表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ロジカマエストロ  作者: たぬきち


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/4

第3話「リムジンの売却」



 ──夜の湾岸、静まり返った路地。


 優雅はリムジンのエンジンを切り、静かに窓を開けた。

 渡辺が助手席で眉をひそめる。


「若様、本当に……売るのですか?」

「当然だ。金がなきゃ自由は買えない」


 優雅は車内の収納スペースを開け、車検証や鍵を取り出す。

 わずかに笑みを浮かべ、スマホで“高級車買い取り業者”に連絡した。


 数分後、黒いスーツの男が路地に現れた。

 目つきの鋭い男。

 “商売人”としての嗅覚が全開の雰囲気を放っている。


「西来路様、車の売却ですか……?」

「その通り。現金で、即金だ」

「このリムジン、普通じゃ考えられない価値ですが……」



 優雅が現金の受け取り準備をしていると、業者の男が少し挑発的な笑みを浮かべた。


「ふむ……西来路様、現金で即金はありがたいですが、

 この車、整備費や登録料を差し引かせてもらいますよ」


 渡辺が眉をひそめる。

「若様……」


 だが、優雅は微動だにせず、冷静に言い放つ。


「整備費や登録料? こちらは一度も依頼していない。契約書もなし。

 法律上、追加請求は契約不成立だ」


 業者は軽く笑って返す。

「しかし、価値の高い車です。手間賃として差し引かせてもらうのは当然では?」


 優雅は体を少し傾け、鋭い目で男を見つめる。

 論理の刃をひとつずつ突きつけるように話す。


「“価値の高さ”は当方の事情だ。お前の事情は関係ない。

 契約とは双方の同意で成立するもので、勝手な差し引きは詐欺行為だ」

「さらに……」

 優雅はスマホで関連する法令を即座に表示した。

「風営法、民法第95条“錯誤による契約取消”も適用可能。

 違法請求は全額返還+損害賠償の対象になる」


 業者の表情がみるみる変わる。

 額に冷や汗が滲み、声が小さくなる。


「……ま、待ってくれ……そんなつもりは……」

「つもりは関係ない。現金は全額、こちらに渡す。

 さもなくば警察に通報だ」


 業者は押し黙り、無言で札束を優雅に差し出した。


 渡辺が小さく息をつく。

「……若様、さすがです。まさに論理の勝利でございます」

「当たり前だ。論理さえあれば、世界は動かせる」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