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端っこの落とし物

さっきの自分

作者: 鹿馬 真馬

 さっきのわたし。どうしてこんなことをしたの? 


 道端の干からびたミミズを蹴って歩く。


 十二時の街並み。


 国道沿いの都会の一歩郊外。


 住宅に埋もれて、彼女が持つのはヘチマのような鈍器。


 高いフェンスに囲まれた学校と、住宅街に囲まれた狭い道。


 突き当りに公園。


 暗闇でよく見えない。


 街灯が、見捨てられて、チカチカ言う。 


 木々が公園の外壁になっている。中は入って見ないと分からない。


 錆びついたチェーンのブランコ。


 色が剥げている。


 最近は、もっと殺風景。


 子どものころはいろんな遊具があった。


 コーヒーカップに、四人乗りのブランコ。


 物凄い高さのすべり台。


 今はそういうのが無い。


 会っても遊ばないけど。


 鉄棒、意味がない。


 すべり台、滑らない。


 最近のテレビのげーにんの方がよっぽど滑る。


 暇だ。する事が無い。


 だから、みんな、なにもしない。


 みつけるもなにも、無いものはない。


 だから、……した。


 むしゃくしゃして、

自分に、

社会に、

家族に、

部活に、

勉強に、

友人に、

先輩に、

後輩に、

上司に、

部下に、

顧問に、

顧客に、

教師に、

両親に、

兄弟に、

姉妹に、

子供に、

神様に、

王様に、

世界に、

英語に、

米国に、

戦争に、

正義に、

偽善に、

悪魔に、

天使に、

恐怖に、

感情に、

人間に、

昆虫に

格差

ら、


 人に迷惑さえかけなければ良い。赤信号はみんなで渡るもの。

私一人取り残されたくは無いもの。負け組と一緒にしないで。


 目が覚めると、学校の中だった。最近どうしてこんな夢ばっかり、なのかな。ペンギンもいなかった。暗い街に、私は一人でいた。ところで、私はなにしたんだろう。誰かを殺したのかな? なんか変な凶器持ってたし。あれで、誰かの頭を。

 青い空が、網目の入った窓に切り刻まれている。空があまりに青い。五月晴れの中、少女は脱水症の症状が出始めて、立とうとして、ふらついて、結局元の椅子に座って、机に突っ伏した。

「お茶のも。」

少女は、からからに喉が渇いていた。水筒を取り出すのもしんどい。何とか取り出しても、ふたが固くて開かない。どんなに力を入れても開かない。

「固い。さっきの私、どんなに力入れてたんだろう。」

だるくなって、再び机に突っ伏した時だった。

「あれ、なにしてるの?」

友達が来た。

「ふたが開かないの。」

「開けてあげようか?」

「固いよ。」

と言いつつ少女は水筒を渡した。すると、すぐに開いた。

「はい!」

「開いた。ありがとう。」

少女はお茶を一気に飲み、一息ついた。

「顔色悪いよ?」

「うん。」

「今日はもう帰ったら?」

「そうする。」

と言いつつ、少女はまた机に突っ伏した。五月晴れの青空。だるい。ただ、こんな風にだらだら過ごしてられるのも、あと少しなんだ。

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