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『バーチャル界に愛と笑いば届けるけん!~うち、今日からVTuber始めるけんねっ❤~』  作者: 優貴(Yukky)


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第4話 『強くなりたかって言ったやん、うち』

月曜日の朝。

教室のざわめきが、いつもより大きく聞こえる。

みらいは机に座りながら、スマホを握っとった。

登録者数:203 → 417

「……まだ増えとる」

あの切り抜き動画は、ついに5万再生を超えとった。

コメント欄は賑やか。

《博多弁かわいすぎ》

《この子伸びる》

《推し見つけた》

ばってん、その下。

《今だけ》

《典型的な一発屋》

《声無理》

スクロールする指が止まらん。

「……見んどけばよかった」

胸がざわざわする。

「花咲ー」

急に後ろから声。

心臓が跳ねる。

振り向くと、クラスの女子二人。

「昨日さ、TikTokで博多弁の子流れてきたんやけど」

みらいの喉がカラカラになる。

「めっちゃ似とる人おったよ?」

笑いながらスマホを見せられる。

画面には――

自分。

星乃みらい☆

音声つき。

世界が止まる。

「……似とるだけやない?」

必死に笑う。

手のひら、汗びっしょり。

「ふーん。まあ、花咲も博多弁やもんね」

そのまま会話は流れた。

ばってん。

みらいの足は、ずっと震えとった。

夜。

LIVE

「こんみらーい……」

声が少し固い。

同接:56

「……多っ」

コメントが一気に流れる。

《待ってた》

《昨日バズってた子や》

《有名人》

有名人。

その言葉が、やけに重たい。

雑談を始める。

笑う。

モノマネもする。

ばってん、頭の片隅にはずっと不安。

その時。

コメント欄が急に荒れる。

《バズって調子乗ってね?》

《昨日よりつまらん》

《声作ってる感ある》

胸がギュッてなる。

同接:63

増えとる。

でも、怖い。

《どうせすぐ消える》

《本物の実力じゃない》

息が浅くなる。

「……」

一瞬、言葉が止まる。

コメント欄がざわつく。

《大丈夫?》

《無視しよ》

みらいは、マイクを握る。

「正直ね」

声が少し震える。

「怖かよ」

画面の向こう、60人以上。

「急に人増えて、期待されて、

ちょっとでも失敗したら“やっぱり”って言われるの」

コメントが静まる。

「うち、強くなりたかって言ったやん」

目がうるむ。

「でもまだ、そんな強くなか」

数秒の沈黙。

心臓の音だけが響く。

その時――

《そのままでいい》

《無理せんで》

《応援してる》

《調子乗ってもいいやん、頑張った証拠やん》

涙がぽろっと落ちる。

「……ありがと」

鼻をすすりながら笑う。

「うちね、消えんけん」

アバターがにこっと笑う。

「一発屋って言われても、

二発目も三発目も撃つけん」

コメント爆速。

《それでこそ》

《かっこいい》

《推す》

同接:78

「え、なんで増えると!?」

泣き笑い。

震えながら、でも前を向いとる。

「うち、続けるけん」

配信終了。

OFF

部屋は静か。

ばってん、心は嵐のあとみたい。

登録者数:589

「……600いきそう」

嬉しい。

でも、それ以上に――

「逃げんでよかった」

スマホを胸に抱く。

今日、少しだけ。

昨日より強くなった気がした。

でも。

通知が鳴る。

――新着DM

差出人:???

「……誰?」

画面を開く。

そこに書かれとった名前に、

みらいの目が大きく見開かれる。

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