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無銘〜怪異に堕ちた僕達〜  作者: ミリな所持金(ry
第三章 二回戦
89/138

3-17 紅狐とあーちゃん2

 顔色の悪いイケメン、『病弱』はどうやら『ニュートン』と仲間らしい。目配せをした後、同時に仕掛けてくる。


「あーちゃん! トカゲに!」

「はい! 『守の型、反鏡(はんきょう)』!!」


 攻撃力の高くなさそうなニュートンに向けて、技を使わせる。これなら一時凌ぎになる。今のうちに虚弱の正体を見極めないと……!


「『炎陣(えんじん)』!!」


 虚弱の位置ドンピシャに炎陣を張る。どう出る……?


「おやおや、危ないですねぇ。それに火遊び、感心しませんね。」

「なっ……!」

「えっ、えっ!?」


 虚弱を捕らえた、と思った次の瞬間にはわたしの背後にいた。しかも無傷で。一瞬のうちにこんなに距離を詰めてくるなんて反則……!!

 あーちゃんの腕を引っ張って距離を空ける。反鏡が消えて、ニュートンと虚弱が横並びになっちゃった。


「『伯爵』殿、どう見る?」

「ふむ……。まあ()()()()でしょう。さして障害にもなりそうにありませんね。」

「クックック…! 言い切りましたな!」

「か弱い女性二人相手、どうやったら障害になると?」

「確かに、相違ない! しかし伯爵殿、あの獣耳はなかなかに(さか)しいですぞ。」


 こっちを嘲笑うかのように見下した目をしてる。むかっ。


「く、紅狐さん……?」

「あーちゃん、一応天輪に通信入れておいて。」


 あーちゃんに指示を出していると虚弱改め、伯爵とかいうスリムイケメンが声をかけてくる。


「さて、お嬢様方。今の私の動きが見えましたかな? 見えなかったのでしたら……このまま戦えば貴女方は()()()()()()()。ですのでどうでしょう? 私に忠誠を誓う、というのであれば本拠地の破壊だけで済ませてあげますが……?」

「もし、断ったら……?」


 相手の出方を窺いながら、情報を引き釣りだそう。


「……殺しますね。正確には死ぬ一歩手前で拘束・放置、ですね。復活されても厄介なので。」

「……忠誠を誓うっていうのは? 口約束?」

「ふふふ……。この世界で口約束など何の意味も持たないでしょう。勿論違います。こうします。」


 と言ったところで、伯爵は指で口角吊り上げ、わたし達に犬歯部分の牙を見せてくる。


「この牙で貴女方を操らせていただきます。ああ、口を利くくらいの自由は残しておいてあげますよ。」


 指を放し、いやーな顔つきで笑う伯爵。ああいう笑い方するのも嫌い。紅狐式減点法でマイナス突入だ。


「牙で……操る?」

「ええ。私、戦闘はあまり得意ではありませんが、操ることに関しては優秀なので。」


 まあ厳密に言ったら牙はそこまで関係ないですけど、と伯爵は小さく漏らした。『タキシード』に『牙』に『操る』……。それに『顔色の悪さ』と『貴族位』……。


「アナタの正体、分かったかも。」

「ほほう、それはそれは。是非お聞かせ願いたい。」

「『吸血鬼』。これがアナタの正体。」

「……なるほど、ニュートンさんの言う通り確かに頭は回るようですね。」


 ニィ、っと笑い活きの良い獲物を見つけた目つきになった。これはビンゴかな。

いつもお読みいただきありがとうございます。

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