2-20 ダイダラボッチ戦1
打倒、巨人。
役割分担を終え、俺は一人でダイダラボッチの眼前へと飛ぶ。視界に入った瞬間、ダイダラボッチは羽虫を払うかのように手を振る。
ーーゴウッ。
目の前をハイスピードで大型トラックが通ったような圧と風を感じる。まともにぶつかれば、交通事故モノだ。
「うおっ⁉︎ 挨拶もなんもなしかよ⁉︎」
羽へ風を送り上手く回避する。それが気に食わなかったのだろうか、今度は両手で蚊を潰すように叩き始める。
ーーバチンッ!!
ーーバチンッ!!!!
音からして段々と力も込めているようだ。アレに挟まれたらきしめんくらい薄くなりそうだ。避けるが冷や汗が止まらない。当たったら即終了の一撃死が待っているのだ。しかし、ニヤッとしながら、煽れるだけ煽ってみる。
「もしかして会話できないんですかぁ〜? 大きな体の方に栄養あげすぎちゃって、脳味噌の代わりに綿菓子でも入ってるとかぁ〜?」
「あれあれ? こんな羽虫みたいな存在も潰せないの〜? まさに”木偶の坊”ですなぁ〜!」
「え、もしかして攻撃してるつもりだった? だとしたらごめーん、遊んでるのかと思っちゃったよー。」
……一頻り煽ったのち、返ってきた返事は言葉などではなく。
「グオォオォォォォ!!!!!!」
特大の咆哮であった。そして気付く。コイツ知性が1ミリもない。
俺の煽りに苛立ったのではない、思った通りに潰せず苛ついているのだ。その証拠に地団駄を踏み、近くの建物を破壊している。そしてーー
ーーHP148/150
自分の行為でダメージを受けているにも関わらず、それを意に介さない。ビンゴだ。こりゃ思ったよりも楽にことが運べる。とりあえず、挨拶代わりに奴の左目に最大出力の鎌鼬をお見舞いする。バシュ、という音と共にダイダラボッチの左目から大きく出血する。
「グオォオォォォォ!!!!!!」
ーーHP108/150
「へっ。やったのは俺だぜ。着いてこいよ!」
敢えて右目の近くでフラフラと浮き、敵の的を俺に絞らせる。狙い通り、ダイダラボッチは俺を敵として認識し、傷のお礼と言わんばかりに執拗に攻撃を繰り出し始めた。
「どうしたどうしたぁ! そんな腕振り回しくらいじゃ掠りもしねーぞ!」
ーー駆ける。
ーー上から下へ。
ーー時には左右に。
「グオォオォォォォ!!!!!!」
苛々を募らせたダイダラボッチは、ついに近くの建物をそのまま引き抜き大きく振り回す。そのスピードは拳よりも早く、なにより範囲が大きい。
「やべっ!」
直撃を避けるため、やむを得ず建物に鎌鼬を放つ。その瞬間。下から迫り上がってくるモノが見えた。急いで回避をしたが間に合わず腕を掠める。モノの正体はダイダラボッチの足だった。
「ぐうっ……!」
ーー狗:HP80/100
掠めただけでこのダメージかよ! こりゃちんたらやってられねぇな……!
「おい、デカブツ!! こっちだぜ!!」
ダイダラボッチが追いつけるか追いつかないか微妙なスピードで、空を駆ける。目的地は、ビルが沢山建っているオフィス街だ。
眼球は房水という水分が大半なので、本来は結膜からくらいしか出血はしません。
狗の攻撃で出血したのは、眼球だけでなくその周りの皮膚組織も攻撃したからです。
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