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△月×日
-朝-
校門をくぐろうとした時、不意に声を掛けられた。
振り向くと、そこにはあいつの彼氏がいた。
こっちの顔を見るなり、酷い顔がどうとか喚き始めるそいつを無視すると、俺は再び歩みを進めようとする。
しかし、ある言葉によって俺の足は動かなくなった。
「先輩が好きなのはあんたなんですよ!」
動けなくなった俺に対して、こいつは言葉を続ける。
「あんたがちゃっちゃと動かないから、俺みたいな損な役回りが生まれるんすよ。」
そいつは尚も言葉を続けるが、何を言ってるのか理解が出来なかった。
お願い?恋人役?いったい何の話だよ。
最後に「俺から聞いたって言っちゃダメっすよ!」と残して、彼は去っていく。
校門に突っ立っている俺に対して、「あれ?今日は一緒じゃないの?」「ついに愛想を尽かされたのか。」などと声を掛けていく登校者たち。
「さっさと教室に行け!」
乱暴に肩を叩かれた俺は無意識に足を踏み出した。
気付けば、雨が降り出していた。