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この【幸運】スキル、認めません!

 私の名前はアリア・フォン・クライナー。

 特に目立った領地も財産もない、しがない弱小貴族の家に生まれた、ごく普通の娘だ。

 そう、あの日までは。


 五歳になった春、すべての貴族の子弟が受けるスキル鑑定の儀。

 そこで、私の運命は大きく動き出した。


「おお……!これは……なんと素晴らしい!」


 教会の神官様が、水晶に手をかざしたまま驚きの声を上げる。

 何事かと見上げる私と両親に、彼は興奮した面持ちで告げた。



「アリア嬢のスキルは【幸運EX】です! 伝説級の超希少スキル、それも最高ランクのEX! これはまさに神の御子!」


「まあ!」

「おお、アリア!」


 両親は手を取り合って大喜びだ。

 お父様は「これでクライナー家も安泰だ!」と涙ぐむ。

 お母様は「なんて幸運な子なんでしょう!」と私を強く抱きしめた。

 よく分からないけれど、すごいことらしい。

 みんなが喜んでいるのが嬉しい。

 私も一緒になって「やったー!」と無邪気に笑った。


 ……そう、この時の私はまだ知らなかったのだ。

 この【幸運EX】というスキルが、私の人生にどれほど暗い影を落とすことになるのかを。



◇◇◇◇


 それから三年。

 八歳になった私は、初等学校に入学した。

 お父様が「これからの時代、貴族令嬢も自分の身は自分で守らねばならん」と言って、私は護身術として剣術道場に通うことになった。

 幸い、私には剣の才能が少しだけあったらしい。

 毎日、真面目に素振りをし、稽古に励むうちに、少しずつ上達していくのが楽しかった。


 ――そして、事件は起きた。

 クラスメイトで、騎士爵家の息子であるカイン君との模擬試合でのことだ。

 彼は私より体格も良く、いつも威張っている男の子だった。

 けれど、私は稽古の成果を発揮して、見事な一本勝ちを収めた。


「やったー!」


 審判の声に、私は思わず拳を握って喜んだ。

 努力が実を結んだ瞬間だった。

 ところが――防具を外したカイン君は吐き捨てるようにこう言ったのだ。


「ふんっ! お前は【幸運スキル】を持っているんだろう! ただ運が良かっただけじゃないか!」


 ……え?


 その瞬間、私の頭は真っ白になった。

 今、彼はなんて言った?

 運が良かった?

 私が毎日、手に豆を作りながら頑張ってきたこの勝利を、たった一言で?


 周りを見渡せば、他の子たちも囁き合っている。


「ああ、そういえばアリアって幸運スキル持ちだっけ」

「じゃあ、今の勝利もスキルのおかげか」


 ――ガクン。


 世界が揺らぐような衝撃だった。


 私の努力は?

 私の頑張りは?

 これから先、私が何かを成し遂げるたびに、すべて「運が良かったね」で片付けられてしまうというの?



 ――そんなの、絶対に嫌だ。

 私の努力を、スキルなんかのせいだなんて言わせてたまるものか!


(……分かったわ)


 心の奥深くで、何かがぷつりと切れる音がした。


(私の成功を【幸運スキル】のせいだと言うのなら……)



(誰も『運』だなんて口が裂けても言えないくらい、完膚なきまでの、圧倒的な実力差を見せつければいいじゃない!!)



