「それならお安い御用だ」


「それでしたら無料でお譲り致します、解体する手間が省けて工期が短縮出来ると一石二鳥、これで代金を頂く訳にはいきません」


「マグロはそんな家を貰って何にするのにゃ?」


「野営でテント生活もけっこう狭いから不便だろ、収納量は気にしなくて良いからな、いっそ家を持ち運んで行き先々で使おうかと」


「マグロさんはそんな事まで考えてらしたのですか」


「やっぱりマグロは規格外なのにゃ」


「普通の方なら考えつきませんわ」


「流石マグロはちがいますね」


 快適になる様にと思っての行動だったのだが、そんなに驚く事か? 基盤に切れ込みを入れないと収納出来ないからな、土魔法の使い手なら出来そうな感じがするが、マジックバッグの特性を考えたら収納量さえ確保できれば大きさ制限無しで入れられそうだが。


「近い方から行きましょうか」


「それではお譲りする家に向かいましょう」


 やはり中心部より北に位置する貴族用の土地らしい、場所的には外壁近くの外周部だが、元々が貴族御用達の土地柄か、到着するとぽつーんと一軒のみで、周囲が更地になっていた、それを纏めると五十a程度の広さになるだろうか。


「この物件になります」


「基礎ごと頂きますね」


「・・・ええ、差し上げます」



 家の周囲を一周し確認すると地盤ごと収納するのだった、地下室が無くてよかった、あれば其方をどうするか店主と交渉する羽目になるからな。


「本当に基礎ごと収納したのにゃ」


「どうやって収納したんでしょうね・・・」


 土魔法で切れ込みを入れながら一周して、切れた所を収納したんだよ、と心の中でつぶやく。


 少々地面ごと収納した様だな、少し凹んだか、埋め合わせを提示してみるか。


「すまないな店主殿、少々地盤ごと頂いたようだ、お詫びに頂いたこの場のみではなく、纏める土地全体を石材で均一しようか? 

 その代り、厚みの分だけ地上げする形になるがどうだ? 地下を作るから入口のこの場は石材が不要だ、と言うなら場所を教えて貰えたら開ける事も可能だぞ、たぶん」


「おお、それは嬉しい申し出、ぜひお願いしたい、いや、謝礼を支払わせて頂きたい、地下等の入り口の考慮は不要です、この都市では親しんだ素材ですので一面お願いしたい」


「それでは、この場所基準でどの程度地上げする?」


「二十cmお願いして宜しいでしょうか」


「了解した」


 約五反か、約通常の百二十五倍、ただし上面は均一で平だが下部は地面の凹凸に合わせ柔軟に対応【ストーンウォール】


「よし、こんなもんだな」


「さすがエンシェントドラゴンのお方、素晴らしい実力です、感服いたしました」


「さすがマグロは規格外だにゃ」


「ティアを咎めてましたが、規格外って認識が一番しっくりくるような感じですね」


「マグロは規格外、で統一ですか」


「・・・世事は必要ない、此方は家を貰ったんだからな、では屋敷に案内を頼む」


 向かう方角からだんだんと嫌な予感が脳裏を駆け巡る、案内される事約二十分、驚くことに王宮の真横、驚愕である。

 本宅と思われる建物以外に住まいらしき建物もある、約半分程が庭か、場所といい広さやこの屋敷の規模といい、嫌な予感がヒシヒシと伝わって来るんだが。

 これは確定だな、白金貨二枚と金貨五百枚では安すぎだろ、完全に監視下に置く算段だな、余計に警戒してくださいと言っている、知識なり情報なりを、もしくは配下にする気満々だな。

 しかし立派な屋敷だ、空間把握では地下一階地上部二階、地下室に至っては地上部と同等の広さになっている、材質は石、本当に石造りの建物しかないんだな、ライネルって。


「店主殿、ここなのか、本当なのか?」


「勿論でございます、今回ご案内する物件は、この屋敷でございます」


「この馬鹿デカイ物件をマグロが買うのかにゃ?」


「マグロさんですからね、買われますよ」


「立地も凄いがこのサイズは予想以上だな、先ほどの土地の四倍か五倍はあるんじゃないか? それにあの値段、叩き売りしてないか? 

