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チュートリアル。

チート能力で異世界無双を夢見るオタク女子が、念願の異世界へ?

ゲームをやっていて楽しいと実感出来るのは圧倒的優越感だ。


ゲームはいいものだ。


アクション、RPG、オープンワールドetc。


自分に無いものを体現出来る。


ゲームの中では特別な存在なのだ。


レベル上げ、アイテム収集やり込み要素も1つの楽しみだ。


ゲームと同じように、最近ハマっているのは、転生モノの漫画や小説だ。


特に自分がやり込んだゲームの世界に飛び込めるならそこで一生を終えるのも悪くはない。


転生か…。


チート級の圧倒的力で無双できれば爽快なんだろうな。


◇◆◇◆


まぁ。

来ちゃったんだよねぇ異世界。


夢の異世界に。


胸躍るよねぇ。滾るよねぇ。


頼れる仲間と!

未知の冒険が!


わたしを待っているのだっ!!


今、何をしているかって?


ーー使命とか関係なく辺境で暮らしてます。


始めは大国を治める教会の方々に歓迎されたよ。


「転生者様だ!!」

「世界をお救い下さいっ!!」


神でも崇めるみたいに。


こりゃあ、やるっきゃねぇぜ!


救うぜ世界、魔王でも倒しちゃるぜいってさ。


息巻いてたけど、他にも全然居たんだよね。


わたしの他に転生者がさ。


もうバーゲンセールかよってくらいに。


転生者がチート級に強いから世界でも特別な存在になる訳じゃん?

ならないじゃん?


転生者は特権で【女神の加護(デーア・ギフト)】を授かって一騎当千、チート能力を発揮するらしい。


ところがどっこい。


わたしには何も無しときた。


やってられるかってね!


だけど、こういう世界ってゲームや漫画だとレベルカンストするくらい強くなってチート能力を凌駕するって展開になる。


「ちなみにレベルはあるんですか!?」


わたしは希望を胸に教会の方々に聞くと、返って来たのは「レベル?」「何だそれは?」という希望を打ち砕く回答だった。


もう詰みだよねぇ。


【レベルカンスト】してチート能力を凌駕する展開は期待出来ない。


「それと…。女神の加護(デーア・ギフト)?って後から授かったりするんですかね?」


この質問がわたしの行く末を決めた。


「何?女神の加護(デーア・ギフト)を授かってないのか?」


さっきまでの羨望の眼差しはどこに行ったのやら、汚物を見るような蔑むような目を向けて来た。


「転生者様は、この世界へ導かれる時に女神様から直々に付与されるものだが…」


雲行きが怪しくなってきた。


「女神様?会ってませんけど?」


で、この一言でお払い箱になったてわけ。


たまたま辿り着いたのが辺境ってだけ。


まぁ…生活には困ってないけどさ。


◇◆◇◆


わたしの名前は、白崎結莉(しろさき ゆいり)

生まれは片田舎で高校入学と同時に上京。


憧れの都会で順風満帆な高校生活が待っているはずだった。


4月7日が入学式。


そして、ダウンロード予約をすっかり忘れていたわたしは4月5日に気付いた。


18年振りに新作が出ると話題沸騰の大人気オープンワールドゲーム。


ポコポコクエスト。


通称【ポコクエ】。


このゲームは、魔王を倒すというシンプルな目標なのだが寄り道要素が多い。

マップに散りばめられたダンジョンにサブクエストがプレイヤーを待ち受ける。


18年の時を超え追加された要素。


それはオンライン接続によるPVP。

対人戦がある。


オンライン接続時になれば、他プレイヤーからの脅威に晒されながら攻略していく事となる。


発売同時にやらないと気が済まないわたしは、4月7日の午前0時と共に開始した。


大丈夫、徹夜は慣れっこだ。

午前2時までに終わらせれば5時間は寝れる。


自分に言い聞かせながら【ポコクエ】を起動し、軽快な音楽と共にゲームを進めた。


キャラメイク…か。


キャラメイクというのは決められた様々なパーツや数値を弄って自分好みのキャラを作り上げるというもの。


わたしが作るキャラは決まっている。


とにかく厳ついゴリラみたいな屈強なおっさんである。


名前入力は…適当でいいか。


外人プロレスラーのような見た目で攻略を始めた。


今のわたしにはオンライン環境がある。


当然、追加された要素を楽しむしかない。


しかし、ダンジョンをクリアしても他のプレイヤーに待ち伏せされ襲撃を受け報酬アイテムを剥ぎ取られる。


「ちっ」


これで6回目だ。


最早、プレイヤーがちょっとした盗賊団だ。

しかも、所持品、装備品全てを根こそぎ持って行きやがる。

【始まりの街】を出て袋叩きだ。


ダンジョン攻略は地味に長いし、苦労して手に入れたアイテムも一瞬の内に徒党を組まれて水泡と帰してしまう。


今のところ遭遇したプレイヤーはロリっ子ばかり。


絵面的に美少女に討伐されるオークを味わっている気分だ。


わたしは燃えた。


時間を忘れるほどに…。

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