 その日を境に、私の生活は一変した。


 食事と睡眠、そして最低限の学業。

 それ以外の時間は、すべて剣術の鍛錬に費やすことに決めたのだ。

 一日の鍛錬時間は、十八時間。

 夜明け前に起き出して素振りを始める。

 日が暮れても走り込み、重りをつけたまま型を繰り返す。

 常軌を逸した生活に、両親は泣いて私を止めようとした。


「アリア、もうやめておくれ! お前の体はそんな無茶をするためにあるんじゃないんだ!」

「お願いします、アリア! お母様は、あなたが健康でいてくれさえすればそれで……!」


 しかし、私の決意は揺るがない。


「嫌です、お父様、お母様! 私は……私は『運がいいだけの女』で終わりたくないんです!」


 ガンギマリの目でそう訴える娘に、両親は何も言えなくなった。


 道場では、私が段位を上げるたびに、やっかみを言う上級生が現れた。


「ちっ、また勝ったのか。本当に運のいい奴だな!」


 その言葉を聞くたびに、私の鍛錬メニューはさらに過酷なものへと追加更新されていく。

 倒れても、倒れても、私は立ち上がって剣を振るい続けた。


 そして、五年後。

 十三歳になった私は、道場の師範代と対峙していた。

 熊のような大男で、王国でも名の知れた剣士である師範代。

 私はそんな彼を相手に、目隠しをし、左手一本に握った木刀だけであしらっていた。


「ぬんっ! おおぉりゃあああ!」


 師範代の渾身の打ち込みを、私は最小限の動きで受け流し、ひらりとかわす。

 そして、彼の体勢が崩れた一瞬の隙を突き、首筋にそっと木刀の切っ先を添えた。


「……参った」


 師範代が、がっくりと膝をつく。

 目隠しを外すと、道場にいる誰もが、静まり返って私を見ていた。


 その瞳に、もう「運がいいな」という揶揄の色はない。

 代わりにあったのは、畏怖。

 そう、まるで人間ではない何か、理解不能な怪物を見るような目だった。

 みんな、完全にドン引きしていた。



 ――まあ、いいわ。


 今の私は、重さ五百キロの大岩を片手で軽々と持ち上げ、百メートルを二秒で走り抜ける。

 もはや私が人間かどうかは些細な問題だ。

 大事なことはただ一つ。

 これで誰も、私の剣の腕を『運』だなんて言わなくなったこと。

 私は、私の努力で強くなったのだから。


◇◇◇◇



 剣術道場で『怪物』と呼ばれるようになった私。

 そのまま無事に初等学校を卒業し、中等部に進学した。

 新たな環境、新たな学び。

 特に私が心待ちにしていたのは、中等部から始まる魔法の授業だった。


(魔法……! なんて素敵な響きかしら!)


 剣とは違う、神秘の力。

 新しい世界に、私の心は久しぶりに浮き立っていた。

 そして、最初の魔法実技の授業。

 課題は、指先に小さな火の玉を作り出すという初級魔法『プチフレア』。


「イメージするのです。マナを指先に集中させ、燃え上がれと念じる……」


 先生の言葉に従い、私はそっと目を閉じて集中する。

 体の中を流れる温かい力……マナを感じ、それを指先へと導く。

 ――燃え上がれ。


 ぽっ。


 目を開くと、私の人差し指の先に、可愛らしい小さな炎が灯っていた。


「成功だわ! 見てください、先生!」


 クラスで一番乗りの成功に、私は満面の笑みで先生に報告した。


「素晴らしい! クライナー嬢は筋がいいようですね!」


 先生も褒めてくれる。

 やっぱり努力は報われる。

 剣術で培った集中力が、魔法にも活きたのかもしれない。

 そんな喜びも束の間。

 私の背後から、冷ややかな声が聞こえてきた。


「あら、さすがは【幸運EX】の持ち主ですこと。運がいいわね」


 振り返ると、そこにいたのはルナリア嬢。

 代々有能な魔術師を輩出してきた名門公爵家の令嬢。

 クラス一の秀才と名高い女の子だ。

 彼女は私を見下すように鼻で笑っていた。



 …………え?


 まただ。

 また、この言葉。

 デジャヴのような衝撃に、私の思考は再びフリーズした。


(ま、魔法の……世界でも……!?)

(この幸運という名の呪いからは、逃れることはできないというの!?)


 剣術であれだけの結果を出しても、分野が変わればまたこれだ。

 私の成功は努力の成果ではなく、ただの『幸運』

 全身の血が沸騰するような怒りと、底なしの絶望が同時に押し寄せてくる。


(……やってやるわ)


 しかし、私はアリア・フォン・クライナー。

 この程度のことで心は折れない。


(剣術で証明したように、魔法でも証明して見せる!)