 嫌な予感がもの凄くするんだが、シャル、間違いなく陛下が関わってるな?」


「さすがマグロ様、ご想像の通りですわ、五年ほど前から陛下の命で建築された屋敷ですわ」


 的中か・・・陛下が建造してシャルがお勧めの一軒と言うのなら、買わなかったら陛下の顔に泥塗る行為になるんだろうな・・・。


「これを俺にどうしろと・・・頼んだのは確かに俺だけどさ・・・」


「マグロの為に建てられた屋敷ですわ、マグロが拒否した場合、どうなるか判かりますわよね?」


 首が飛ぶか、良くて追い出されるか? まぁ良いか、彼方は俺を監視したいとの思惑があるなら、逆手にとって此方も監視するだけだ。


「これは断れないじゃないか、家具とか寝具、調理器具とか食器類は入ってるのか?」


「十名分を目安に揃ってますわ、必要なのはメイドや執事など屋敷を管理する方と食料でしょうか」


「雇わないとこの面子じゃ維持が無理だよな、それに関して陛下は何か言われてたか?」


「無理なら紹介するぞ、頼ってくれ、とのお言葉でしたわ」


 すでに購入が決定事項になってるんだな・・・お返しにどっさり上納品を準備させて頂きますよ、陛下!


「その辺の事情はどうなんだ? メイド職希望者が多くて余り気味とか、希望者が少なくて足りてないとか、その辺りが分かれば商業ギルドにでも発注すれば良いかと思うが」


「その辺りの事情は分かりませんわ、其方は兎も角貴族の方の御息女は後を継げませんから、お声かければ着て頂けると思いますわよ」


「貴族のお嬢様方がメイドで来るのか? まぁ、嫁ぐことを考えればその辺りの腕を上げる教育が行き届いてるとは思うけど。

だけど知り合いもおらず探すつてがシャルと陛下のみ、シャルにお願いすると陛下のお耳にも届くよな」


「そうなりますわね」


「それじゃ陛下に直接お願いする以外の選択肢が無いじゃないか、俺だったら間に人が入ると嫌だしな、傍に居るのになぜ言伝ってな」


「それでしたら早めにお会いした方が良いですわね」


「いや、一度ダンジョンに行かないとそれは無理だな、次お会いする時に贈り物を持参すると伝えてるのでな」


 自重無しで贈るぞ! 気合いを入れたマグロだった。


「なるほど、理由をお伺いしても?」


「この場では無理だな、・・・店主殿、勝手に話し込んで申し訳ない、この物件売って頂く」


「いえいえ、中のご確認がまだですが宜しかったのですか?」


「陛下が関わってるんですよ、確認しなくてもこれ以上の物件は無いと断言できますからね、確認は不要です」


「それではご契約と参りましょう」


 料金を支払い、契約も滞りなく完了し、全員で屋敷に入っていく。

 明らかに金額が違ってるな、素人の俺の目から見てこれだから、どれだけ差額がついてるのやら。

 装飾品の類は一切無いが夜間でも問題無く動けるよう手配はされている、魔石を利用した照明だな、と言っても使用の仕方はさっぱりだが。


「二階部分をぶち抜きのエントランスにシャンデリア、シャル様、本来の値段は計算されてるんだろ? いくらだい?」


「白金貨三百枚を少々超える位だったと記憶してますわ」


 相当な気合を入れて建てられた様だな、軽く白金貨三百枚をポンと貰ったようなものか。


「フゥー、陛下には頭が上がらないな、贈り物には気合いを入れないとな、シャルも今後はここで寝泊まり?」


「勿論ですわ」


「食材は腐るほどあるけど野営用だしなぁ、この土地ならではの食材も気になるからな、それにドラゴンの肉も、そうだ、ダンジョンの入り口ってどこ?」


「王宮が北の端ですから、そこから直線に南下した首都の端ですわ」


「それって都市の端から端まで移動って事ですか、走る方が早いですが不味いですよね町中を爆走とか、やっぱり馬車が必要か、誰か御者出来るか? 俺は馬に触れた事すらないんだよね」


 出来ないのは俺とシャルだった、シャルは乗馬は出来ないが乗竜なら出来るそうだ、奴隷だった皆は技能が多い方が高く売れるからと、色々と教え込まれたらしい。

 戦闘面は兎も角、生活面ではめっちゃ足を引っ張りそうだな。


「シャル、馬車や馬売ってる所を知ってるか? 真っ先に移動手段を確保したいんだけど」


「知ってますわ、まず馬を買いに行きましょう、それで馬に合わせて馬車を買いましょう」


 馬は東門近くで四頭を購入、足は遅めだが体力のある馬にした、その販売店にて。

 やっぱりさ、馬を面倒見る人材って必要だよな、経験者はおらず、その知識もない、それなら分かるだろ?

