3-19 紅狐とあーちゃん4
「『血ト狂暴』っ!!!!」
伯爵の声と共に、脇腹に鋭い痛みが走る。やられた。一先ずあーちゃんのそばに駆け寄り、ニュートンの囚われた炎陣と伯爵から距離を取る。
「ぐっ……!」
「く、紅狐さん! 大丈夫ですか!?」
「痛い、ヤバい。」
押さえていた脇腹をチラッと見てみると、斬り傷のような怪我ができており、血が滴っている。斬られたのか……。
「ふむ、獣耳のお嬢様の血の味は中々に美味。」
顔に付着したわたしの血を左手で擦り、ペロリと舐めてニチャアと笑う。ひぇ……。気持ち悪い……。
「うぇ、変態的。」
「おや、失礼な。私の食事をそう言われるのは心外ですね。」
「グオォォ!! 伯爵殿ぉおぉぉ!!」
「おや、忘れてました。『血ト狂暴』。」
伯爵が言い放つと、右手から赤黒い液体が現れて炎陣の一部を消し去る。そこからニュートンが飛び出てきたがあちらこちらが焦げている。イモリの黒焼きまではいかなかったか。残念。
「わ、忘れないでいただきたい……!」
「すみません、ご自身で脱出するかと。」
「我の技では不可能と分かっておいででしょう!」
「まあまあ、そう怒らないでください。」
プチ喧嘩かな? 今のうちに小さい声であーちゃんと会話をして、天輪を早く呼びつけてもらおう。近距離戦が多くてわたし達では不利だ。
「あーちゃん、天輪。」
「今向かってるそうです。」
「り。」
最低限の会話を終え、敵二人に目を向けると問答が終わったのか丁度こちらに体を向ける。
「ふむ、各個撃破は難しそうですね。」
「ですな。となれば……。」
「一人を一気に倒してしまいましょうか。」
ニュートンは小刀を、伯爵は赤黒い液体を湾曲した刀剣のようにして構えこちらに意識を向けてくる。二人ともわたしを狙っている。
「血の武器……?」
「ええ。ご覧の通り。」
「それに移動。……影移動?」
「ふふふ、どうでしょう?」
「小娘ぇ……! よくも焼いてくれたなぁ……!」
「自分で突っ込んだ。わたしは悪くない。」
会話を続けて時間を稼ぐ。天輪がくればなんとかなるけど、逆に今のままじゃやられちゃう。
「仕置きが必要なようだな、小娘……!!」
「今度こそイモリの黒焼きに調理。」
「舐めおって!!」
小刀を携えてニュートンが飛び出してくる。それに合わせて伯爵も出てくるけど……。
「『狐火』っ!!」
伯爵は通行止め。ついでにあーちゃんが水を鎖型にして放ち、伯爵を拘束しようとする。
「水に濡れて喜ぶ趣味はありませんよ。『影ノ虚』!」
スッと姿が消え、今度は壊れた壁の付近にいきなり現れる。やはり影のあるところに現れている。
「余所見とは余裕だなぁ!!」
「ーーっ! 『炎陣』っ!!」
「食らうかぁ!!」
サッと身を翻し、炎陣を避けて再度こちらに迫る。……小刀を振り抜く素振りがない。まさかーー!!
「『漆黒ノ毒』っ!!!!」
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