(誰もが『運』などという言葉を飲み込むしかない、絶対的な、神域の実力を手に入れてやるわ!)



 こうして、私の新たな地獄の鍛錬生活が幕を開けた。

 スケジュールはさらに過酷を極める。

 まず、維持のために剣の鍛錬を一日三時間。

 そして、新たに魔法の鍛錬を十四時間以上。

 残りの時間で食事、睡眠、学業を詰め込む。

 睡眠時間はおそらく一日一時間程度。


 もはや自分がいつ眠っているのかさえ、よく分からなくなっていた。

 目は常に爛々と輝き、隈は深くなる一方。

 廊下ですれ違った生徒が悲鳴を上げて逃げ出すこともしばしばだった。


 お父様とお母様は、もう泣き崩れていた。


「ああ、アリアがまた遠い世界へ……」

「誰か、誰かあの子を止めてくださいまし……」


 その悲痛な叫びも、ガンギマリの目で古代語魔法の文献を読み漁る私の耳には届かない。


 私は狂ったように魔法を習得していった。

 初級魔法から始まり、上級魔法、果ては禁呪に片足を突っ込むような古代語魔法まで。

 図書館の魔導書はすべて読破し、理論を頭に叩き込み、実践を繰り返す。

 庭で練習して、うっかり森の一部を消し炭にしてしまったことも一度や二度ではない。



 ――そして数年後。

 学校の特別演習で、私は五人の魔法教師と同時に戦うことになった。


「アリア嬢、手加減は無用だ。我々も本気で行かせてもらうぞ」

「はい。よろしくお願いいたします」


 私は静かに一礼し、そっと目を閉じた。

 開始の合図と共に、四方八方から凄まじい魔力の奔流が私に襲いかかる。

 炎の槍、氷の嵐、雷の裁き――。

 どれもが上級魔法に分類される、一撃必殺の威力を持つ魔法だ。


 しかし。

 私は無詠唱で、自らの周囲に多重の魔法障壁を展開する。

 すべての魔法は障壁に触れた瞬間、霧散していく。


「なっ!?」

「無詠唱でこのレベルの防御を!?」


 教師たちの驚愕の声が響く中、私は静かに、ほんの一瞬だけ唇を動かした。

 古代語による、拘束の呪文。

 次の瞬間、五人の教師たちの足元から、魔力の枷が突き出す。

 彼らの動きを完全に封じ込めた。


「……動けん!」

「ま、参りました……」


 勝負は一瞬で決した。

 私が目を開けると、演習場にいたすべての生徒と教師が、言葉を失って私を凝視していた。



 ――そうだ。

 剣術道場の時と同じ、あのドン引きの目だ。

 もう誰も、私の魔法を『運』が良いなんて言わない。

 代わりに『歩く戦略兵器』とか、物騒な二つ名で呼ばれるようになった。


 結構だわ。

 今の私が本気で詠唱すれば、目の前の山を一つ消し飛ばす。

 地図を書き換えることすら可能だろう。

 これでいい。

 これで、私の魔法は、私の血と汗と涙の結晶だと、誰もが認めざるを得ないのだから。


◇◇◇◇



 そんな狂気の学生生活も、終わりを迎えようとしていた卒業間近のある日。

 世界はにわかに騒がしくなった。

 大陸の北方に座する魔王が、突如として人類への侵攻を開始したというのだ。


 魔王軍の力は圧倒的で、国境の砦は次々と陥落。

 王都にまでその脅威が迫る中。

 ついに王国は勇者を立て、魔王討伐の勅命を下した。

 そして、当然のように、私の元にも王宮からの召集令状が届いた。


「魔王討伐……ですか」

「うむ。国が誇る『大魔導士』アリア・フォン・クライナー嬢の力を、ぜひとも貸してほしい」


(早く終わらせて、新しい複合魔法の鍛錬に戻りたいのだけれど……)


