1-4 新しい名前
名前……か。記憶がある以上、佐々木和成という本名もあるが……。
流石に使えないだろう。こんなよく分からない状況で、無闇に情報を開示するのは下策だと思う。しかし名前……名前なぁ……。
うーん、と頭を捻るがパッと思いつくものもない。
であればいっそのこと、今後自分の姿になるらしい天狗の文字を使おう。
ーーそう考え、僕は。
『狗』
の一文字を入力した。
ーー数分後。
空中で寝そべりながら足を組んでた神様が、唐突に言葉を発した。
「そこのゲロカス共。お前達は要らないから消すぞ。」
そのまま空中で指をスライドさせ、人型が3つほど消える。
「さっきのゲロカスは、畏れ多くも神様であるボクに喧嘩を売るような名前を付けたので消えました。間違っても『神殺し』とか『ペテン神』や『イキリ神様(笑)』なんて名前をつけないようにね? ゴミカスの君達でもこれ以上消したら、折角の生存競争がつまらなくなっちゃうから。」
フンッ、と鼻を鳴らし不機嫌そうな顔をしながら空中で胡座をかく姿勢になる神様。待たされてるイライラもあったのだろう、貧乏揺すりが止まらない。
「ーーああもう! いつまで神を待たせるんだ! ゴミカスはゴミカスなんだからさっさと名前くらい付けろ! ……いや、これ以上待つのは退屈だから、偉大なボクが名付けてやる! 感謝しろよ?」
不敵な笑みを浮かべ、神様は全員のスクリーンとキーボードを消すと、いつの間にか手元に用意していたスマートフォンらしきものを操作し始めた。それから一分も経たぬうちに神様は操作を終えた。
「はい、かんりょーう。ボクに名付けてもらった奴らはちゃんと敬えよー。」