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無銘〜怪異に堕ちた僕達〜  作者: ミリな所持金(ry
第二章 一回戦
65/138

2-54 嫁入りと獄卒5

「『剛震滅却(ごうしんめっきゃく)』っ!!!!」


 切り札である技を放ち、大地を揺らす。大きなダメージにならなくても良い。()()()()()()()()()()()()()だ。


「あつっ……!」


 地面から吐き出す火と、揺れに嫁入りの足が止まった。今が好機だ。車輪形態へ姿を変え、一度嫁入りを轢き撥ね、ウーの元へと向かう。


 ーーHP70/90。炎上。


 ーーバリィ!!


 ……丁度良く、あっちは片がついたようだ。粒子が立ち登る。私が近寄るのと同時にあーちゃんが技を繰り出す。


「『守の型、反鏡(はんきょう)』っ!!」


 あーちゃんの技によって、姿を隠せた。残り体力がかなり危ない。意識をしてチラリと体力を確認する。


 ーーHP18/90。


 なっ……何っ⁉︎⁉︎ 体力が()()()()()()()だと……⁉︎⁉︎ まさか……!!


「お気付きになられましたか。存外早かったですね。」


 あーちゃんの張った反鏡を斬り捨て、歩を進める嫁入り。ニッコリと笑った口には黒く大きな歯が目立つ。


「そう、それが私めの技……『骨髄吸尽口(エナジー・アブソーブ)』の能力。体力を吸い取るだけでなく、出血状態に陥れ、ダメージを与え続けるので御座います。」

「本当に……。厄介な力だ……。」

「て、天輪さんっ!!」

「……大丈夫だ。……下がっていてくれ。」


 こんな危険な奴の相手をあーちゃんにさせる訳にはいかない。段々力が抜けていく足に再度力を込めて、構える。ふらふらで今にも倒れそうだ。だが私が倒れたら、あーちゃんが危ない。……絶対に倒れる訳にはいかない!!


 ーー1歩、踏み出す。


 嫁入りとの間に緊張が走る。私が一撃を狙っているのも、自身が炎上によって持続ダメージを受けていることも奴は気付いている。だからこそ、嫁入りは一定の距離から此方には近寄ってこない。放っておけば私は勝手に死ぬからだ。


「え、えいっ!!」


 そんな緊張感を他所に、あーちゃんが嫁入りの足元へ水を流す。流れの速い小川くらいの勢いだろうか、倒れることはなくても、踏ん張ることにより相手はその場に縛りつけられる。


「ほっほっほ。可愛らしいお嬢様ですこと。ですが私めには通じーー」

「『轟雷(ごうらい)』っ!!!!」


 ーーカッ。


 一瞬の光の後、轟音が響き渡る。あまりの眩さに目を閉じてしまう。轟音の鳴り止んだ後、嫁入りの姿を見ると、ほぼ焦げた姿で片足を折り膝をつけ、項垂れている状態であった。


 ーー嫁入り:HP:7/90。

 ーー天輪:HP14/90。


 ギリギリの……本当にギリギリの戦いだった。私1人だったら負けていただろう。予想外の行動だったが……この2人には命を救われた。感謝してもしきれない。


「がぁ……。はぁ……。」


 綺麗に纏めていた髪は焼け落ち、角隠しは形を為しておらず、髪に差していた(かんざし)は全て粉々に吹き飛んでいた。


「獄卒は片付けた。貴様も疾く消えよ。」


 嫁入りが顔を上げ、何かを言おうとしていたが……。ウーの雷が嫁入りを撃ち、彼女は跡形も無く消えてしまった。


「莫迦者がっ!! 死にかけではないか!!」


 空からフヨフヨと降りてきた小型の龍が、開口一番に大声で文句を言う。……もしかして、ウーか?


「ふんっ。オレの技の最後の1発をくれてやったのだ。感謝しろっ!!」


 ポンッ、と可愛らしい音と軽い煙を立てて人型のウーが目の前に立つ。


「助かったよ……。ありがとう、ウー……。」

「……約束したからな。オレの許可なく勝手に死ぬことは許さん。さっさと車輪形態になり『人』を脅かして回復してこい。」


 プイッとそっぽを向き、ウーはす魔ほを操作し始めた。恐らく紅狐への連絡だろう。口の端が笑っている。


『此方こちらに喧嘩を売ってきた愚か者を始末した。そちらはどうだ? ーー紅狐は無事かっ⁉︎⁉︎』

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