1-9 神様視点
「へえ、『狗』くん中々良い感じになってきてるね。」
大きなスクリーンを前に、ゲーミングチェアのような椅子に腰掛け、足を組みながら神は一人こぼす。ここに来る前までの佐々木和成としての人格を神は知っている。
「今まではただのゴミカスだったけど、土壇場になるとやっぱり変わるんだねえ〜。」
……神が言うように、今までの佐々木和成はその他大勢のうちの一人であった。代替のきく人材、社会からすればいっそ消耗品であったと言っても良いだろう。
「クハハッ! いいねぇいいねぇ……! やっぱり人類は面白いねぇ……!! このまま頑張って生き残っても良いんだけど……。」
両手の指先のみをくっつけ、顔を伏せながら神は笑う。『狗』の精神状態は、破れかぶれになっている感は否めないが、それでも尚生きようともがく。
ーーその有り様が面白く。滑稽でもあり。
「ーー絶望に落ちた時はどんな風に喚くのかなぁ。」
ニヤァ、と邪悪な笑みを浮かべ神は想いを馳せる。
ーー神とは。
一般的には人々に救済をもたらし、時には試練を与えて、人類を導くものだと考えられる。言い換えるのであれば『善』としての側面が大きく取り上げられるだろう。
……しかし、そうであるならば。
何故、初めに人間の感情に余分な機能をつけたのか。嫉妬は、怠惰は、怒りは。不要なものではないのだろうか。
ーー神とは。
人間の在り方全てを好いており、また嫌っている。
矛盾に満ちた存在である。人間同士の醜い争いも、人間讃歌も等しく愛し、等しく嫌っている。
そんな矛盾だらけの、子供のような存在なのかもしれない。
ようやく一章が終わりました。ここまでお読みいただきありがとうございます。
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因みにですが、作者は万年厨二病患者です。自分を肯定されるのと承認されるのが大好きです。
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