12:新たな仲魔
適当な食堂で食事を済ませて向かう途中。
鑑定
召喚魔法3:契約は相手との信頼関係がある状態で自身の魔力を与える。
すっかり忘れていた、魔導書を求める必要なかったな、手綱を取るならなんとやら・・・か、試したいな。
「ところで、マグロは冒険者ギルドへは何をしに?」
「オークションに参加するから手持ちの資金では心もとないだろ、だから調達しようかと、それと、可能だったら召喚獣をゲットしたいなと、それともう一つあるけど秘密だ、まぁ、じきに分かるさ」
そう、新たな金属の武器を買えた事で行先が増えたのはミスリルを大量に作り出す為だ。
「とうとう資金調達の秘密が分かるんですね! 召喚獣の対象は何か考えてるんですか?」
「スライムだな、あの水っぽくウニウニ動いてるあれだよ、ダンジョンにいれば良いけど、居なかったら聞くしかないな、居そうな場所を」
「物理攻撃には強いですが、魔法には最弱ですよ、役に立ちますか?」
「用途はあれだ、少しの隙間で何処にでも入り込めるだろ、敵対勢力へ侵入して暗殺とか、相対してる際に後ろからこっそり忍び寄って暗殺とか」
「暗殺だけなんですね・・・」
「まぁ、その都度考えるさ!」
腕を絡めて楽しく? 会話して向かうのだった、そしてガラガラの冒険者ギルド内へと入り受付嬢に声を掛けた。
「個室の修行場を利用したいのだが今空いてるか?」
「申し訳ありません、現在満室です」
「そうか、ではスライムの出る場所を教えて貰えないだろうか?」
「それでしたらダンジョン一階層に出現します」
知らなかったとは言え、間抜けな質問だったな、聞かないと分からない事だし開き直るか。
「なるほど、ダンジョンにはまだ入っていないので失礼した、それで、ダンジョン入口はどちらに?」
「ご案内します、ついて来て下さい」
案内してもらい一階層に入る。
空間把握ではそれらしいのが探知できなかった、案内された場所に行くも降りられる階段があり行ける事は確実なのだがやっぱり見通せない、別空間で探知が出来ないのかもしくは結界でも張られているのか。
見えざる壁を通り抜けると今度は逆に、外を見通せずダンジョン内の構造が丸わかりになり敵の位置、入り込んでいる冒険者達の位置がはっきりと分るようになった。
「ふむ、光源無しで明るく繋ぎ目の無い全面石材か、下手に武器を振り回すと手が痛そうだな」
冒険者ギルドから入り込む階段はせいぜい横幅が二m程度だったが、冒険者ギルドとダンジョンの境を越えると状況が一変した。
横幅五m-六m程度、高さは横幅よりありそうか、7m以上ありそうだ、気温も湿度も外より若干低い、体感だが二十度から二十五度か、これは避暑地として利用するのに持って来いだな、熱いの嫌いだし暑い時期は入り浸ろうかな。
「なぜ光ってるのか、未だに解明されていない謎ですね、それとダンジョンの外壁に損傷を与えると、その階層の魔物が全部寄ってきますから注意して下さい」
「それはレベリングに最適だな」
「・・・スライムは物理攻撃に強い敵です、幸いマグロは魔法が主体ですので苦労する事は無いかと」
あ、間が開いたな、やっぱり無茶な倒し方と認識されてるのか。
「倒すのならそうだな、倒すのが目的じゃないから見ていてくれ」
マップと連動し【空間把握】【魔力探知】で地形や魔物の位置を把握する。
「相変わらず破格な性能だな、マップも敵の位置も分かったから早速行こうか」
「攻撃しなくて良いのですか?」
「そうだ、しなくて良い、仲魔に引き入れる事も目的の一つだからな」
スライム一匹の場所だ、奥へ行く通路では無く袋小路へ向かう通路、此方なら人は来ず見られる心配が無いからだ。
「さて、どうやったら懐くかな」
近くに行き手を伸ばしておいでおいですると、手に飛び乗ってきたのでそのまま受け止めると。
「いてえええええええええ!」