 対応してくれた職員に声をかけた。


「ヨハンナ、うちには馬の世話をする知識人が居ないんだ、うちで働いてくれないか? 無論給料は弾む、今の給料の二倍で寝る場所付きで3食付き、来てくれるなら引越し代金として金貨十枚やる、どうだ?」


「そんな好待遇で迎えてくれるなら即止めて来るさ、本当なんだな?」


「無論だ、よろしく頼む、それで今から馬を連れて馬車を買いに行くんだ、意見を聞きたいから来てくれないか?」


「そう言う事ならアドバイスするぞ、だけどちょっと待ってて貰えるか、辞める事を伝えて来る」


「さすがマグロにゃ、お金に物をいわせて引き抜くのにゃ」


「マグロさんですから、驚いてたらきりがないです」


 お金に物を言わせて無茶な引き抜きだった、突然一人居なくなって問題なく回るのだろうか、気にしない事にしよう、俺が原因だが。


「大将、俺は今すぐ止めるぞ!」


「おい待て! 何勝手な事言ってやがる、お前の穴を誰が埋めると思ってるんだ!」


「それじゃ伝えたぞ、今までお世話になりました!」


 一方的に告げて退職したのだった、大変だな、一人なら何とか回るかな?


 馬車用の木材加工場に来た、場所はダンジョン入口の隣接地、何でもダンジョン産の素材をここで購入して即加工、交易商に販売もこの場で手掛けているらしい。

 箱馬車から荷馬車まで取り揃え、と言っても中古品だが。

 直ぐお隣には金属精錬所やら砂や石材の買取や加工場まである、この手の資材は近場でまとまている方が買い付けしやすいからだろう。


「マグロ様、長期間使用するか? それとも注文して出来上がるまでの繋ぎにするのか?」


「この仕様の馬車では防御面が不安だから注文したい所だな」


「なら町中乗りと割り切って買って良さそうだな、四頭立てだからそれなりの足回りがしっかりしてれば良いから候補はこの二台だな、後は好みか」


「そうか、ならこの箱馬車にしよう、中が広く快適な方が良いからな」


 大きい方をチョイスだ、十人乗り用らしい、ついでに注文しておいた、馬を連れてる為、この馬たちに合うように仕立ててくれるそうだ。

 外張りをミスリル製で内張りを木製だ、12人乗りの広々とした空間、軽量化の魔法陣を組み込み、魔力供給コアに魔石大を20個、自動で周囲の魔力を吸収するタイプだ。

 魔石が20個も必要なのは4個で1セットのローテーションの為だ、当然ミスリルは渡しておいた、料金は白金貨5枚、完成は一ヶ月後との事だ。


「武器屋と防具屋に行くぞ、と言いたい所だが、ヨハンナ、引越しが必要だろ、寄って帰ろう、食材は良いか、例の肉で焼き肉三昧にしよう」



 肉と言えば解体してなかったな、ギルドにお土産を渡す際に、シッポを少々切り込んだ程度で、【コマンド、解体】



 ストームドラゴン素材

 肉:49000kg

 目:2個

 牙:大4本

 牙:小220本

 爪:16本

 心臓:1個

 肝臓:2個

 腎臓:2個  

 腸:1200kg

 翼皮膜:833㎡

 革付鱗:1000㎡

 魔石:特大

 骨:7950kg


 うーん、数値で見ても分からないな。


「いやいや、主に引越し手伝いはさせられない」


 マジックバッグを取り出し。


「マジックバッグを貸すから全部詰め込んで来い、手早くすませれば仕事に専念できるだろ? 引越しに時間かけるより仕事に専念してほしいからな、2日あれば配置完了するか? 明々後日前後に返してくれれば良いよ」


「それじゃお借りする」

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