3-5 襲来
空中から本拠地周りをぐるりと見張る。今のところ人影はなく、問題はなさそうだ。紅狐が陣を張った方角には耳を傾け、正面の道へと意識を割く。周りは看板や街灯で照らされており、しっかりと見張っていれば見落とすことはまず無いだろう。
「ーーここまで迫って気付かんとは惚けておるのかの?」
突如、真横のビルから老人の声が響く。驚きそちらの方向を向くと、先ほどまでは絶対に居なかったところに老人が杖をついて立っていた。
「なっーー!!」
「ほれほれ、よそ見している暇はないぞい。」
老人が声を同時に杖を振り上げこちらに迫る。どんな技を仕掛けてくるか分からん。一先ず上空へと避難する。しかし、避けたはずのところに老人が現れ、杖での強打を受ける。
「ぐっ!!」
「かかかっ、トロい動きじゃのう。」
老人は飛び上がったビルの向かいのビルに着地する。その動きは年寄りのものではなく、軽業師を思わせる軽やかさだ。杖をコツコツと鳴らし意識を向けさせられる。
「お主、それで本当に一回戦を勝ち抜いてきたのかの? あまりにも注意散漫で弱すぎるわい。」
「貴様ぁ……!! 言わせておけば!!」
安い挑発ではあるが、敢えて乗ってやろう。舐められたままではオレの気が済まん。雷撃を上空と体の二方向から打ち出す。
「喰らえぃ!!」
ーーバリィ!!
二方向からの攻撃にも関わらず、老人は杖を足場にし後方へ大きく跳び回避する。
「かかっ!! 電気ショック療法には良さそうじゃのう!!」
「抜かせ、痴れ者がっ!!」
今度は老人のいる地面に向けて雷撃を這わせる。しかし、老人がいた場所には既に老人はおらず、見失ってしまう。
「なにっ⁉︎⁉︎」
「くかかっ!! こっちじゃよ!!」
今度は本拠地裏のビルの屋上のフェンスに移動していた。誓って言おう、オレは老人から目を離していないし、瞬きもしていない。なんなのだ、この老傑は。何かしらの技を使っているのは分かるが、どんな技を使っているのか想像がつかない。
「悩んでおるのう。かかかっ!! じゃがワシ1人が相手ではないぞぃ!!」
老人が手を叩くのに合わせ、さらに老人が2人現れる。1人はボサボサの白髪を伸ばし、手に包丁を持っている老婆で、もう1人は蓑笠を纏い竹を杖代わりに立っている老夫だ。老婆は不敵な笑みを浮かべており、老夫は何処となく陰鬱な雰囲気を醸し出しており不気味だ。
「さて、これで三対一じゃのう……。お主に捌けるかの?」
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