2-49 遭遇
天輪のHPが61/90になったところで、マップに赤い点が2つ表示される。一直線に此方に向かってくる。やる気満々のようだ。
「おい。天輪よ。」
「どうしたんだい? ウー?」
「『他プレイヤー』がこっちに向かっている。迎え撃つぞ。」
「こ、こっちに来てるんですかぁ?」
「ああ。マップを見る限りでは完全に狙われているな。恐らくオレ達を倒し、さっさと二回戦へ進めようと思っているのだろう。」
「大丈夫だよあーちゃん。あーちゃんは私がまもーー」
「いいから止まれ! この大莫迦者が!!」
一々茶々を入れねば会話が出来んのか、この天輪は。取り敢えず迎え撃つのに容易な、広い道へと天輪を案内する。他プレイヤーはやはり此方を逃す気がないようで、広い道の先から現れるようだ。
「敵がどんな奴等か分からん。3人で立ち向かうぞ。」
「は、はい……。」
「わかった。」
「天輪よ。貴様の体力は回復しきっていない、あまり無茶をするなよ。」
「心配してくれるのかい?」
「……ふん。そこの幼女を優先して死なれては目覚めが悪いだけだ。」
「て、天輪さん! わたしも戦えるから大丈夫ですよ! 危なくなったら逃げてくださいね!!」
「……ありがとう2人とも。心強いよ。」
……急に神妙な態度になりおって。やりづらいにも程があるわ。莫迦者めが。
オレと天輪が2人並び、少し後ろに幼女が立ち敵を出迎える。数分もしないうちに姿が見え、正体が明らかになる。1人は筋骨隆々という言葉が相応しい程、大きな体をし角を生やした男であった。もう1人は角隠しと打ち掛け姿に蛇の目傘を差した少し小柄な女であった。なんとも奇妙な組み合わせだ。
「止まれぃ!!」
大声を上げ、敵を制止する。しかし、大柄の男は一切止まらず、手に持った金砕棒を振りかぶり思い切り此方に向けて叩きつける。話す気は一切ないようだ。オレと天輪は大きく退き、男の攻撃を回避する。
「痴れ者がっ!! 温情をかけてやったにも関わらずこの仕打ち、楽に死ねると思うなよっ!!」
「ケッ。何言ってっかわかんねーよ!! 日本語喋れ日本語をよ!!」
金砕棒を肩に担ぎ、男は喋る。……オレは日本語を話しているぞ? 此奴、相当の阿呆か?
「ほっほっほ。『獄卒』さん。彼はちゃんと日本語を話してますよ?」
「あ″あ″ん? 『嫁入り』。俺ぁ、あんな言葉聞いたことねーぞ?」
「ほっほっほ。まあ中々に難解な言葉、理解し難いのも無理ありませんね。」
「オメーも何言ってっかわかんねーよ!!」
大柄の男を御する小柄の女は、それなりに教養があるようだ。それに対して大柄の男は知性の欠片もない、所謂チンピラ然としている。
「……女。許す。名を名乗れ。」
「ほっほっほ。そういう場合、まずは其方からするのが道理ではありませんか?」
「貴様如きがオレに意見するか……!!」
「お″お″い! 俺をムシしてんじゃねーよ!!」
「囀るな、チンピラが。貴様に用はない。疾く消えよ。」
「ほっほっほ。獄卒さんを歯牙にもかけぬその物言い、大層気に入りました。改めて自己紹介を。私めは『嫁入り』。見ての通りのただの女にございます。お見知り置きを。さて、貴方様は一体何者で?」
「……ふんっ。オレは『ウー』。此奴らのお目付役よ。」
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