 そう思いつつも、王命とあっては断れない。

 こうして私は、魔王討伐パーティの一員として旅立つことになった。




 王城に集められたメンバーは、私を含めて四人。

 神々しい光を放つ聖剣を携えた、絵に描いたようにキラキラのイケメン勇者リオン様。

 岩のような筋肉を誇る、寡黙な戦士バルガスさん。

 慈愛に満ちた微笑みを浮かべる、聖女のような僧侶セラフィナさん。

 そして、私。


「皆、それぞれの力を合わせ、必ずや魔王を打ち倒そう! 世界に平和を取り戻すのだ!」


 勇者リオン様が拳を突き上げる。

 バルガスさんとセラフィナさんが力強く頷く。

 私は一人、早くも帰りたくなっていた。


 出発前、連携を確認するためと称して、模擬戦が行われることになった。

 対戦カードは、なぜか私一人対、他のメンバー全員。


「アリア嬢、君の実力は聞いている。遠慮なく来てくれ!」

「……では、お言葉に甘えて」


 勇者リオン様の聖剣技が閃光のように迫る。

 戦士バルガスさんの大斧が大地を割りながら振り下ろされる。

 僧侶セラフィナさんの聖なる光が私を縛ろうと降り注ぐ。


 三者三様の、見事な連携攻撃。


 しかし、私はそのすべてを指先一つで弾き、いなし、逸らす。

 一歩も動かずに全員を同時に地面に転がした。


「「「え……?」」」


 呆然とする三人の頭上から、心の声が聞こえてくるようだった。



(((もう、こいつ一人でいいんじゃないかな……)))



