表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『バーチャル界に愛と笑いば届けるけん!~うち、今日からVTuber始めるけんねっ❤~』  作者: 優貴(Yukky)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/31

第8話 『それ、星乃みらいやろ?』

月曜日。

教室の空気が、なんか違う。

みらい――本名:花咲みらいは、机に座った瞬間わかった。

ヒソヒソ声。

視線。

スマホを隠す動き。

「……気のせい、よね」

ばってん違った。

昼休み。

後ろの席の女子が、小声で言う。

「ねぇ、これ見て」

スマホ画面。

そこに映っとるのは――

星乃みらい。

切り抜き動画。

タイトル。

【炎上中VTuberの正体、学生説?】

血の気が引く。

「……」

隣の子が振り向く。

「ねぇ花咲さん」

笑っとるけど、目が笑っとらん。

「それ、星乃みらいやろ?」

世界が止まる。

「……違うよ」

反射的に出た言葉。

ばってん声が震えとる。

「声、同じやん」

「博多弁も」

「モノマネも」

逃げ道が、どんどん塞がる。

そのとき――

ガタン。

椅子の音。

前の席の男子が振り向く。

「別によくね?」

空気が止まる。

「VTuberやろ?犯罪じゃないやん」

教室が静まる。

「炎上って言っても、ネットの話やろ」

みらいは顔を上げる。

「……」

「俺、普通に面白いと思ったけど」

一瞬の沈黙。

ヒソヒソ声が止まる。

女子は肩をすくめる。

「別に責めてないし」

そう言って話題を変える。

嵐は、一旦過ぎた。

ばってん。

完全に、バレた。

放課後。

みらいは一人、帰り道。

心臓がまだ速い。

「終わった……」

もう、学校でも普通には戻れん。

スマホが震える。

通知。

例の掲示板。

【星乃みらい、リアル特定か】

手が震える。

「やめて……」

スクロール。

住所は出とらん。

学校名も出とらん。

ばってん時間の問題。

涙が溢れる。

「うち、やっぱ甘かったと?」

夢見すぎとった?

バーチャルとリアルは別やと思っとった。

でも違う。

繋がっとる。

全部。

その夜。

配信時間。

開始ボタンの前。

手が止まる。

“今日は休む?”

言い訳はいくらでもできる。

でも。

「……逃げたら、終わる」

LIVE

同接:2,300

増えとる。

「こんみらーい」

少し間。

「今日ね、学校でバレたっぽい」

コメントが一瞬止まる。

《え》

《まじ?》

《大丈夫?》

「怖かった」

正直に言う。

「でもね」

深呼吸。

「うち、悪いことしとらん」

コメントがゆっくり流れる。

「VTuberしよるだけ」

声が少し強くなる。

「好きで始めたこと、隠れてコソコソするの、もう嫌や」

同接:2,900

「バーチャルやけん、うちはうちやろ?」

一瞬の静寂。

そして。

《かっこいい》

《推しててよかった》

《強くなったな》

涙がにじむ。

「強くなったんやなくて」

小さく笑う。

「強くなるしかなかっただけ」

コメント欄に、見慣れた名前。

初期ファン。

炎上後も残った人たち。

その中に――

天音ルカの名前。

スパチャ。

【天音ルカ:堂々としてる後輩、好きだよ】

同接:4,500

一気に跳ね上がる。

コメント爆速。

《ルカきた》

《公式認定》

《最強の後ろ盾》

みらいは、画面を見つめる。

「……先輩、ずるい」

笑いながら泣く。

「うち、もう逃げん」

炎上も、身バレも、怖さも。

全部抱えて。

「バーチャル界に愛と笑いば届けるけん」

声が、はっきり出る。

同接:5,200

数字が、恐怖やなくて――

覚悟に変わる。

配信終了後。

登録者数:12,804

1万人、超えた。

炎上も。

身バレも。

全部越えて。

でも。

スマホに、見知らぬ番号からの着信。

留守電。

無言。

ただ、呼吸音だけ。

みらいの背中に、冷たい汗。

光は、強くなった。

その分――

闇も、近づいとる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