1-8 覚悟
ーー戦える、戦えないのかではない。生き残るためには、もう戦うしかない。
ーーたとえ、他人を傷付けようと。
ーーたとえ、自分がどれだけ傷付こうとも。
僕は生きたい。何をしたい、どうしたいなど目的はない。ただ死にたくないのだ。今だに腹は括りきれていない。しかし、生きるためには他人の命を奪うしかない。考えるだけで怖い。目の前の鎌鼬の傷跡を見るだけで震えが止まらない。こんな力を他のプレイヤーも持っているのだ。怖くない訳がない。
ーーそれでも……。
ーーもう、戦うしかない!!
体の震えを抑えるように、頬を叩き、太ももを叩き、力を入れる。
ーー残り00:59。
視界の端でカウントダウンが始まった。もう引き返すことはできない、そもそもそんな選択肢は最初からない。今まで生きてきた人生で、こんなに心が動いたことはあったか。
……いや、初めてだ。これまでは世間に流されるだけ流されて、傍観者ぶって、結果モブの一人になり、神様からも生産性がないとのレッテルを貼られた。
ーー残り00:32。
変わるしかない、今まで惰性で生きてきた佐々木和成という人格はもういない。神様に消されたのだ。
ーー残り00:14。
今、この瞬間に。僕は。
ーー残り00:05。
俺は、『狗』として戦い生き残る!!
ーーBATTLE START。
次の話で一章は終わりです。
第二章からは渋谷でバトル開始になります。