2-53 嫁入りと獄卒4
「ーー『骨髄吸尽口』。」
……一瞬だった。気がつくと『嫁入り』の首が伸びて近付いており、避ける間もなかった。ヤツの口が私の首に突き刺さり、血を吸われる。
ーー天輪:HP21/90。
ーー嫁入り:HP90/90。
「ぐわぁ!!」
「あはぁ♡ 貴方様は非常に美味に御座いますね……♡」
首元には大きく歯形がくっきりとついており首筋に血が零れる。傷跡に触れると黒いなにかが手に付く。今のが嫁入りの技……!
「ーー私の体力を、吸収したのか。」
「……左様に御座います。」
目の前がクラクラする。私の残り体力が少ない中、体力を吸い取り回復されてしまった。これはかなり拙い。
「……なるほど。……君の種族が分かったよ。」
「……ほう? では答え合わせと参りましょう。」
「ーー『お歯黒』、だろう?」
「……御聡明にあらせられるようで。」
会話をして、少しでも時間を稼ぐ。この状況を打破するために。少なくとも目眩が落ち着くまではマトモに戦えない。
「『角隠し』、『打ち掛け姿』、『黒色の歯』……これらが揃えば流石にわかるよ。」
「左様に御座います。私めは所謂『お歯黒べったり』という妖怪で、能力は『口での攻撃で与えたダメージを吸収する能力』というもので御座います。」
「なるほど……。それは非常に……。厄介だな……。」
ーーお歯黒べったり。
本来は目も鼻もなく、大きな口だけがある妖怪。角隠しと打ち掛け姿から、結婚前に亡くなった女性の亡霊が妖怪になったとも言われている。
「息も絶え絶えに御座いますね。」
「ご覧の通り……。余裕はないよ……。」
「ほっほっほ。素直な御仁ですこと。」
「……それが、取り柄、だからね……。」
目眩は収まった。嫁入りにバレないように手足に力を入れる。まだ充分な力は入らない。もう少し時間を稼がなくては……!
「貴方様の種族は一体……?」
「私は……。『輪入道』……。私自身の美しさと……。円形の美しさを……知らしめる……。」
「成程、ではその円盾は御自身の一部であると。」
「そうだ……。」
徐々に力が戻り始める。あと少し……!
「ところで……。あの”獄卒”とやら……。『鬼』……か?」
「おやおや、其方までお気付きとは。中々どうして、抜け目がありませんね。」
「『角』と『金棒』……。それにあの膂力……。鬼以外あり得ないだろう……。」
「仰る通り、彼の者は『鬼』に御座います。……末恐ろしいお方。」
チラリ、と此方の身体を流し見る。気付かれたか……?まだ十全ではないが、やるしかないか……!
「さて、答え合わせも終わりましたし……そろそろ終いと致しまーー」
「『剛震滅却』っ!!!!」
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