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第11話:『幻惑の月と陽キャの太陽』

ギルド中庭で平和なひとときを過ごしていたシンたち。

だが、そこに空気を読まないハイテンションな「太陽」トモヤと、寡黙な幻術使いの「月」ユウが現れる。


真逆のスキルを持つ二人の衝突により、中庭は幻覚と強制ダンスが入り乱れるカオス空間と化してしまう!

イベント疲れが見え始めたアークタロットの面々。


癒やしタイムと称してギルド中庭でのんびりと紅茶を飲み、筋肉のストレッチ(物理)に興じていたそのとき——


「光あれ〜〜〜ッ!」


爆音と共に空から何かが落下した。

スモーク、閃光、そして爆音と共に着地したのは、巨大なDJブース。背後には常時回転するミラーボールと光のラインが描かれている。


そこにノリノリで登場したのは、タロット“太陽”適合者・陽田トモヤ。

金髪サングラス、オーバーサイズのジャケットを翻し、常にハイテンション。


「おまえらァ〜〜! 今日はテンションぶち上げていくぞォォッ!!」


「えっ、なんか来た!?」「またイベント?」「いやむしろ災害級だこれ!」と騒ぐギルドメンバー。


一方、会場の片隅の木陰。

そこでフードを深くかぶった人物が、まるで日差しに嫌悪するようにゆっくりと立ち上がった。


「……光って、あんまり好きじゃないな」


タロット“月”適合者・月代ユウ。


無表情のまま、指をすっと振る。

次の瞬間、空気が歪み、場全体に冷たい靄と幻影が立ちこめていく。


《スキル発動:“夢喰の揺光”》

《効果:敵味方全員に幻惑状態を付与/ランダム思考干渉/自己内面投影》


「ぎゃあああ!? 昔のSNSポストが頭に流れてきた!」

「やだ! 俺の小学生時代のポエム音読しないで!」


同時に、


《スキル発動:“ラディアンス・ビート”》

《効果:全域にテンションブースト&身体強制ダンス/判断力低下》


「アアアアア勝手に身体がノってしまう〜〜〜ッ!!」

「なんだこれ、カラダがラテン語で踊ってる!?」


トモヤがマイクで叫ぶ。「ダンスは全てを超越する! 脳内BGMは魂の爆発だッ!!」


一方ユウは、淡々とフードを整えながら小さくつぶやいた。「混沌は、静かに訪れるものさ」


ギルド中庭は、幻惑と光明、沈黙と爆音、冷気と熱狂が交錯する、五感すべてがバグる異空間と化した。


レイは頭を抱え、「どっちにもツッコミが間に合わない……」と呟き、ミツルは「これぞ幻想の再誕……」とニヤリ。カエデの筋肉は勝手にリズムに合わせて躍動していた。


NPCたちは光の幻に巻き込まれ、ブレイクダンスを披露した後に幻覚で“自分が風”になる。


「トモヤ止めて! このままじゃNPCが踊りながら壁に突っ込む!」「いやそれたぶんもう突っ込んでる!」


「それもまた運命……ってことで……いいんじゃない?」(ユウ)

「盛り上がってるなら結果オーライでしょ☆」(トモヤ)


シンは一人、空を見上げながら嘆いた。

「……俺たち、何をやってるんだっけ……」


最終的に、

NPC・プレイヤー・オブジェクト全員が幻覚とダンスのコンボで行動不能となり、イベントは“満場一致のカオス”で終幕を迎えた。


ブースは自動で空に引き上げられ、月光の中でユウは消え、太陽の余韻だけが空に残る。


その後しばらく、ギルドの広場では誰も自分の黒歴史に触れたがらなくなったという。

登場キャラクター紹介(第11話時点)


◆ 陽田トモヤ(太陽)

ノリと勢いで世界を明るくする陽キャ代表。パリピ風だが意外と計算型スキル持ち。"テンションブースト"によるバフ効果と強制ダンスが特技。空気を読むのは苦手。


◆ 月代ユウ(月)

寡黙な幻術使い。幻影と幻聴を駆使し、相手の精神をじわじわと崩すスキル構成。イベントの場を“静かな混沌”に変えるのが趣味。


◆ 御神楽シン(愚者)

ギルドの中心人物(というか被害者枠)。今回も巻き込まれただけなのに幻覚とダンスの両方を浴び、魂が抜けた。



ハイテンションな「太陽」トモヤと、静かなる「月」ユウの、真逆のスキルによる混沌はいかがでしたか?

五感をバグらせるスキルは、もはやギャグの領域を超えていますね!


次回は、過去の記憶を読み取る「審判」のタロット、真壁レンが登場。

彼のスキルが、メンバーたちの黒歴史を暴き出す……!?


次回、『過去を裁く審判』、お楽しみに!

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