2-22 ダイダラボッチ戦3
ダイダラボッチ戦、最終。
濃いめの新キャラ登場です。
「グオォオォォォォ!!!!!!」
ーー巨体が叫ぶ。
顔を炎で包まれ、アキレス腱を切られてなお、暴れ回る。腕を振り回すごとに周りの建物は崩壊し、地面にはクレーターもどきが出来上がる。
ーーHP28/150。
(ちっ……。まだかかるな……。)
既に首や腿の付け根にある主要血管は鎌鼬で切り裂いた。倒れ込んだ背中も、顔と同時進行で紅狐が焼いている。あとは時間の問題だが、ダイダラボッチの耐久力が想像よりも遥かに高い。暴れ回るたびに飛び散るコンクリートの破片や鉄筋を風で防ぐようにしてはいるが、全ては捌き切れない。紅狐も俺も小傷が増えている。
(なるべく被弾を減らして体力は温存したいが、これ以上距離を離すと紅狐の火力が落ちて倒しきれないかもしれない。)
どうすべきか、今できる最善の手を考える。考えながら攻撃を繰り出すが、相手が暴れ回っているせいもあり致命傷になる部分には当たらない。
(早く……! 早くトドメを……!)
逸る気持ちが抑えきれず、次第に焦りに変わる。だが、幕引きは突然訪れた。ザッと。不意に横から足音と声がする。
「ふん、見ておれんな。業腹だがオレが力を貸してやろう。」
ーーバリバリィィィィ!!
眩い光と同時に、ダイダラボッチに雷が落ちる。その一撃をもって、ダイダラボッチは完全に動きを止め、足元からサラサラと粒子に変わりはじめた。
ーー今のは? それにコイツは……?
突如現れた人物に目を向ける。黒髪を肩辺りまで伸ばして、眉間に皺を寄せながらダイダラボッチを睨みつける男。傍目から見て”眉目秀麗”というか言葉が似合うほど、端正な顔立ちをしている。
「なんだ、何を見ている貴様?」
……この声には聞き覚えがあった。少し高めの男性の声。確か。神様の名付けの時に挙手をしていた男がこんな声をしていた筈だ。
「いや。助かった、ありがとう。トドメを刺すのに困っていたんだ。アンタ、名付けの時に神様に質問をしていたヤツだろ?」
「…ふん。」
プイっ、とそっぽを向かれてしまった。地味に傷付く。俺と黒髪男が話していると、紅狐が近寄ってきた。
「しょうり。」
「ああ、お疲れ様。よくやってくれたな。」
「ん。最後のは、わんちゃんがやったの?」
「いや、俺じゃない。この男……神様に名付けの時に質問してた男だ。」
チラリ、と。男は紅狐に目線を向け、紅狐と目が合いそうになりすぐに背ける。
「ありがと。」
「……ふん。構わん。アレが目障りだっただけだ。貴様の為ではない。」
「それでも……ありがと。」
「……。」
顔を背けてはいるが、耳が少し赤くなっている。コイツ、女耐性ゼロかお礼を言われ慣れていないヤツだな、と考えてしまう。その考えを感じ取ったのか、男の矛先がこちらに向かう。
「貴様、今何を考えた……!」
「え、俺? ……いやー……特になにも?」
「何もではないわ! 貴様の表情を見ればわかる、オレをバカにしただろう!」
「いや、バカにはしてないけど……。」
「猪口才な…!」
「ちょっと待って、何で俺キレられてんの⁉︎」
「わんちゃん、謝るべき。」
「え、悪いの俺なの?」
この後数分、理不尽な会話が続き……結果俺が謝り、何故か紅狐が間を取り持ち男の気は収まった。
お読みいただきありがとうございます。
あるキャラが頭をよぎった読者様、鋭いですね。
非常に似通った性格をしています。
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