16:オークション終了
翌朝、支度も済み、食後のテーブルにて。
予定変更した事で資金が足りないと判断したマグロは追加で金貨入り巾着十袋ずつ渡しておいた。
「忘れていたよ、二人とも服を十着ずつと下着も買っておけ、セレスの分も頼む、シェルなら選べるだろ? 俺の分は下着のみ頼むよ」
「セレスさんの分はお任せください、ですがマグロさんの分は?」
「そうにゃ、なぜ買わないのにゃ?」
「一応買っては見たんだがな、着れなかったんだよ、以来、クリーンの魔法頼りだ」
「翼が・・・なるほど理解しました、私たちの分だけ、申し訳ありません」
「気にするな、その事も考えてあるから、いずれ解決すると思う、思ってるだけだがな、ではそれぞれ向かうぞ、そちらは頼んだぞ」
「任せてくださいにゃ」
「行ってまいります」
商業ギルドのロービーに入ると。
(おい、昨日結構な量を買っていた奴だぜ)
(あれだけ買っておいてまだ参加する気なのか)
(さすがに底着いてるだろ、見学だと思うがな)
色々と聞こえてくるが無視だ無視、席は分かっているのでとりあえずさっさと行く事に、部屋への入り口で確認作業を行っている職員に入場券を確認してもらい席に着き、二十分程度待つとやっと開始する様だ。
『ご参加頂きありがとうございます、泣くも笑うも最終日となります、本日はスペシャルな商品もございます、巾着の紐を緩めてご参加ください。
それでは薬品部門の一品目エリクサーでございます、言わずと知れた世界最高の回復性能でございます、最低落札価格金貨百枚です、どうぞ」
『100枚』
『110枚』
『130枚』
『150枚』
「300枚」
『330枚』
「660枚」
『800枚』
「白金貨1枚」
『白金貨1枚金貨100枚』
「白金貨2枚」
(おいおい、そんな金額有るのかよ)
(・・・・)
やっぱり高すぎたのかね? まあいいか、余裕で買える金額だし。
『八十九番様、白金貨二枚、他にございませんか』
『・・・・』
『白金貨二枚で落札です、八十九番様おめでとうございます』
(此方へお出で下さい、お支払いをお願いいたします)
「セレス、ジワジワ上げて時間を稼いでくれ、その間に支払いを済ませて戻って来る、間に合わない場合はそのまま支払いに行ってくれ、一本は諦めよう、では行ってくる」
「わかりました、いってらっしゃい」
一本はセレスが購入し、予定の三本とも白金貨二枚の値段で落札できた。
他にも部位欠損を直せる品が出たが此方の品は購入しない。
『では魔道具部門一品目、結界魔法の書、これを極めれば普段の生活から冒険の野営まで安全度が激増します、最低落札価格は金貨百枚からです、ではどうぞ』
『100枚』
「200枚」
(おい、あいつまた競り落とすつもりだぞ)
(驚愕だな、何処からそんな金を調達っしたんだか、やばいのに手を出してるかもしれんな)
『220枚』
「440枚」
『500枚』
「白金貨1枚」
『白金貨1枚と金貨100枚』
「白金貨2枚と金貨200枚」
『・・・・』
『八十九番様、白金貨二枚と金貨二百枚他にございませんか?』
『・・・・』
『白金貨二枚と金貨二百枚で落札です、八十九番様おめでとうございます』
支払いを済ませ、かなりの数の競りが終了した。
『魔道具部門最後の品になります、時空間魔法の書、見る事が余りにない為、存在その物を疑われていた品です、最低落札価格白金貨一枚からです、特別ルールで白金貨のみでお願いします、それではどうぞ』
マグロは参加せず見守る中どんどん値上がりしていく。
『白金貨120枚』
『3番様白金貨120枚、他にございませんか?』
「白金貨200枚」
(ブハッ)
(これまでの代金は奴にとってはした金だたのか?)
