3-14 Slenderと食人鬼2
Slenderの背後から紫色のモヤが上がる。恐らく技を放つつもりだろう。意識は食人鬼にも割きつつ、攻撃に備える。直後、脳内に女性の声が響く。
『魅了ノ声。』
ーー瞬間。
ーー俺の身体が言うことを聞かなくなる。
「なっ……にぃ……⁉︎」
口と意識だけははっきりとしている。だが身体が動かない。指先を動かす程度の抵抗はできても、腕、肩、頭……全てが支配されたような感覚に陥る。
「ぽ…ぽぽぽ…!」
Slenderの指先がマリオネットを操るように動く度に、俺の足が一歩、また一歩と歩を進める。くそっ……! アイツの技か……!
「く……! 『鎌鼬』……!」
このまま操られ放題では殺られてしまう。奴自体に鎌鼬をぶっ放つ。
「すまんがそれはさせんよ。」
ーーガキィン!!
大きな金属音を立てて、鎌鼬が食人鬼の鎌に防がれる。畜生、二人同時相手とか厳しすぎるだろうが!
『やーやー大変そうだねぇ、狗くん!』
(神様か⁉︎⁉︎)
不意に頭に声が響く。このタイミングで連絡されても正直余裕はない。
『慌ててんね〜。じゃあ端的に話してあげる。戦ってる間だけSlenderの言葉がわかるようにしてあげたよ。もちろん食人鬼とかいう黒マスクも同じ条件だけど!』
食人鬼に言葉が聞こえるのは厄介だが、意図してることが分かるようになるのはありがたい。ゲームマスターとして有能な部分を出してきてくれて、非常に助かる神様!!
「さぁ……。私と踊りましょう? 一生私のお人形さんにしてあげる……!」
「ふっざけんな……! 俺は……ボインが好み……だっ!!」
「むっ。貴様も聞こえるようにーー。」
「黙ってろ陰キャ!! 『鎌鼬』!!!!」
鎌鼬を食人鬼に放ち無理矢理距離を取らせ、その隙にSlenderに向けて鎌鼬程の威力はないが、風の刃を連発する。
「ぐぅ……!」
「きゃあ!!」
Slenderへの攻撃が通ったことにより、支配から解放される。あっぶねぇ……。一気に追い込まれてたら多分死んでたぞこれ。チラリと視界端の体力を確認する。
ーーHP:60/100。
殴りと片腕焼かれただけでこれかよ! ハイパワーすぎるだろ、くそっ! この2対1の状況はあまりに不利すぎる。ウーのやつ、よく二人同時に相手できたな。
「支配……解けた……。」
「うむ。Slender、もう一度仕掛けるとしよう。」
「分かった……。……って、言葉ーー。」
「神の采配らしい、この戦い中は理解できる。」
「俺も、だけどな。」
警戒は解かず、ジリジリと距離を離しながら会話に参加する。背後には奴等が開けた穴がある。アイツらの相手はもうすべきではない。さっさと離脱するに限る。俺まで一度死んでしまってはチームがかなり不安定なものになってしまう。
「仕方ねぇ、使うか……!」
「なにっ⁉︎⁉︎」
ふぅ、と一息吐き。考えていた新技を放つ。
「『絶破』っ!!!!」
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