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悪花狂乱  作者: 謙作
第三章 お飾り媛と無愛想騎士

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お飾り媛の苦悩


 「…なるほどね、今回の相手は随分とイレギュラーだったわけね。」


 カナンの報告を一通り聞いて、アイシャは軽くため息をついた。


 ≪悪の結社≫という防衛組織を作ってから、日々強まっていってた≪異形≫達の力が弱まりはしないものの、ある一定以上強くなるといった現象はなくなったと思ったが。

 「ここからヤツらを押さえながら調査を本格的に進めたかったのだけど…。」

 静かに悩み始めるアイシャに同情はしたが、特にいい案があるわけでもないしなとカナンは沈黙を決め込む。


 今回の、カナンの呼称する蔦野郎、もとい、樹木を模した≪異形≫の件は報告を聞いた限り今までのモノとは大きく違った。


 一つは精神を干渉する事。

 カナンは他の≪異形≫にもあるのかもしれないと言っていたが、他のメンバーも長時間の接触が無かったわけではない。

 しかし、現場の人間は勿論の事、状況把握担当の人間からもそういった状況の報告はなかった。


 もう一つは異常な程の耐久力と成長。

 ここ十数年の結果しかないが、≪異能≫での攻撃でダメージを受けた≪異形≫の大半は弱体化し、即時回復する事などなかった。

 カナンからの報告だと触手らしい部分が消し飛ばされたり、切断されたにも関わらず、直ぐに再生し、急激に強力な存在になった。


 今回の件が特殊なのか、今まで現れなかっただけで他にもいるのか、新たに生まれでてきたのか、見当もつかないのが現実だ。


 ―― 情報が足りなすぎるわ。本当にあの化け物どもはなんなのよッ!?――

 アイシャは表面ではすまし顔で観劇している風に装いながら心では地団駄踏んで罵る。


 公国のみならず他国の歴史の書物を調べさせたけれど≪異形≫の出没などに関わる話が出てこない。

 もしかしたら存在してたかもしれないが、かの世界混迷の最中に反乱等が起きた際に焼失した、なんて事もあり得る。


 教会などに確認してみたが、邪悪な存在ですが、主を信ずれば必ず道は拓けますなどと何の説得力もない教示しか返ってこなかった。


 今こそ公国内で団結すべきだというのに、一部の貴族は≪異形≫の被害に合っていないからか、権力争いに勤しむ始末。

 これらが大きくなれば宗主国の有力貴族が嘴を挟んでくるだろう。



 この異常事態が歴史上初めての事だとしたらどう解決すべきかの道筋が全くといっていい程見えてこない。

 明るく振る舞っては見せているが、アイシャはかなり追い詰められていた。


 ―― 情報が足りなければ人手も足りなすぎるッ!――


 ≪異形≫という謎の存在の調査。

 世界混迷の後遺症が残る中で権力闘争を図る貴族達、及び彼らの背後に立つ教会の重鎮達への牽制。

 公国内の治安や景気の早期回復。

 宗主国からの政治干渉の阻止。

 為さねばならない事が、枚挙にいとまがない。


 内政に関しては信の置ける者や代々の忠臣達に任せているが、その時点で手一杯だ。

 ≪異形≫やそれらに関しての調査は国外にまで広げるべきではあるが……。


 ―― カナンくんに任せたいとは思うけどね……。 ――


 能力面に置いてはこの上なく信用している。

 ≪異形≫相手には火力不足ではあるが、それを補う技量と純粋な戦闘能力が高く、観察力も優れている。

 しかし、信頼出来るかと言われたら彼の経歴上難しいというのがアイシャの本音だ。

 カナンからしてみればお互い様だといったところだろう。

 他の≪異能≫持ちの面々に考えを巡らしてみるが、信頼出来る者は抜けたらその穴を塞ぐことが難しい。


 「……はぁ、どこかで強くて賢くて一途なナイスガイが私に尽くしてくれないかしら。」

 「憂い顔でそのようなふしだらな発言はお慎み下さい。」


 ため息をつきつつぼやくアイシャに、呆れた様子でフジが忠言した。


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