『八十九番様、白金貨二百枚、他にございませんか?』
『なければ落札とします、白金貨二百枚で落札です、八十九番様おめでとうございます』
『午前中の部門はこれで終了します、一時間後目玉商品のオークションとなります』
「ティアとシェルがきてるようだ、合流するぞ、無事に購入できたようだな」
支払いを済ませて購入、無事合流して暁の宿にて昼食後。
「こっちは予定の品を全て買えたよ、そっちの買い物はどうだった?」
「1年ほど無補給で野営可能な食材も確保できました」
「そうか、では食材の入ってるマジックバッグは貰おう、資金が減っただろ、これを受け取っておけ、おかげで予定してた品は確保できたよ、残りは昼からの1品のみだな」
金貨の巾着を二人に1つずつ渡す。
「何を買ったのにゃ?」
「エリクサーに結界魔法の書と時空間魔法の書だな、時間が出来次第全員に結界魔法は覚えて貰う事になるだろうな、時空間魔法は難しいか?」
「スキルを取得されているマグロさんなら可能でしょうが、二種ともハードルが高いですね、結界魔法書ですが後程見せて頂けませんか?」
「落ち着いたら見せるよ、興味があるならまず最初に覚えて貰おうかな、その時は宜しくな」
「はい、任せて下さい!」
俺は時空間魔法の方で手一杯になるだろうからな、興味があると言ってるシェルに任せる方が良いだろ、何にせよ、一人覚える事が出来たら後はレクチャーしてもらいながら実践してもらえれば難易度は格段に落ちるからな。
「それで、あと一品は何なのにゃ?」
「ストームドラゴンが丸々一体競りに掛けられるんだよ、これで装備品を作れば一生物の品が作れるだろ、この機会に競るつもりだよ」
「それで今回の準備だったんですね」
「すまないな、後手後手の説明で」
料金を支払い食堂から出立、商業ギルド内で二人と別れて会場に向かった。
『今回のオークション最後の品となります、風属性の上位竜でストームドラゴンとなります、その大きさからこの会場でお見せ出来ませんが、ここ、商業ギルド地下に在ります特別倉庫に、全身凍らせた状態で保存されております、全長五十m級です。
落札者には一ヶ月の猶予が与えられ、その間に処理して頂きます、期日を過ぎた際は倉庫使用料が課せられますのでご注意ください。
ご紹介致しましょう、今回討伐されたチームのリーダーを務めましたSランク冒険者のミストル様です』
何で横にぼーっと立ってるのかと思ったら討伐した人だったのか。
『ミストルです、今回討伐に参加した1500名中、生き残ったのは僅か714名です、この勇敢に立ち向かったもの達の遺族に対して、今回の落札金から補償金が支払われます、彼らの為にもよろしくお願いします』
おいおい、たったの一匹倒すのに八百人近くも死んだのかよ、ま、ブレスを確実に止める実力が無ければ被害は甚大、それに、属性から常に飛んでそうだし、下手に傷を負わせた状態で倒せませんから逃げましょうでは、町にまで追いかけて来そうだしな、全滅覚悟で討伐に行ったんだろうな。
『今回は白金貨のみでお願いします、最低落札価格白金貨1000枚からです、それではどうぞ』
『1000枚』
『2000枚』
『4000枚』
『6000枚』
『8000枚』
「1万6000枚」
(ブハッ)
(おいおい汚いな、気持ちは分かるが)
(個人で出せる金額じゃない、何処かの国の回し者か?)
(可能性が高いのはエリュード王国か)
元々が出来レースだったのかもな、わざわざ立ち上がってでも落札者を確認したいらしい、最悪の予想が現実味をおびて来たな。
夜襲もしくはテレポーターが使用不能ですとかでっち上げて街道で待ち伏せあたりが濃厚かもな。
(前列のただ一人、睨んできてる奴知ってるか? セレス)
(ここ帝国の宰相閣下だったかと)
(国も動いてるって事か、最悪な事態が現実味帯びて来たな)
『・・・・』
『八十九番様白金貨一万六千枚、他にございませんか?』
『・・・・』
『白金貨一万六千枚で落札です、八十九番様おめでとうございます』
(此方へお出で下さい、お支払いと契約をお願いいたします)
「すまないが連れがいるんだ、連れてきても構わないか? 見せてあげたいんだが」
(それではロビーにてお待ちしております)
「それでは後程」




