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【プロ野球アオハル】星党の俺と竜党の彼女が、ナゴドで出会ってからの話。  作者: 浅川音珠


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バックネット裏でのまさかの出会い

春とは言い難い強い日差しの今日

俺は一人で野球を見に来たはずなのに隣にはクラスメイトの木暮さんがいる。


「どうして...木暮さんが?」



開場前から並んで入ったのに席に着こうとしたら隣にはもう人が座っていた。


「すみません、お隣失礼します」


と声をかけた。するとドラゴンズユニを着た同級生くらいの女性がこっちを向いて「どうぞ」と返してくれた。バックネット裏の席だからそこまで熱心な人がいないだろうと思っていたけれど意外とそんなことはないのかと思っていると


「あの...三浦、くんだよね...?」


と、隣の女性に戸惑ったように名前を呼ばれて俺も戸惑っていた。友達にも用事があるとしか言っていないのにまさか自分の名前を呼ばれるとは思っていなかったからだ。


「私...同じクラスの...木暮って言うんだけど...分かる...?」


その女性をよく見てみれば確かに同じクラスになった木暮さんだと分かるがいつもと違って眼鏡をかけていないしドラゴンズのキャップを被っているからハーフアップからポニーテールになっている。しかもいつもと違ってスカートとユニフォーム着ているわけだから気が付かなくても無理はない。


「木暮、さん...?あの一番前の席の?」

「うん!そうそう、出席番号13番の」

「そうなんだ!なんか...初めましてな感じがするけど...今まで話したことあったっけ?」

「ううん、無かった気がする。...あ、でも去年図書室で本借りるときは何回も受付してもらったよ」


若干気まずそうな作り笑顔でそう答える木暮さんに対して俺はどうにか気まずさを解消しようと必死に話す言葉を考えていた。そして木暮さんの方を向いたときに一つだけ思いついた。木暮さんの上半身を指さしながら。


「木暮さんってドラゴンズファンなの?」


と聞いてみると


「うん、幼稚園生とかの時からドラゴンズの試合見て育ってきたから気が付いたらドラゴンズファンになってたんだ。ところで三浦くん...そのユニフォーム...ベイスターズファンなの?」

「...うん,俺は苗字が三浦だから三浦大輔の存在を知ってベイスターズファンになったんだ...」

「なるほどね!番長...かっこいいよね。私...木暮って苗字だから同じ苗字の選手とかいなくて...なんかそういうの羨ましいな...」

「確かに...木が暮れるでこぐれさんなのかって思った記憶があるなぁ」

「あっ、ビジョンに映ってるよ!カメラどっちだろ?」


急にはしゃぎだした木暮さんに驚きながらも106ビジョンを見てみると俺と木暮さんのツーショット状態の映像が映し出されていた。それも満面の笑みの木暮さんが手を振っている様子が。そんな様子のビジョンを見ていたら


「三浦くんもカメラに手振ってよ!ほら、あっちの方に」


とサード側の方を指さしながら言われて慌ててそっちに手を振った。そんなことをしていたら映像のフレームがピンクのハート柄に変わってしまった。それを見た木暮さんは顔を赤らめて手に持っていたドアラのタオルで顔を隠してしまった。当然俺も驚いたが、状況を理解するや否や恥ずかしさのあまり木暮さんの肩をつかんで盾のようにしてその陰に隠れてしまった。木暮さんの心臓の音が聞こえるような近さになったことに知らぬ間にドキドキしてぼーっとしていたのかもしれない。ビジョンに映し出されなくなってもそれに気が付かずに木暮さんに抱き着くような状態になっていたのだから。


「あの...三浦くん?もう、カメラ...切り替わった、よ?」


はっと我に返り自分が今していたことに罪悪感を抱きながらも心臓の高鳴りは止まらずにいた。


「ご、ごめん...急に肩つかんだりしちゃって...」

「う、ううん...あんなことになるなんて...びっくりしたね...」


そういう木暮さんの顔を見ると耳まで真っ赤に染めていた。すると木暮さんがキャップを被りなおしながら


「同じクラスの人たちに見られてないといいね...あと...このこと...誰にも言わないで、二人だけの秘密にしてね」


そんな彼女を見ながらさっき起こったハプニングの瞬間の木暮さんの小さな背中とそのぬくもりは絶対に忘れることはないだろう。

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