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EPISODE6、これだから…

 結莉が元木と戦う最中、上空ではアリハナと元木の従者が対峙していた。


「久しぶりね、アリハナ。まさか、こんな所で再会するなんて思わなかったけど」


 と、肩くらいまである茶髪を靡かせた少女がアリハナへ向けて鋭い視線を送る。


 彼女の名は、ラス・ヘーベ。

 元木に仕える従者である。


 アリハナとは顔見知りなのだが。


「初対面…」

「…じゃないのよ。その物忘れの癖、何とかならない訳?」


 ラスは、アリハナがどういう性格か理解している。


「あたしの前じゃ、お得意の騙し撃ちは効かないわよ」


 ラスの言葉にアリハナは溜め息を零す。


「…はぁ。これだから知り合いは嫌なんです」


 初対面を突き通したいアリハナだったが、彼女もラスがどういう性格か知っている。


「会話の途中で、攻撃を仕掛けるのはアンタの常套手段。お陰で避ける事が出来たわ」

「なるほど、【衝撃の逆流波(アンパクト)】を回避したのは、貴女のお陰ですか」


 アリハナの不意討ちは、手の内を知っていないと出来ない芸当だ。


「【従者育成協会】で散々、見たからね」


 呆れた口調でラスは肩を竦める。


「それに、これくらいは出来てないと勝負にならないし」


【従者育成協会】は、従者を管轄する機関である。

 従者は個性を活かした戦闘技術を叩き込まれた者達で、協会から毎月支援金が支払われる。

 登録されている従者であれば、誰であろうと雇う事が可能だが、交渉額は当事者間で決めるため、優秀な従者ほど値が張る。


 そして、従者達の価値を決めるのが…。


「アンタを倒す為には…ね」


 ーー序列である。


 従者には3桁までの序列があり、1桁であるほど支援金が増えるだけでなく、己の価値を示す手段である。


「欲しいのは、私の序列ですか」


 アリハナが首から下げている銀のペンダントを取り出してみせた。


【従者の証】は、従者の価値を示すもの。


 この証を奪われれば、決闘に敗北したものと判断される。


 序列を上げる方法は、2つあるとされる。


 協会は、この序列上げの方法に干渉はしない。

 協会にとって誰が序列に座っても関係ないからだ。


 1つ目は、他の従者を倒し従者の証を奪い、協会に提出する。

 自身よりも下の序列の従者であれば、それなりの数を求められるが、自分よりも上であれば、1人倒せば昇格が確約される。

 殺されても文句は言えないのだ。


 2つ目は、従者昇格試験で勝ち抜く。

 毎年、開催される従者昇格試験で競い、協会の判定のもとで昇格降格の有無が決まる。

 そのため、毎年欠場者が出る。


 それほどまでに昇格は醜いものだ。


「アンタを倒してあたしが…」


「そんなに欲しいなら、差し上げますよ」


 ラスの言葉を遮るように、アリハナは従者の証を差し出して来た。


「なん…」


「どうやら勝敗は決したようですし、争う理由はありません。これ以上は時間の無駄なので」


 2人が会話している中、結莉の勝利を見届け、アリハナは彼女との戦いは不毛と判断した。


「憐れみのつもり?」


「いいえ。私にとって、これは命を賭けるほど大切なものではないというだけです」


「…やっぱりね、アンタはそういう人間だわ。あたしらが命を賭けている事をゴミみたいに…

 !」


 ラスは激情に駆られている。

 従者にとって序列は存在価値なようなもの。


 アリハナが口にした事は、従者である存在価値を否定していることになる。


「それを受け取るには条件があるわ」

「条件?金ですか」


「ーーアンタの命よ」


 ラスは魔力を展開し、敵意を剥き出しにする。


「命を差し出すつもりはないので、決闘…受けて立ちます」


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