3-8 追憶
手に取った鉄パイプに電気を流す。すると問題なく鉄パイプに電気が流れ、バチバチと音を鳴らし帯電をする。電気を流したことにより鉄パイプが熱を持つ。熱いが持てないほどではない。これなら奴等と対等に戦える。奴等は危険だ。ここで一人は倒さねば紅狐や幼女に危険が及ぶ。
ふと、神から与えられた記憶の一部がよぎる。豪華絢爛な屋敷に、華美な服装や調度品。その中に咲く金色の花の様に可憐な女性。オレは彼女に特別な想いを抱いていた。名前も顔も思い出せないが、その気持ちだけは覚えている。だからだろう、紅狐に心惹かれるのは。あの女性に重ねているのだ。
「さあ、来るが良い! オレが裁きをくれてやろう!!」
「キャハハ! さっきまでやられっぱなしだったくせによく言うよ!!」
「キリコ、油断するな。あの武器、何か仕込んでいるぞ。」
「うっさいわねぇ! いいから行くよぉ!!」
こちらを舐めているのか、それとも殺人衝動を抑えられないのかキリコが飛び出てくる。やはり売女か、なにも考えずに突っ込んでくるのなら好都合だ。相手の包丁の切先に合わせて鉄パイプをぶつけ、電撃を流す。
ーーバチィ!!
眩い閃光と鋭い音が響く。ぶっつけ本番の形だったが、上手くいったようだ。キリコは感電し、驚きのあまり距離を離す。
「ギャア! 痛い……よくもやったねぇ……!!」
「キリコ、無事か?」
「無事なもんか!! 腑が煮え繰り返りそうだよ!!」
「カッカッカッ!! やるのう、小僧!!」
「ふん、下郎めが。此奴等を片付けたら次は貴様の番よ。」
「そうかいそうかい、まあワシの出る幕は無さそうじゃがのう……。ホレ、キリコ。菅笠。はよぅ殺ってしまわんか。いつまで遊んでおる。」
「うっさいねぇ! 分かってるよ!!」
「分かっておらんから狸に言われておるのだろう、売女。」
「売女……? 今アタシのことを馬鹿にしたかい……?」
「なんだ、その程度の知恵はあるのか。そうだとも、貴様の獣の様な振る舞い万死に値する。知性のカケラも無さそうな貴様を表すに、売女以外の形容が見当たらんだろう?」
「キイィィィィ!! ブチ殺してやるぅぅぅぅ!!」
直情的な物言いから察してはいたが、このキリコとかいう老婆、やはり御し易い。扇動すればすぐに乗る。菅笠との連携はかなりやり難いが、こうなってしまえば足並みも多少は崩れるだろう。もう一押し煽るとしよう。
「はっ。貴様は女としての意識が根本的に欠落しておるようだな。汚らしく叫びのたうち回るなど淑女とは程遠い。まるで獣よな。」
「このガキィ……!! 言わせておけば……!!」
「カッカッカッ!! 見事な啖呵じゃのう!! ホレホレ、あんな小僧に言葉で責められておるぞ?」
「狸!! アンタは黙ってな!! 仲間じゃなかったらアンタも殺してるところだよ!!」
「ふん。分別もできん獣の割には言うことは一丁前だな。オレに殺す殺すと言っておきながらできもしておらんのに、貴様は道化か何かか?」
「調子に乗るのもそこまでだよぉ坊や……。さっさおトドメといこうじゃないか!!」
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