2-56 神様問答
神様は早く二回戦に移りたいのか、足早に説明をして切り上げようとしていたが、質問をするために挙手をする。
「狗くぅ〜ん? ボクの気持ちが分かっていながらよく質問できたね〜?」
ギロリ、と凄い目力で威圧をかけてくる。他の奴等とは比較にならないほどのプレッシャーを感じ、思わず足だけでなく全身が震える。が、大事なことなので聞かずにはいられない。
「ふぅん……。変われば変わるもんだねぇ……。いいよ、その心意気に免じて答えてあげる。質問を口にしな。」
「神様、アンタは別の時間軸から集めたと言っていたな?」
「うん。言ったよ?」
「よくある話だと、別時間軸の者を集めて干渉させるのは、タイムパラドックスやら時空間干渉の原因になるんじゃないのか?」
「だからこそのゴミカス共なんだよ。君達みたいな奴等が、居なくなったりここで干渉し合ったところで世界への影響は起こり得ない。起きたとしても、世界規模で見ればどこかの国のよく知らない奴がいつの間にか死んでいた、程度で問題にもなりはしないのさ。」
……なるほど。言われてみればたしかにそうかもしれない。俺自身、佐々木和成として生きていた時の枠がすっぽり空いても、困るのは会社だけであり、その会社にも辞表を提出したことになっている。それならば大きな影響が出ないのも納得だ。寧ろ、俺のいた枠が空いたことにより、他の人間が良い方向に転がる可能性もある。
「そういうこと。君らが居なくなっても損はなし。寧ろ得があるわけだ。ニートの奴もいたけど、親からすれば自然死したことになって、親は金をそれ以上浪費しないで済む。我儘坊ちゃんを養っていた家は、子どもが旅に出て自立したことになって、それに対して何も疑問に思わない。余分になった金は、優秀な他の子どもや家族にまわせるわけだ。どう? わかった?」
ああ。よくわかったとも。しかしこのまま戦いを勝ち進んだ場合はどうなる? 空いた枠にそのまま戻るのか?
「ーーああ。それの説明も必要か。もし最後まで勝ち残った場合、元いた所に戻ることも可能だよ。それか、ボクの権限で親を幼い頃に亡くして1人暮らしをしている、という設定で新しい個人として帰すこともできる。言わば人生のリセットだね。良かったねー、クソみたいな人生を改める機会になるよ。」
ニチャア、と邪悪な笑みを浮かべ神様は笑う。
「ま、その辺は勝ち残れたら考えてあげるよ。ボクは優しいからねー。他にもう質問はないかい? さっさと終わらせて二回戦始めたいんだけど。」
神様の問いに、誰も挙手をしない。これを以って質問は終わりとなり、記憶渡しの時間になった。
「ああ、そうそう。”記憶持ち”のゴミカスくん達は新しい能力の許可とか今までつけていた能力の制限の解除をしてあげよう。あとでまた個室送りにするから、その時に新しい技は考えておいてね。」
そう言い、神様は手元にサッカーボール程の大きさの光を生み出し、細かい光に分断して各人に配った。
「それが記憶の欠片だよ。記憶がない奴等には生きる理由になるかもね? ああ、”記憶持ち”のゴミカス共もその光に触れてね。誰が”記憶持ち”か分からないようにフェイクも入れてるから。」
神様の言うことに従い、光に触れる。ほんのり暖かく、安らぎすら感じるような暖かさだ。触れた瞬間、脳内に言葉が浮かぶ。
『ハズレ(^^)』
……相手が神様でなかったら、多分手が出てた。
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