ジュウウとでも言えば良いのか、予想外の激痛に思わず手を振り、石畳に叩きつけて接がした。
「大丈夫ですか? こいつ!」
「まて! 手を出すな、想定の内だ」
やっぱり手懐けるなら胃袋からでしょ、とアストロウルフ一体分の肉を取り出して与える。
「これが作戦だ、名付けて、胃が破裂するまで餌を与えろ作戦だ、胃は無さそうだけどな」
安直である、無くなったら鉄を一kgずつ与えて行く、食べてる最中に手は回復魔法で無論治療した、三十分ほど経過した頃、元々青かった色が変色し薄青になってきた。
「どうなってるのかなこいつ等の体って、結構な量を食べてるから体積増えるはずだけど見た目増えてないし、色が変わるってなんだろね?」
「出会ったら即戦闘ですから、餌を与えた人はいないと思いますよ、それを考えるとスライムの生態系の解明になりそうですね」
更に三十分が経ち百kg程度食べた頃、完全に鉄と同じ色に変わっていた、鑑定してみる。
鑑定
アイアンスライム
Lv2
種族:特殊変異体スライム
職業:スライム
状態:良好
HP:164
MP:44
STR:4
VIT:51
DEX:5
INT:18
LUK:8
EXP:0/3000
スキル
アクティブスキル:溶解5
「あら、変質したのね」
「そうですね・・・」
「これ、金塊を食べさせたら、金ぴかになったかも?」
「鉄を大量に食べて変わった事から可能性が高そうですね」
「今はどんどん鉄を与えてみるか」
更に三十分ほど経った頃、何故か食べずに近寄ってきた為、手を伸ばしおいでおいでしてみると手に飛び乗って来た、今度は手に痛みも無く手の上でフルフルと動いている。
「おー懐いたよ! 胃袋ゲット! フニフニしてて手触り最高だよ! 触ってみてセレス」
「では」
恐る恐る触ると弾力が有るが柔らかく手が何処までもめり込みそうだった。
「うちの子になるかい? 金属で良ければ食べ放題だよ、そこは保証するよ、出来ればうちの子になってほしいな!」
「・・・・」
「喋れるはずないか、変異してもスライムだし、さて契約しようね、今度は俺の魔力を食べてもらうよ」
魔力操作で手の平からスライムの周りへ送ってあげると、どんどん吸収していき無事に契約完了した、召喚獣第一号だ。
「もう一つ実験しよう、それと金策だな実際見せてあげるよ」
「例の金塊ですか? もしかして槍を買ったのって・・・」
「そのまさかだよ、先ずは金塊から」
通常の十倍【ゴールドウォール】 二m×二m×二mの塊だ、でーんと金塊のお出ましだ。
「この状態で二分待って後は収納だ」
「説明されてはいましたが、実際見ると圧巻です、金の塊がこんなに・・・」
「次はミスリルだな、見た事が無かったから作れなかったけど、今は現物があるから容易だよな!」
槍を取り出して一分ほど集中して観察する、目を瞑り集中し、通路の奥に向かって通常の百倍【ミスリルウォール】 どうかなと目を開けると、銀よりも輝く金属の塊が出現していた。
鑑定
金属:ミスリル
「おし、成功だ!」
「おめでとうございます!」
「これで鍛冶屋さえ押さえられたら相当な強化できるな、では収納っと」
金属残量
金塊:二十七万千kg
鉄:四十八kg
ミスリル:二十万kg
「ミスリルって随分軽いんだな、鉄より軽いぞ」
「魔法金属と呼ばれていますから、そのせいでしょうか?」
「もう少し足しておくか」
MPの残りを確認しながらMP回復ポーションを飲み干し、通常の二百倍【ミスリルウォール】 を回収した。
ミスリル:六十万kg。
「宿に戻って目録から購入品を検証しておこうか、このバッグに入っといてねスラちゃん」
マジックバッグに入れても問題無いとは思うけど、今回は普通の肩掛けカバンに入ってもらった。
「良い品が有ると良いですね!」
【コマンド】 アイテム:金塊:二十万kg売却。
白金貨一万枚、売却しますか?
売却決定、宿屋に到着し早速検証開始した。




