第19話 『敵じゃなく、火種』
フェス翌日。
控室。
テーブルの上に置かれた資料。
【World Collaboration Project】
ロゴが並ぶ。
Lumière
そして――
NEON VALKYRIE
みらい、喉が鳴る。
「ほんとに、やるんですか……?」
ルカは冷静。
「断る理由ある?」
レイは腕を組む。
「世界に固定ファン作る近道」
確かに。
でも。
コラボは諸刃の剣。
埋もれる可能性もある。
オンライン合同ミーティング。
巨大スクリーンにNEONメンバー。
センター、アリアが笑う。
「Round two. But this time, together.」
敵意はない。
でも火花はある。
プロジェクト内容。
・合同オリジナル曲
・英日ミックス歌詞
・交互センター構成
・最終章はダブルセンター演出
ダブルセンター。
つまり――
アリアとみらい。
心臓、バクン。
レイが小声で。
「逃げるなよ」
「逃げん」
即答。
制作開始。
仮タイトル:
“IGNITE”
意味:火をつける。
作曲デモ。
圧倒的クオリティ。
NEON側の英語ラップパート。
高速。
みらい、呆然。
「舌、回らん……」
アリアが笑う。
「We practice together.」
毎晩オンライン練習。
発音チェック。
ブレス位置。
リズムの取り方。
最初は全然合わん。
アリアが止める。
「You’re thinking too much.」
「でも間違えたら」
「We’re live monsters, remember?」
怪物。
そうやった。
みらい、目が変わる。
「じゃあ、ぶつかる」
数週間後。
MV撮影。
二大ユニット同画面。
コメント欄は既に戦場。
《NEON carrying》
《Mirai better emotional tone》
《Who’s the real center?》
比較、不可避。
撮影中盤。
問題発生。
サビ前の煽りパート。
どちらが先に入るか。
演出案が二転三転。
空気、微妙。
プロデューサーが迷う。
そのとき。
みらいが言う。
「アリア先で」
全員、見る。
「そのあと、うちが被せる」
アリア、目が細くなる。
「You sure?」
「うん」
一拍置いて。
「火種になりたいけん」
先に燃えるのはアリア。
でも。
その炎に油を注ぐ。
爆発を起こすのは、うち。
アリア、笑う。
「I like that.」
決定。
プレミア公開当日。
同接予測:120万。
開始5分前で80万突破。
チャット、英語と日本語が混ざる嵐。
カウントダウン。
3。
2。
1。
スタート。
映像、圧巻。
サビ前。
アリアの煽り。
完璧。
世界が震える。
0.5秒の間。
みらい、飛び込む。
英語ラップ。
今までで一番滑らか。
そして最後。
日本語で叫ぶ。
「燃え尽きるまで、走れ!!!」
二人の声が重なる。
爆発。
同接:1,240,000
ミリオン超え。
チャット崩壊。
《THIS IS HISTORY》
《RIVALS TO ALLIES》
《MIRAI LEVEL UP》
《ARIA X MIRAI IS INSANE》
トレンド世界1位。
登録者数:
Lumière:540,000突破。
みらい個人クリップ、海外拡散。
アリアからDM。
“Next time, you start the fire.”
みらい、スマホを握る。
レイが横で呟く。
「並んだな」
ルカが微笑む。
「でも」
画面を見つめる。
《Mirai overshadowing others?》
新しい火種。
内部バランス問題。
世界人気が、みらいに集中し始める。
ユニットの均衡。
崩れる?
みらいは静かに息を吐く。
「うち一人で勝つ気はない」
でも。
世界は“個”を求める。
次の試練は、外敵じゃない。
内側。




