3-26 絶望1
「狗くぅ〜ん? 僕を無視してどこに行こうっていうんだーい?」
肩に手を置いた人物は他でもない。神様だった。畜生、バレてたか!
「そりゃ来た時点でバレてたよ〜、僕神様だぜ? 君達ゴミカスの位置把握くらい難なくできるさ。」
「思考も読めるしな。」
「いや、今は思考読むのやめてるよ。だってどう来るか分かったらつまんないじゃん! 君は単に顔に出過ぎなだけ!」
おいおい、俺ってそんなわかりやすいか? わかりやすいにしても仮面着けてるんだぞ、洞察力がなきゃできない……って相手は神様だ。ステータス的に言うならオールカンストくらいしててもおかしくないよな。
「さてさて〜? 不幸にも僕に会った哀れな子羊ちゃん? 今、君が取れる行動は二つだ。」
ニチャア、と黒い笑みを携え神様は続ける。
「一つは今すぐ命を諦めて、復活を待つ道だ。諦めるのはつまらないけど、時間の無駄をしたくないからね。一撃で殺してあげるよ。」
随分と優しいことで。それで? 大本命の2番は?
「二つ、僕に全力で抗って本拠地に逃げ込むことだ。さあどうする? 好きな道を選びなよ?」
クックックッ、と笑いながら神様は猶予をくれる。そんなもん一つしかないだろ……!
「くっ……! 『色』っ!!」
諦めて死ぬなんてあり得ない! 全力で抗って逃げおおせてやるよ! 俺を舐めきっている今しかチャンスはない。全力を持って逃げてやる!
「クハハっ! いいねぇ、やっぱり狗くんはそう出るよねぇ! 楽しい楽しい鬼ごっこの始まりだぁ!!」
ーー地獄のような鬼ごっこが始まった。
ーー後にも先にも、これほど肝が冷えたことはない。
(まずは……距離を離す!!)
仲間への通信をONにしつつ、全力で空を駆け、ビルの隙間を抜けていく。遮るものがない空中高くは不安要素しかない。ここはビルの間を全力で抜けるのが吉……!
「狗くんは大層『色』を過信してるみたいだけど……。」
ーーパチンっ!
神様が指を鳴らすと、建物の隙間に炎が張り巡らされる。たまらずビルの屋上方面へ向かう。
「はい、一本釣り! 『空間制御』!」
逃げ延びた先で、見えない壁に激突する。これが神様のもう一つの技か……!
「クッソ! 『鎌鼬』っ!」
突破しようと鎌鼬を放つも……無傷。見えない壁は壊れる気配がない。厚みは大してないのか、ガラスを叩いた時のような音が響く。
「ハハハっ! 無駄無駄ぁ〜! そんなちゃっちい攻撃じゃ破れないよ〜ん!」
「クソがっ!!」
俺の位置は神様にバレていて、『色』は意味を成さない。一旦解除をし、その分の力を防御に割く。
「おお? どうするつもりだい?」
「こうするんだよ! 『絶破』!!」
見えない壁に手を付き、絶破を発動する。今、この見えない壁と手の間は真空になり、密着状態だ。これがダメならあとはヤケクソだっ!!
壁とくっついた手を強引に引っ張る。すると壁はビキビキ、という音を立てながら徐々に壊れ始める。
ーービキビキビキッ!!
「うっわぁ〜、狗くんたら大胆だねぇ〜。で・も。それを僕が大人しく見てーー」
「『空』っ!!」
会話に返答している余裕も時間もない。話を無理矢理遮り、空を発動して神様を一時的に抑える。その隙になんとかこの壁を破壊しないと……!!
「おーおー、大盤振舞いだねぇ! それじゃ、僕も少し本気を見せてあげようかな……!」
ーーおいおい、冗談だろ?
ーーまだ力を隠してやがんのか?
「さーいくぜぇー! 『天弓』!!」
ヒュンっ! …と音がして通り過ぎたと思った時、俺の左で壁がグシャグシャに壊れる。通り過ぎた時にとてつもない熱を感じたことから、正確には『溶け落ちる』といったところだろうか。
「おいおいマジか……! 防御と近接だけじゃなくて遠距離まであんのかよ……⁉︎⁉︎」
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