EPISODE10、激アツイベント
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「うぇっくしょいッ!!」
わたしは盛大にくしゃみをする。
鼻水が垂れ、みっともない表情になる。
…風邪か?
ふっ、誰かが噂でもしてるんかね?
「ユイリ様、みっともない表情してないで続きしますよ」
現実で指摘されるとムッとしたくなるけど、アリハナちゃんに言われると、ある意味ご褒美かもしれない。
「続き続き〜。って言ったってこれ以上、何か聞けるの?」
「まだ隠してるかもしれませんよ?」
今、眼前に広がるのは転生者の逆さ吊りの光景だ。
そして、わたしがドン引きするくらいの拷問を繰り広げている。
「知ってる事は全部話したっ!頼む!殺さないで!」
すると、アリハナちゃんは容赦なく、空中に作り出した水の中に顔を突っ込ませる。
見てるこっちが苦しそう…。
「ゴポッ…ケッコ...プアハッ!!」
この転生者も、ある意味運がない。
四天王の炭田が負けた事を聞いて、掛かって来たものの、能力をお披露目する前にアリハナちゃんの衝撃の逆流波で名乗る前に撃破されてしまった。
アリハナちゃんの不意討ちは見てて、えげつない。
呼吸するのと同じかっていうくらいに流れるように不意討ちをかます。
くらった相手にしてみれば、たまったもんじゃない。
「…?」
アリハナちゃんが視線の向き、遠くの茂みに移した。
「どうかした?」
わたしが尋ねる。
魔力感知をしてみると何も無い。
「こんだけ狙われてば、神経質に…」
わたしが和まそうとしたが、アリハナちゃんは向けた視線の先に向かって衝撃の逆流波を放つ。
地面を抉り飛ばし、また木々を薙ぎ倒して更地にする。
「どうやら…気のせいでしたね」
おいおーい。
この子の頭には、敵しかないのかなぁ?
まぁね、隠れ潜む敵がいるかもしれないけど、ここ山の中よ?
山菜採りの人かもしんないじゃん?
そんな事を思っていると、転生者は水没して意識を失っていた。
「これ以上、聞けそうにないね」
「ですね。どうします?一応、トドメ刺しますか?」
「殺さなくてもいいんじゃない?」
「また来ても面倒な気はしますが」
すっごくアリハナちゃんの言う通りなんだろうけど、違うんだよなぁ。
「そうなんだけどさ。多分、アリハナちゃんがやろうとしてる事はある意味正しいかもしんないけど…」
ここは異世界。
郷に入っては郷に従えなんて言葉もある。
追撃を防ぐには効果的だろう。
「多分、殺しちゃったら全員で掛かって来たりするかもよ」
仇討ち。
転生者の国っていうくらいだから、仲間意識はそれなりにあるだろうし、始末したら総出で来られら全滅は必至。
それだけは避けたい。
「それに…」
「それに?」
「仲間になるっていうイベントがあるかもしんないじゃん?」
わたしにとっては、激アツイベントだ。
敵だった奴が仲間になるって展開は好きなんだろうけど、アリハナちゃんはどういうわけか、それ以上何も追求して来なかった。
……何か言ってよ。
と、盛大にすべった気がする。




