1-7 個室にて
個室にて戦闘の準備です。
あと二、三話で一回戦が始められると思います。
お待たせしてしまい申し訳ありません。
有無を言わさず、神様が手を叩くと僕は一瞬のうちに個室へと飛ばされていた。白い壁に姿見鏡、フローリングがあるような、引越しされてくる前のマンションのような一室だった。そして間をおかず、神ちゃまからチャットがくる。
『今いる個室で能力の使い方の把握と、自分の姿や体力の確認をするよーに! 10分後に戦闘開始だけど、ボクは優しーから1分前になったら視界に時間が表示されるようにしてあげるね♪』
……まあ、何も言うまい。素直に時間通知はありがたい。まずは自分の姿の確認をしよう。
姿見鏡で姿を見てみたところ、身長は元の佐々木和成とさほど変わらず175cmくらいだと思えた。体つきは細マッチョというのが相応しい。
また、見た目は天狗というよりも、鼻から上の顔半分を覆う仮面をつけた人といった姿であった。背中には大きく、烏のような黒い羽根があった。こちらは動かすことは勿論、意識次第で出したり消すことも可能なようで、戦闘時に邪魔だったらしまっておこう。
姿見鏡を見るとHP100/100と自分の頭上に数字が浮かんで見えた。これが神様の言っていた体力だろう。恐らくだが、他プレイヤーの姿を見た時に同様に表示されると考えた。
そんなことを考えていたらす魔ほが震え、また神ちゃまからチャットが来ていた。
『気付いたと思うけど、体力はHP○○/○○という表示で相手の頭上に浮かぶよ〜。HPは個体差あるけど平均100にしてあるよ〜。それと自分の体力と状態を確認したいなら、頭の中でイメージしたら視界端に映るようにしてあるからね〜。ボクってとっても優しい!(^^)』
……一言余計だが、ありがたい情報だ。早速自分の確認をしよう。すると、右視界の端にHPと状態が映った。
ーーHP:100/100
ーー状態:正常
……ふむふむ、状態があるということは、バッドステータスをつけてくるプレイヤーもいるということだろうか? なんにしても用心に越したことはないだろう。
最後に能力の確認をしてみる。僕の能力は『風を操る能力』なので、扇風機のように風を送るイメージをしてみる。すると背後からビュウ、と風が吹いた。より細かいイメージをして、手から指向性のある風を出してみようとした。コレもイメージ通りに風が吹き、風も思った通りに動く。
羽根を出して、風を送ってみると浮いたり移動もできるようになった。イメージした通りに能力を使えるので、空中移動も別段大きく意識を割かなくても出来そうだ。
……では、攻撃として鎌鼬のような風をイメージする。すると、一瞬空気が震え壁に大きな爪痕のような傷ができる。威力としては申し分無いとは思う。……思うのだが。
ーー本当にコレを誰かに向けて撃てるのか。
ーーそもそも、僕は戦えるのか。
急な不安に駆られる。正直なところ現実味もなにも無い。無い上で今まで神様に流されるように個室まで来てしまった。