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第1話

「ねぇ、パパぁ」

突然、娘の声が脳に響いた。

「なんかぁ……お話……して?」

娘が首を(かし)げた。あぁ、出たぞ。おねだりするときの仕草だ。3歳になって半年たった娘は、だんだんこういうのも上手になってきた。こういう仕草で物をねだられると、ついつい買ってしまう。そして、買ってやったオモチャを胸に大事そうに抱えて、父親の顔をチラッと盗み見るのだ。俺は知っているんだぞ……。でも、やっぱり可愛くて仕方ない。家に娘のオモチャが大量にあるのは、おそらく父親である自分のせいなのだ。そうか……これが親バカというものか……。

「お話・・・?」

「うん!してしてっ!」

「じゃあ……パパがテストで、0点を取ったときの心境を話そうか!」

「えぇ……。もっと他の、お話してよぉ」

いかん!娘の寝る時間が……!もう9時ではないか!早く話をして、寝かさないと……。でも……何を話せばいいんだ……?お話……お話……。………………お話!?……童話でも……話すか。

「えーと……赤ずきんのお話に、するね」

「パパのお話が、いいー!」

パパのお話!?急に絞られたな……。でも、テストの話じゃいかんらしい……。うーん……。

 ふと、脳裏に白い世界が広がった。白くて、透き通っていて、光で覆い尽くされている世界。そして、ぼやぁっと薄く人影が見える。……君は……誰?振り返る、顔。あぁ……懐かしい……。白い布に包まれていて、白い帽子をかぶっている、少年。君の名前は、たしか……

「パパぁ!?どうしたの?」

娘の甲高い声。はっと我に返った。膨れっ面を服に押し付けてきた。ずいぶんと、機嫌が悪い。いかん、いかん。

「なんだい?」

「パパのお話してぇ」

そうだった!懐かしい顔や風景を見ているうちに、忘れてしまっていた!……ん?パパのお話?……なんだ、この出来事を話せばいいんだ。親にも、おばあさんにも話していない、僕だけの出来事、僕だけの物語。そして……僕の親友。娘に話したって、どうせすぐ忘れるんだろうけど。僕にとって、大事な大事な、僕のお話。うん、話してやろう。

「わかった。パパの大切なお話、聞かせてやろう」

「うん!」

娘は布団に潜り込むと、目をつぶった。楽しみで仕方ないのだろう、布団がモゾモゾと動いていた。よし、話すか。

 ついに、パパのお話は始まった。しかし娘に語りかけるようではなく、物語を作るように、言葉を紡いで話していった。これは、パパの大事な、大事な物語。

一生懸命作りました!ちょっぴり切なくて、ちょっぴり青春(?)な物語です。ぜひ読んでみてください。

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