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悪花狂乱  作者: 謙作
第二章 輝き照らす 正義の光 

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蔦の≪魔のモノ≫ ツタモン暴れる


 大鎌を構えているラナンキュラスを軽く見上げ、その手前にいる蔦の≪魔のモノ≫を交互に見る。


 ―― どうする? ――


 近くにいる蔦の≪魔のモノ≫………めんどくさい、ツタモンでいいや。

 ツタモンから攻撃しようか、いや、そうしたらラナンキュラスがかかってくるかも…、向かってくるのを待つ?でもこちらから仕掛けなきゃ一辺に来るかも。

…そうなったらマズいし。


 私はまだ経験がないからこういう時どう対応すればいいか判断が難しい。

 本当なら他にもこちらに出向いてくれる人がいたけど、別の場所にも≪魔のモノ≫が出没する予言があったらしい。

 こちらの方がまだ危険度が少ないとかで私が来ることになったけど……。


 ―― まだ一人でお勤めを果たしたことないんだよね……。――


 そんな不安を悟られるわけにはいかないと、私は堂々と杖を構え直すと、ラナンキュラスは何故だか急に構えを解くと、


 「フム、このままソレと二人がかりならぬ、一人と一頭がかりでは芸はないか。まずはお手並み拝見。」

 ゆるりと余裕綽々に大鎌を肩に担ぎ、後ろにある大岩に寄っ掛かる。


 ―― ム~カ~つ~く~ッ!!――


 正直助かったんだけど、でもめっちゃクチャナメられてる感じでスッゴい腹立つ~!

 「相変わらず腹のたつ男!!こいつブチのめしたら速攻であんたもブチのめしてやる!!!」

 そう怒鳴ってやったら、


 「単純なヤツだな。」

 ボソッとラナンキュラスは小さな声で馬鹿にしたように呟いた。


 「だ・れ・が、単純バカだ―――ッ!!!」


 コイツ絶対ブチのめす!!



 とりあえずツタモンを倒すべく、私は杖を握り込み、≪奇跡≫の能力を行使する。

 ―― 大丈夫、ちゃんと毎日練習したし。――


 『光よ――』


 能力を行使するための聖句(せいく)を唱えながら意識を向ける。

 これは神の力を借りるための呪文で、神に感謝の念を捧げ、能力を神に代わって使わせてもらう為に必要な儀式だと教えてもらった。

 力を借りてるっていう感覚が今一つ感じないんだけど…。


 それでも杖の先端に光が灯ったから多分そうなんだろうと納得させ、私はツタモンに向かって杖を振り下ろした。


 ―― うん!効いてる!! ――


 ツタモンはそのウネウネした蔦で身を守ろうとするけど、光を宿した杖がぶつかる度にボロボロと崩れていく。


 ―― 大丈夫、イケる!! ――


 更に追撃をと杖を下から振り上げようとした、その時―――

 ボロボロに朽ちた筈の蔦が目の前で再生した。

 「……――え?」

 

 何もなかったかのように元の姿へ戻ったツタモン。

 その蔦が大きくうねりこちらへ向かってきた。

 咄嗟に杖で身を守れたけど蔦は更に激しく私に向かってまるで鞭のように振るってくる。

 『ひ…光の守護よ――』

 合ってるかどうかすらわからない聖句を唱え、壁をイメージする。

 多分合ってたんだろう、光の壁が盾となって蔦の鞭のような攻撃をなんとか遮った。



 あれからどれだけ時間が経ったのだろう。

 多分そんなに経っていないと思うけど、もう何時間もこうしてるように感じる。

 攻撃をしても蔦が崩れるだけで、本体までダメージが届いていないみたいだ。

 攻撃の手を緩めたらあちらから攻撃してくる。


 ―― まだ後ろにラナンキュラスがいるのに ――


 このままじゃ埒が明かない。

 「――ッいい加減諦めて攻撃を喰らえ!」

 私は大技を繰り出す為に大きく後ろに跳び退った。


 『清浄なる光よ――』


 杖に光を集める事を意識しながらツタモンを睨み付ける。


 「え――――?」


 ――ドゴォオォ―ッ―――

 

 いきなりそんな大きな音が鳴り響き、砂埃が舞い上がって、視界が遮られる。

 「な、何?」


 目に砂が入らないように腕で顔を庇い、なんとか目の前の敵を確認したら、ツタモンの姿が消えていた。

 慌てて辺りを見回して探してみるけど、何処にもいない。


 ―― 一体、何処に…… ――


 ゾワリと背筋に寒気が走った。

 第六感っていうモノかもしれない。

 自分の勘に従って、反射的に私は振り向いた。

 「――ッ!? 」


 目の前にはツタモンの蔦の鞭が迫っていた。

 ―― ダメだ!防げないッ!!――


 思わずギュッと目を閉じる。


 しかし、いつまで経っても衝撃が襲ってこない。



 「戦いの最中に昼寝とは、…呑気な正義の味方ヒーロー様だ。」


 皮肉っぽい口調が至近距離で聞こえてきて慌てて目を見開けば―――



 黒いマントを翻したラナンキュラスの広い背中がそこにはあった―――


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