2-23 謎の男
ネーミングセンスはありません。
謎の黒髪男が落ち着いて少しした頃、す魔ほが震えた。恐らく神様にお願いしていたあの件の通知だろう。念のため目を通しておく。
『おつー。神ちゃまだよー。ダイダラボッチくん、負けちゃったよ(T_T) 生き残ったのは狗くん(HP65/100)、紅狐ちゃん(HP86/100)、クソダサウーパールーパーくん(HP80/80)だよ〜。みんな狙い目だね! プレイヤー数も38人になったからもう一息!』
という文面と共に、顔写真が送られてきているようだった。しかし顔よりなにより気になることが……。クソダサ……ウーパールーパー? 誰だソイツは? もしかして横にいる……この黒髪男か?
黒髪男を見ると、す魔ほの画面を見ながら顔を真っ赤にし震えていた。あ、やっぱりコイツがクソダサくんだ。
「おのれ……! 貴様らのせいで……!!」
と、何故かこちらに再度矛を向け始めた。いやいや、どう考えても俺と紅狐は悪くないだろ⁉︎⁉︎
「ちょ……! 待った待った! え、コレ君の名前なの?」
「ぷふふ……。クソダサウーパールーパー……。」
「ああそうだ! オレの名前だ! 文句でもあるのか!」
「いや、文句は全くないんだけど……。」
疑問が……ね? と思った時、黒髪男改め、クソダサウーパールーパーの神様への質問を思い出した。
ーー名前の再変更は可能でしょうか?ーー
ああ! つまりそういうことだったのか! たしかにこの名前だと名前負けして変えたくもなるよなぁ……。
「まあ……その、なんつーか。……生き残ろうぜ。」
「ぜー。」
「慰めなどいらんわ! オレをコケにしおって……!」
怒り心頭、と言った様子でプンプンしている。これではまともに話もできそうにない。が、無理矢理話を切り出す。
「改めて、さっきは助かったよ。ありがとな。」
「さんきゅー。」
「ふん。構わん。先にも言ったが彼奴が目障りだったからな、感謝される謂れもないわ。」
本当に素直じゃないな、クソダサくん。だからそんな名前になるんだぞ、クソダサくん。
「あー、ところでなんだが……アンタのことなんて呼べば良いんだ?」
「……なに?」
ギロリ、と刺すような視線が向けられる。なんだコイツ、敵意を振りまかないと死んじゃう病患者か?
「いや、神様が名付けた名前だとどう呼んで良いのか困ってな。アンタから提示してくれると助かる。」
「ウーパールーパー?」
「……ええい! しばし待て!」
そう言うと、男は少し離れた場所でしゃがみ込み、ぶつぶつ言いながら地面になにかを書き出す。様子が気になるが行ったらまた怒られるんだろうなぁ……と遠くを見ていたら、紅狐は構わずそばに行ってしまっていた。慌てて俺も駆け寄る。
「ううむ……。クーというのも悪くはないが……。小娘と似通ってしまうな……。であればいっそのことソダさんとかにでもするか……? いやしかし……。」
ヤバい、この人めちゃくちゃ面白い! 真剣に名前考えてる! 子供っぽい行動に紅狐も笑いを堪えるのに必死そうだ。
「……! よし! これからオレは『ウー』というあだ名でいく! 貴様らもそう呼べ! いいな!」
「クスス……! わかったよ……! ウー……!」
「プッ……! ウー……良い名前……!」
笑いを堪える俺と紅狐の顔を見て、首を傾げるウー。その理由が自分にあるとつゆ知らず、満足げに腕を組み、ドヤ顔をしていた。
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