 魔王城への道中は、驚くほど平穏だった。

 オークの群れも、グリフォンの大群も。

 私が一瞥しただけで恐怖に駆られて逃げていく。


 私がただ道を歩くだけで、魔物たちは木々の陰に隠れて震えていた。

 旅は順調に進み、私たちはあっという間に魔王城へと到着した。


 城門を守っていたのは、伝説のエンシェントドラゴン。

 その巨大な竜が威嚇の咆哮を上げる前に、私はデコピン一発でその意識を刈り取った。


 城内に入ると、魔王直属の護衛騎士団や、魔王四天王が次々と私たちの前に立ちはだかった。


「我は四天王最強の炎獄将軍フレイザー! 我が炎で骨も残さず――」

「ぐぉっ!?」


 ――長ったらしい口上を聞くのが面倒だ。


 私は現れる敵を片っ端から殴り飛ばし、蹴り飛ばし、投げ飛ばして進んだ。

 勇者様たちは、私の後ろをおずおずとついてくるだけだった。




 そして、玉座の間。

 禍々しい玉座には、漆黒の鎧に身を包んだ一人の男が座っていた。

 兜の隙間から覗く瞳は鋭い。

 全身から凄まじい魔力を放っている。


 彼が魔王に違いない。

 意外にも、その素顔は整った、線の細いイケメンだった。


「よくぞ来たな、勇者一行よ! 我が名は魔王ゼノ・ヴォルディアック! この世界を統べる者なり! ひれ伏すが――」


私は、魔王の自己紹介が終わるのを待たずに、床を蹴って突進した。


「なっ!? ぶ、無礼な!」


 慌てた魔王が、即座に最大級の闇魔法『ダークネス・エンド』を放つ。

 玉座の間そのものを消滅させかねないほどの、絶大な破壊の奔流。

 しかし、私はその黒い魔力の塊を、こともなげに素手でわし掴む。

 そして、ぐしゃりと握りつぶした。

 もちろんレジスト済みだ。


「ば、馬鹿な!? 我が究極魔法を素手で……!?」


 驚愕に目を見開く魔王の喉元を左手で掴みあげ、そのまま玉座の背後の壁に叩きつける。


「進軍を止めなさい。今すぐに」


 ミシミシと壁に亀裂が走る。

 苦し気に顔を歪める魔王。


「ぐっ……! わ、分かった……! こ、降参だ! だから……その……」


 なぜか、魔王の顔がみるみる赤く染まっていく。


「お、お前に……一目惚れした! 俺の妃になってくれ!」


「…………へ?」



 ――きゅん。


 生まれてこの方、鍛錬以外のことに興味を持ったことのない私。

 もちろん恋愛経験など皆無。

 人生で初めての、まさかの告白。

 しかも敵である魔王から。

 私の頭は完全にショートし、心臓がどきりと音を立てた。


 その時だった。


「待て、アリア! そんな奴の言葉に騙されるな!」


 勇者リオン様が、慌てて私と魔王の間に割って入る。


「それに……! 俺も、この旅が終わったら、お前に求婚しようと思っていたんだ!」


「ええっ!?」


 イケメン勇者からの、まさかの追い告白。

 最強の魔王と、正義の勇者。

 二人のイケメンからのダブルプロポーズに、私の処理能力は完全に限界を超えた。

 私はただ、顔を真っ赤にして固まることしかできなかった。


◇◇◇◇



 結局、魔王ゼノ様は進軍の停止と平和条約の締結を約束。

 討伐隊は目的を達成して王都へ帰還することになった。

 ただ一つ、予定外だったのは。


「アリア、妃になってくれるなら、私は人間界に永住しても構わんぞ」

「アリアは俺と国に帰るんだ! 魔王は魔界に帰れ!」


 私の右腕を元・魔王のゼノ様。

 左腕を勇者のリオン様。


 彼らが私をがっちりと掴んで離さない。

 二人のイケメンに両脇を固められ、私はどうしていいか分からない。

 ただただ顔を赤らめて俯くばかり。


(ど、どうしよう……こんなの、初めて……)


 どこかの恋愛小説の主人公にでもなったみたいだ。

 心臓が、今まで感じたことのない速さでドキドキと高鳴っている。

 私のあまりの変貌ぶりに、後ろの戦士バルガスさんは呆れ顔で天を仰ぐ。


 そんな和やか(?)な雰囲気の中。

 僧侶のセラフィナさんが、はにかみながら私に話しかけてきた。


「アリアさんって、本当にすごいですね……。あんなに強くて、お美しいのに、こんなに素敵な方たちに一度に言い寄られるなんて……」


 彼女はうっとりとした表情で、こう続けた。




「とっても、運がいい子なのね……」




 ――ピキッ。


 その瞬間、私の動きが止まった。

 ドキドキと甘い音を立てていた心臓が、ゴゴゴゴゴ……と地鳴りのような不穏な鼓動に変わる。


(な……)

(なんですって……?)


 頭の中で、セラフィナさんの言葉が木霊する。


 ――運がいい子ね。

 ――運が、いい……


(う、う、う…………運が、いい、だとぉ!?)


 私の脳内で、何かが焼き切れる音がした。



(この状況も!? 私が努力の果てに手に入れた圧倒的実力があったからこそ、この二人は私に惹かれたのではないの!?)

(それすらも! すべて私の【幸運EX】というスキルのせいだと、あなたは言うの!?)


 許さない。

 絶対に、許さない。

 私の努力の結晶であるこの状況を、『運』の一言で片付けられてたまるものか。


 私の瞳が、再びかつてのように、ガンギマリはじめる。


 私の尋常ならざる気配を察知したのか。

 腕を掴んでいたゼノ様とリオン様が「あ、アリア?」「どうしたんだ、急に……?」と戸惑いの声を上げた。




 ――こうしてアリアの新たな戦いの火蓋は切られた。

 果たしてアリアは、完璧な淑女となるべく、美貌と知性と教養を極めるための、新たなる自分磨きの修羅の道へと旅立つのか。

 それとも、とりあえず目の前のイケメン二人との奇妙で甘い三角関係を、存分に楽しんでみるのか。


 それはまだ、誰にも分からない未来の物語……

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